まだまだミステリーを楽しめるという意味でとことんファンに娯楽を提供してくれる、そういう意味では素晴らしい作品である。
今回の出し物で一番驚くのは、転生というミステリーではタブーに近い題材を、本格の神髄に据え付けたことである。しかし、これをきっちり描いていることにとても好感が持てるのである。ユーモア的なものに逃げず、しっかりミステリーの醍醐味ともなっている。
かなりの長丁場だが、後半は裁判シーン . . . 本文を読む
今、急に大人気の画家をモデルにした労作であります。忘れ去られていた画家であるが、その現代における意味合いとはと考えていた僕は、大いにテーマが違っていたので少々驚く。
絵を描くきっかけとなったのは妻の自死であり、妻の弟との葛藤がそれに輪をかけるという深い伏線がどうも僕には奇妙に思えて、なかなか馴染むところに行かなかったが、それでも読み物としては、一人の男の人生を川の流れに模して描く筆跡に読み進める . . . 本文を読む