これは読みやすく、しかも設定がめちゃ面白い。どんどんページを繰る。あっという間にラストまで一気だ。
離島で起こる連続殺人事件。通常は通信機関がオミットされる。しかしこの小説ではそんなことはせず、登場人物たちが身の危険を感じ、警察に連絡できない状態にいる。この設定はユニークだ。そして犯人がいるのを確認しながら行う「こっくりさん」。面白い。才能まで感じるほどだ。
しかし、ラストの叙述トリックは何だ . . . 本文を読む
ミステリーの秀作と誉れ高い本作を見るまで時間がかかる。なんでかな。それほど長くもないし、嵐の中の連続殺人だし、興味深い話であります。
この小説、文庫本をまず読む。最初の登場人物のページを何度見直したか。登場人物が少ないわりに人物描写が深くないのか、よくだれがどうなのかわからないのだ。ラストでキーとなる女子大生にしても、人物欄では完全に女性だと書かれているし、(というのはボクという表現がどうも変な . . . 本文を読む
このシリーズも10巻。スピンオフも加えると13巻らしい。今回は、あっという間に読み切ったが、それでもいつものさわやかさは残る。でも、ちょっと当たり前すぎたかなあ、、。深さが不足気味。
これだけシリーズ化しているともう書くことにも窮するのかなあ。そんなことを考えてしまう本作だったが、でも骨格の竜崎本人の姿はまごうことなきほんものを持っている。ファンはずっと読み続けることだろう、、。 . . . 本文を読む
短編の名手、長岡による今までの短編をまとめた作品だ。設定が警察関係の学校や刑務所でなくてもまさに同じく面白さが堪能できる秀作ぞろい。
最近、ミステリーを読むと名前だけで違和感があり、どうも人物に入っていけない小説が多い。そんな苦痛もこの作家には全くない。どうやら私も世の中から遠く置き捨てられた人間であるらしい。この小説を読んでそんなことを考えた。 . . . 本文を読む
文庫本とはいえ、500ページ近くになる長丁場。ありとあらゆる最新の密室トリックが現れる。そりゃあ面白いわけないと言ったら嘘になる。よく、これだけ考えられるなあと思われるほど、もう現代では密室物のネタ切れといわれているのが嘘のよう。読者と一緒に楽しませてくれる。
まあ、こうこういう種のものは楽しむことが一番だ。どんどん人が死んでゆくので、新犯人は限られてくるが、その方面についてはかなりあっけらかん . . . 本文を読む
設定がこの世でないあの世の世界、というのがとてもユニーク。登場人物は6人。そして誰が犯人なのか、試行錯誤してゆく、、。
ミステリーって、もうSFを超えて、何でもありだね。これは読まさせられます。面白いです。でも、本格ものではないから、読者に伏線も与えられず、当然真犯人の手がかりもないまま、勝手に謎ときをさせられた感もありますね。
こういうところはアンフェアなんだろうけど、まあ面白ければ何でもあ . . . 本文を読む
7つの短編集。とは言いながら、それぞれ殺人事件が起こるが、ちゃんと解決しないまま、もう忘れ去られたように次の章に向かう設定。高校生たちが繰り広げられる展開で、いかにも大人のヤングたちで、年齢だけは超大人の吾輩も驚く始末。みんな大人だね。
いや、そんなことを言いたいわけではない。何かいつものミステリーとは違うなあと感じつつ、最後の7章へ。ここで、度肝を抜かれるというか、え、こんなのあり、みたいな終 . . . 本文を読む
460Pもの長丁場。孤島の連続殺人。そして二人きりになった後、、。250P迄読み進むと、食っていくページ数が気になり、あれ、あと200Pも残して、後どうするんだろうと思いきや、急に第一部が終わり、第二部へ。
がらりと雰囲気が変わり、珍しきや、清掃人の生活が描かれる。これは面白かった。そしてまたもや、第一発見者が殺されるというこの小説の歌いどころに読者をいざなってゆく、、。
結局460Pものペー . . . 本文を読む
これはスゴイ、、。こんなの初めて読んだ。真相は言えないけれど、吾輩もミステリーは何十年読んでるけど、またこのような空想的なトリッキー殺人はかなり読まされておるけれど、幽霊の存在をここまで真相にくっきりとはめ込んだというのは、ス、すごいです。
五十嵐は天才か?いや神か?普通の人間ならこういうトリックを考えることができようか、、。
感想になってないですね。とにかく度肝を抜かれました。 . . . 本文を読む
冒頭の殺人光景が残虐で、この作家の精神までも疑ってしまったほど、強烈だった。そしてそれから不思議な迷宮殺人事件勃発となったのだが、、。
うーん、そんな解決編だったのね。どこかで読んだ気もするが、でもやはり新鮮ではありまする。引っかかってしまったのは事実だし、この際きちんと騙されましたと白状しよう。
でも、あのわけの分からない左右識別障害って、なんだ? ほとんど知られていないこの病気をこのミステ . . . 本文を読む
重松の作品は久しぶり。この作品はずっと気になっていたけど、何故か読まないでいた。そして今年もいろいろあった暮れにじっくりこの作品を読む。短編集で、それぞれがいずれもどこかでつながっている。
底流に流れているのは人は死んでいくということだ。これは私たち人間から、いや動物、生きとし生けるものすべてから逃げることのできない設問である。
あまり本を読んで泣かない私だが、この本はじんわり泣いた。人が死ん . . . 本文を読む
いかにミステリーを読んでいる吾輩でも、この4編目の「いとしい人へ」には強烈に驚かされた。伊吹にしては、この1~3編目まで少々甘いかなあと思っていたのだ。それが、4年目の途中で、また1編の最初から読み始める羽目になってしまった。
これは僕の長いミステリー人生においても初めてのこと。
すごいからくり、どんでん返しにかなり懊悩する。いや、嬉しい。面白すぎる。でも、読んでいるのは、ラストの編ではないん . . . 本文を読む
石持の新作。彼の作品は誰も持ってないユニークさとスマートさが売り。それが存分に発揮された作品であります。
5編の短編集です。それぞれは設定が違い、ラストもそれぞれ違ってくる。よく考えている。ミステリーとしてもとてもまとまっており、しかも読みやすい。250ページの短さなので、あっという間に読んでしまう。それはもったいないぐらいです。
ずっと石持を呼んでいるが、ますます孤高の位置にたどり着こうとし . . . 本文を読む
実際に起こった惨劇からヒントを得た作品ですね。上流国民が多く入っているとされるホームでの9人もの殺戮。39条以外で無罪にできるかなど、読者をワクワクさせる内容でした。
構成からは、肝心の裁判まで非常に多くのページ数を重ね、ふといつものミステリーではないなあと思いつつ、被害者遺族を訪ね歩くその証言にこそ真実を突き詰めていく過程は実に迫力がありました。
これほど多作な中山氏の著書ですが、質が落ちな . . . 本文を読む
5編の短編もの。葛警部の推理の基づく群馬県刑事ものなのだが、すべてが鋭くとても面白い小説に仕上がっている。
最初の山岳遭難事件はそんなこともあるかね、という感想だったが、2編目からは私の眼の色が変わるほど、最近のミステリーでもこれほどの秀逸なものは読んでおらず、感心するばかり。
さすが米澤ミステリー、300ページ足らずの本ではあるが、あっと驚く仕掛けがすべてに用意してあり、ミステリーファンは狂 . . . 本文を読む