

「色彩がわかれば絵画がわかる」(布施英利、光文社新書)を読み終えた。ほとんど別れかけている色彩学を思い出した方が良さそうなので購入してみた。
明確には覚えていないが、中学3年の頃だったろうか、美術の時間に色彩学の入門のような授業を受けた記憶がある。光と絵の具の三原色、加法・減法混合、色相・明度・彩度、色相環、補色、膨張色・収縮色、暖色・寒色‥などの言葉と概略は一応覚えている。しかし理科、物理の授業では習った記憶はない。物理では光の屈折・反射など基礎的な光学理論は習った。
色彩学はそれ以来勉強していないので、すっかり忘れていたり、間違った記憶があるのではないか、と思いこの本を購入してみた。
一応いろいろなことを思い出したり、記憶を訂正したり、初めて聞くこともあったり、楽しく読むことが出来た。
勉強になったのはゴッホの「烏のいる麦畑」の色彩論的分析。その上に立って「ゴッホは色彩の理論家であった。(ゴッホは)情念の人とか、炎の人という人物像とはずいぶん違ったものに思えないでしょうか。」「(ゴッホは)狂気ではなく、科学者のような理知的な頭脳を持っていると思わずにはいられない」と結論つけている。私にはとても魅力的な指摘だと感じている。
千利休の茶室「待庵」と曼朱院にあるという「八窓軒茶室」の両者の分析、さらにラファエロの「アテネの学堂」の分析にも惹かれた。