セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 96本、 演劇 72本

殺戮の狂詩曲(中山 七里  著)(2023 講談社) 80点

2023-11-22 11:08:06 | 読書遍歴
実際に起こった惨劇からヒントを得た作品ですね。上流国民が多く入っているとされるホームでの9人もの殺戮。39条以外で無罪にできるかなど、読者をワクワクさせる内容でした。 構成からは、肝心の裁判まで非常に多くのページ数を重ね、ふといつものミステリーではないなあと思いつつ、被害者遺族を訪ね歩くその証言にこそ真実を突き詰めていく過程は実に迫力がありました。 これほど多作な中山氏の著書ですが、質が落ちな . . . 本文を読む
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可燃物(文藝春秋  2023)(米澤 穂信) 80点

2023-10-09 18:43:24 | 読書遍歴
5編の短編もの。葛警部の推理の基づく群馬県刑事ものなのだが、すべてが鋭くとても面白い小説に仕上がっている。 最初の山岳遭難事件はそんなこともあるかね、という感想だったが、2編目からは私の眼の色が変わるほど、最近のミステリーでもこれほどの秀逸なものは読んでおらず、感心するばかり。 さすが米澤ミステリー、300ページ足らずの本ではあるが、あっと驚く仕掛けがすべてに用意してあり、ミステリーファンは狂 . . . 本文を読む
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魔女の原罪(文藝春秋 (2023)(五十嵐 律人 (著)  80点

2023-10-01 11:20:44 | 読書遍歴
主人公が高校生ということで平易に小説に入ることができた。さらに腎臓透析を受けている高校生たち、けれど何やら不穏な人たちが住んでいるある町に、、。 面白いんだけど、また最後まで真相がわからず引っ張っていくその書きぶり、そして真相にたどり着いたとき、やはりかなりの衝撃を受ける。いくらなんでもそういうことが、、なんて思ったりしたが、これはミステリー。本格ものではないが、実に五十嵐らしい論理で構成したミ . . . 本文を読む
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署長シンドローム(2023 今野 敏)(講談社) 75点

2023-08-31 19:27:03 | 読書遍歴
新キャラ超美人署長現る。という事で面白いけれどその美人ぶりの前で男性陣がすべてとろーんとしてしまうのが、ちょっとやりすぎかなとは思うけれど、でも読んでしまう。 大森署の常連たちはまた出没するし、一日だけ見た目をすべて記憶してしまうという新人署員もユニークで、しばらくこのシリーズは目が離せないです。 今野敏としては気楽に書き上げた作品なんでしょうな。まだまだ読者にとって何が一番面白いかなというも . . . 本文を読む
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高島太一を殺したい五人(石持 浅海  著)(光文社  2022) 75点

2023-08-20 17:03:45 | 読書遍歴
ちょっとひねくれてるしかし斬新で鋭い切り口のミステリー作家といえば石持だろう。本作も随分あり得ないほどの設定を仕組んだミステリーだが、読み始めて中盤まではとても面白くページが進むが、そのうち犯人像が見えて来るが、これは仕方のないところか。 中盤以降の展開が、少し冗漫で、これはこの作家の時々感じる悪いところ。まあ、でも許せる範囲。 どうしてこんなにいつもあり得ないほどのぎりぎりの設定でミステリー . . . 本文を読む
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新・教場(長岡 弘樹 著)(小学館  2023) 80点

2023-08-15 18:45:13 | 読書遍歴
やはり面白い。本当に警察学校がこうだとは思わないが、鋭く切れ味がいい。ミステリーではこれ以上のものは求めることはできないとも思われる。 短編なので、私のようにだらしない人間には、5,60ページぐらいで話が変わるのはありがたい。次作はまだだろうなあと思いながら、本を置く。特にラストの卒業式の話は唖然とする。切れすぎる! . . . 本文を読む
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灯台からの響き (集英社文庫)(2023 宮本 輝 著) 80点

2023-08-09 17:52:41 | 読書遍歴
珍しく宮本輝の本を読む。私も老いを感じるようになってから、主人公の気持ちが手に取るようにわかる。日本全国の灯台を旅しながら、生前の妻の秘密を紐解いてゆくというミステリ形式は最後まで集中力を断たない。 文章は平易で、出て来る登場人物もすべて市井の人たち。どこにもある幸せを人は幸せとは感じない。なくして初めて、幸せだったことを噛みしめる。 等身大の主人公の行動、思いに宮本輝の今日を見る。素晴らしい . . . 本文を読む
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録音された誘拐 阿津川 辰海(2022 光文社) 80点

