道中を振り返って思うことは色々ある。
第1に、日本の道路は歩くようにできていないということ。歩く人がほとんどいないから車中心になるのは当然だが、歩くことによって見えてくるものがたくさんあることを学んだ。人間の思考は、心臓の鼓動のスピードで進むのではないか。高速移動は、思考を混乱させることになるのではないか。
第2に、歩くことによって、自分を見つめることができた。進むことも止まることも、痛いことも楽しいことも、自分一人しかいないために、自分と会話する以外にない。一人になって考える時間をもつことの大事さと、しかも歩くことで自分との対話は整理されてくるように感じた。
第3に、人の優しさを知ったこと。見ず知らずの者に情けをかけてくれる人が多くいた。僧行であったこともあるだろうが、ただ歩いているだけの者に、お金をくれたり、励ましてくれたり、おにぎりをくれたり、宿代をまけてくれたり。人の優しさにふれることによって人は優しくなれるような気がする。
第4に、お寺は誰もが出入りできる場所でなければならないということ。お寺を訪ねて断られたことによって、その思いを強くした。今、松林寺や宿用院でお寺の開放を目指して色々な試みを行っていることの原点は、あの門前払いをしてくれたお寺のお陰だと言える。
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