何か昔見た「旅情」をちょっと思い起こしたけれど、タッチが全然違うねえ。主人公のマダムが余裕あり過ぎなんだよね。C・ヘップバーンみたいに欲求不満気味じゃない。人生への哀しみもない。これ以上もう欲しいものはないぐらいの余裕さなのだ。
それなのにエトランゼは人間を襲うんだよね。暑く、カラカラの砂漠。カイロの観光名所を二人でただ歩く。口数は少ない。女は年上の実女の50がらみ。男は夫の元部下でアラブ系だけ . . . 本文を読む
アイシュビッツでのスリリングな二人の逢引と脱走までに至る経過が、現代にフラッシュバックされる映像とともに素晴らしく、きりりと引き締まっている。どんなみじめな境遇でも愛は芽生えるのだ。
思想犯とユダヤ人との差別のリアルさもさることながら、息子の母親がユダヤ人を毛嫌いし、ナチスドイツ後にはロシアに占領されていても、ただ血縁を守りたいがためにレジスタンス思想も人種もノンとするその徹底した母親像に唖然と . . . 本文を読む