2023-08-06 17:37:37 | 読書遍歴
あの短編名作「透明人間~」を書いた作家の長編もの。読み続けると、いろんな要素が入っていて、これは読みごたえがあるわいとほくそ笑む。どんな最後になるのだろうと期待していたら、しかしちょっとあんなのででいいのかな?と疑問がわく。 最後の謎ときが、一つは犯人二重説。こんなのでいいのだったら、いくらでも展開可能だね。また、美々香さんの突発性難聴なんて、別にこの犯罪に直接関係しないのに、オーラスに持ってき . . . 本文を読む
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教室に並んだ背表紙(2023 集英社文庫)(相沢 沙呼 著) 85点

2023-07-12 18:47:15 | 読書遍歴
ミステリーでもかなりの秀作を発表している相沢 沙呼の心に沁みるこちらもよどみどころのない秀作です。中学校、今はどういう状況か全くわからないが、この小説通りに悩みを持つ子供たちがいるのなら、ホント、相沢が心から子供たちに叫び続けているようなそんな声が聞こえた。 「助けてって、声を上げて生きてほしい」相沢が言いたかったのはその言葉だ。いじめって、ホント何故なくならないのか分からないが、この世の中から . . . 本文を読む
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月灯館殺人事件 (星海社FICTIONS)(2022北山 猛邦 著)  85点

2023-06-23 18:03:35 | 読書遍歴
うーむ、これはすごい。まさに本格ミステリーそのもの。雪に閉じ込められたクローズドサークル、西洋式7つの大罪、密室もの、首のすげ替え、そして展開はそして「誰もいなくなった」、、。これを340ページに詰め込んだ読みやすい文章。 本格好きの吾輩がこれを読むときどれだけ大切にページ送りしたことか。最後の1行で第ドンデン返しなんてあまり記憶ないけど、すごい小説です。 またまたニンマリさせられました。 . . . 本文を読む
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黒真珠(連城 三紀彦 著)(2022 中公文庫) 80点

2023-06-04 22:13:43 | 読書遍歴
連城がなくなって早20年。その間の未稿等を集めて出版された短編集です。男女の機微をミステリーの主題にすべての作品が力作です。 あまりのドンデンがえしにまさかと思われる作品もあるが、ミステリーというより純文学の感触もあり、読みごたえがある。連城の女性への追及または恋慕は想像を超え、まさに孤高の作品と言えます。素晴らしい。 . . . 本文を読む
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名探偵のいけにえ―人民教会殺人事件(白井智之 著)(新潮社  2022) 80点

2023-04-01 19:46:56 | 読書遍歴
秀作との評判高い本格ミステリー。舞台が外国に移ってから、外国人の名前が出始めてから、スピードが止まる。でも、表紙の裏に登場人物の名が出ているので、何とか読み切る。 りり子さんが素敵で、まさに断然主人公なのだが、まさかあんなことに。この辺りの白井の大胆ぶりに酔ってしまう。 話は二転三転、面白いです。人民教会は当時、世界的に衝撃を与えた事件なので、僕自身気にはなっていました。まあ、詐欺の蘊蓄も興味 . . . 本文を読む
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審議官(今野 敏著)(新潮社 2023) 80点

2023-03-25 18:23:16 | 読書遍歴
この竜崎シリーズは今まですべて読破している。とても面白く、いつもスカッとする。そんな本は意外と珍しいのだ。今回は、9編の短編スピンオフ集だ。長編ではないけれど、それでも面白さは変わらない。すぐ読破してしまった。 身内の家族はすべて出し、前任の大森警察署のその後も描いている。小高刑事も出て来る。いやあ、ファンとしてはものすごくうれしい限り。 もう読み終わり、次作を期待している。そんな書物はやはり . . . 本文を読む
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栞と噓の季節(米澤 穂信著)(集英社 2022) 75点

2023-03-23 20:28:44 | 読書遍歴
好きな米澤作品。でも今回のはなあ、、、。あの、青春ミステリーで、一気読み確実の描写力はさすがだが、何か足りないなあ。自分自身どこに不満があるのか分かりづらいけど。 敢えて言えば、真犯人が最後の方で急に出没し(前半でちょっとは出てたが)、ハイ犯人でござい、ていわれてもなあ。米澤にしてはフェアではないと判断する。(勝手です) それとあの毒薬で犯罪を犯す、、、他にもっと有効なものだってあるよな、とか . . . 本文を読む
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方舟(夕木 春央 著) (2022 講談社) 80点

2023-02-22 17:00:42 | 読書遍歴
いまどき珍しい本格ミステリーの本道を行く小説への意気込みはよくわかりました。特に最後の超どんでん返しでほとんどの読者が驚いたのは推察できます。 また、登場人物の名前も分かりやすく、(最近のは名前があまりに粋過ぎて、覚えられないのが多い)展開も閉ざされた空間に一人づつ殺されてゆく、もうこたえられない小説です。 さて誉め言葉はここまで。 もうこの小説もか、と言いたいのは、殺戮してゆく動機がなんと . . . 本文を読む
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