Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

「運慶展」 感想4

2017年12月22日 15時39分19秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
   

 これは運慶の三男の康弁の作とされる邪鬼の像。頭の上に灯籠を支えるのが「龍燈鬼立像」、左肩で灯籠を支えるのが「天燈鬼立像」。阿吽の仁王像のように一対のものとして作られたようだ。運慶の指導を受けながら作られた像であると解説されている。康弁は運慶の3男。湛慶の弟か。
 展示でも解説でも康弁作となっているが、解説を読むと、その根拠は「龍燈鬼」の像内に康弁の名と制作年が記載された紙片が見つかったとのことを挙げている。解説でも天燈鬼については「康弁の兄弟とも想像できる」と記している。
 両方の像をじっくり見ると、腕の筋肉のつき方や血管の表現の仕方、足のひざの周りの筋肉の在りようから私は別の作者を想像した。
 一見、天燈鬼立像の方が、動的でより人気が高いかもしれない。しかし私は内に力を溜め、吽形像のような「龍燈鬼」のほうがずっと好みである。上目づかいで滑稽味もある。腰から下の足の形や筋肉全体のリアリティからも龍燈鬼一歩進んでいるのではないか。
 灯籠と台座は後補の可能性が高いようだ。