★木も芝もなほひややかにひるすぎぬ 石田波郷
★ひやひやと臓腑まさぐる超音波 中村 弘
本日は冷(ひ)ややか、冷え、冷気というような季語が思い出された日である。肌寒く半袖であらわな二の腕が冷ややかな空気を感じて、身が引き締まる。冷(つめ)たい、というと冬の季語になるが、冷ややかではまだまだ身をさらして気持ちのいい気分である。
同時に、冷ややかに物事を見つめる、という表現もある。こちらは心理的に物事を突き放してみる表現である。不同意の意味合いである。しかし季語としての冷ややかは、どちらかというと肯定的ではないだろうか。
第1句目も、庭の木や芝は好ましいものとして冷ややかであるのだ。木や芝を突き放して、そして嫌悪はしていない。身をさすように夏の暑い大気から、秋の柔らかな大気への変化を喜んでいる。
第2句目は、嫌悪ではなく不安を表している。検診でよく使われるエコーと云われる機器である。あのゼリー状のものが冷やっとする。これは検査への不安であると同時に、身を委ね切った諦念、どうにでもなれという開き直りへの契機ともなる瞬間である。あの感触は人生の曲がり角、一大エポックを象徴する感触である。
★ひやひやと臓腑まさぐる超音波 中村 弘
本日は冷(ひ)ややか、冷え、冷気というような季語が思い出された日である。肌寒く半袖であらわな二の腕が冷ややかな空気を感じて、身が引き締まる。冷(つめ)たい、というと冬の季語になるが、冷ややかではまだまだ身をさらして気持ちのいい気分である。
同時に、冷ややかに物事を見つめる、という表現もある。こちらは心理的に物事を突き放してみる表現である。不同意の意味合いである。しかし季語としての冷ややかは、どちらかというと肯定的ではないだろうか。
第1句目も、庭の木や芝は好ましいものとして冷ややかであるのだ。木や芝を突き放して、そして嫌悪はしていない。身をさすように夏の暑い大気から、秋の柔らかな大気への変化を喜んでいる。
第2句目は、嫌悪ではなく不安を表している。検診でよく使われるエコーと云われる機器である。あのゼリー状のものが冷やっとする。これは検査への不安であると同時に、身を委ね切った諦念、どうにでもなれという開き直りへの契機ともなる瞬間である。あの感触は人生の曲がり角、一大エポックを象徴する感触である。