ホ・ジノの作品は淡々と愛と死を描き、そのため強烈に感動を覚えた作品だったが、本作はそれらを真正面から見据えている。死期を知った男。抗うことなく死を受け入れようとする男の心情が静謐なだけに人間ならいつかは迎えるその時を誰もが自分のものとして捉えることが出来るだろう。
それだからこそ神様が最後に与えてくれた恋人に病気のことを言うこともなく一人旅立っていく男。
分かるなあ。
彼だってだからといって甘んじ . . . 本文を読む
スカーレット・ヨハンソンが出ている映画でこれほど自我が出ていない映画もまあ珍しい。
この映画は実はヘレン・ハントの映画であり、ほかの俳優や題材もすべて彼女のための仕掛けなのである。
ヘレン・ハントといえばどちらかというと地味な女優である、と僕は思う。
あまり色気はないし、そう美人ではない。
ところがこの映画では、最初から人が変わったように妖艶である。この女優はヴァネッサ・レッドグレーブの感覚がある . . . 本文を読む