なあむ

やどかり和尚の考えたこと

雲水道中記ー永平寺から最上へー 36

2009年12月27日 07時34分34秒 | 雲水道中記

4月11日。

いよいよ最後の日になってしまった。

全てのことは、長いようで短いようなものだ。

何も言わないで静かに終わりたい。

と、日記には書いた。内実色々な思いが交錯していた。

叔父の家を発ち、最後の行程を歩き始めた。地元の見慣れた風景であるために、かえって距離が長く感じられた。

瀬見温泉の手前のドライブインで最後の昼食を摂った。日記を読み返しながらこれまでの行程を振り返った。

大変なこともあったが、成し遂げたという充実感が充満し、このまま終わってしまうことが惜しいと思えてきて、なかなか席を立てなかった。

「このままどこかへ行ってしまおうか」

そうもいかないだろうと気を取り直して重い腰を上げた。

松林寺の近くまでたどり着くと、道の両側に村の人たちが立って何かを待っているのが見えた。「何だろう、今日は何かあるのだろうか」と思った。

まさかと思い「何したな?」と聞くと、「何だず、お前ば待っでだんだ」

母には、「誰にも言うな」と口止めしていたのだが、ついつい漏らした一言が広まったのだろう。

Img「むがさりを待ってるようだった」というような思いで、しばらく立って待っていてくれたようだった。

どうも親戚の一人が斥候となって、車で様子を見に来ていたらしい。

大勢の人が迎えてくれる中、松林寺の山門に到着した。

660㎞、26日間の旅が終わった。

町報の担当者も取材に来ていて、この時の写真が後日山形新聞にも掲載され、大きな話題となった。自分の思いとは違うところで物事は進んでいった。

新庄~松林寺 35㎞。


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1 コメント

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実家の母親が、永平寺への荷物にこの新聞の切り抜... (りんしょう)
2009-12-28 10:14:59
実家の母親が、永平寺への荷物にこの新聞の切り抜きを入れてくれていたことを思い出しました。
上山したばかりだったので帰るときのことなどに思いも至らず、偉い人もいるもんだ、位にしか思えなかったのが当時の正直な感想でした。
お寺に対する偏らない見方、この時期にしか受け取れないたくさんのものを、貴師はこの旅の中できちんとものにしていかれたのですね。
やっぱり、すごいことですねえ。
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