伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

若い読者のための「種の起源」

2021-01-03 22:24:57 | 自然科学・工学系
 チャールズ・ダーウィンの「種の起源」を若者向けに書き直して要約した本。
 ダーウィンの紹介から、ダーウィンが約5年に及んだビーグル号の航海以外はイギリス国内で研究に没頭していたことがわかり、「種の起源」は研究論文で紙数の多くは自説の論証というか反対意見への説得・反論に費やされていたことが読み取れます。
 特に種の中間的な生物があまり現存せず化石でも見つからないことにダーウィンが悩みその説明に苦しんだことがわかります。そこのところは、ダーウィンの説明を読んでも、今考えてもそうストンとは落ちないのですが。
 ダーウィンの主張が「進化論」と名付けられたことからか、その生物・種自体の生存戦略というような説明がなされることが多いのですが、まるで生物・種の意思や本能で形質の変化が進められるかのような議論は自然淘汰・性淘汰(性選択)の理論には馴染まないと思います。あくまでも偶然に生じた微小な変異が生存に有利、生殖に有利であればそれが多数を占めていくということで、そこには意思は働きません。そこに意思を見るのは、創造説の「神の意思」に引きずられた考えだと、思うのですが。さらに、種が変化するのは、生存に有利な方向とは限りません。その世代の話ではなく後の世代の話なので、ポイントはその微小な変異が「生殖に有利」かの方になります。もちろん、生き延びられなければ生殖の機会が少なくなりますから、生存に有利であることは生殖にも有利となることが多いでしょうけれども、個体が生き延びられても、その個体が生殖の機会に恵まれなければ、子孫段階で増える(繁栄する)ことはできません。生存に有利でなくても異性に好まれる形質は次代に受け継がれていくことになります。「性淘汰」の結果、モテない者は子孫を残せず滅びゆくのですね。自然淘汰よりも、こちらの方が思考上、残酷かも…


原題:ON THE ORIGIN OF SPECIES : Young Readers Edition
レベッカ・ステフォフ 訳:鳥見真生
あすなろ書房 2019年5月30日発行(原書は2018年)
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寝てもとれない疲れをとる本

2021-01-02 15:04:44 | 実用書・ビジネス書
 鍼灸師の著者が東洋医学の観点から体質と疲労のタイプに応じた疲労回復法を説明するという本。
 体質を「木」「土」「金属」「水」の4タイプに分けてそれぞれの体質に応じた疲労解消法、体質管理法、食事、ツボ等を説明しています。そう言われると血液型で性格が違うとか言うのと同じように聞こえるのですが。
 「はじめに」の特製チャート(6~7ページ)で体質を判断するというのですが、私はそれで行くと「金属」になります。「金属」の特徴は「場の空気をよく読み、ロマンチストで、相手を喜ばせるサービス精神も旺盛」(69ページ)、体質に合った味は「辛み」(122~123ページ)…いや、違うだろ。特徴の説明から見たらどう見ても「木」タイプだと思うし、辛いものは苦手。こういうときは、どちらを信用したらいいのか…
 胃が空の時間を保つ→1日2食でいいとか、夜遅くに食べないとかは、心がけていることを肯定してもらえたような、寝だめはできない、寝過ぎはかえって疲れるとか、夕食より先に入浴とかはなかなか難しそう。結局は、言われても習慣は簡単には変えられないと再認識するだけという感じではありますが。


中根一 文響社 2017年10月3日発行
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