相変わらず楽しいサンス節。題材はよくある女性大生と教授との不倫なんだけど、サンスにかかると春風のようにさわやかで、でもちょっぴりなまめかしい。からりと明るく湿っぽくはならない。ほんと、珍しい映画作家である。
チョン・ウンチェの容貌が韓国風でないのがこの映画のちょっと異国風のところだ。役柄ではロンドンに昔いたというからイギリス人とのハーフなんだろうか、僕はフランス人とのハーフかなあと思ったが、、。 . . . 本文を読む
いつ見てもホン・サンスの映画って、(いつも言うけど)フランス映画っぽい。軽妙でけれど本当は深刻で、でも滑稽でおかしい。そういう風に軽くさらりと人生をスケッチする。その行間からにじみ出る愛らしさがたまらない。
今回は彼の作品でも珍しくストーリーがしっかりある。ちゃんと考えられている。驚いた。起承転結の仕組みはいつも感じてはいたけど、今回は練られている。
でも、例の、飲みながらのグタグタ話は相変わ . . . 本文を読む
セリフの徹底的排除、動かない長時間のワンカット、聞こえてくる本来劇映画では排除される街中の日常音(騒音も交じる)、そして最後にミンリャンは映像の本質論を唱え、観客に映像を見続けることの忍耐力と想像力を導く。
今までの作品のように、現代人の孤独とか、よそ者意識の追及とかそういう括りでは本作を語ることは困難だろう。
映像はロングショットが多用され、実に街中で日常に僕らが風景(他人)を見ているそのま . . . 本文を読む