相変わらずスピーデーで、気持ちよく、痛快で一気読みのできる数少ないミステリーであります。通常のミステリーとは謎解き部分が少ないが、読ませる熱意と努力はたいしたものだ。
本作は敢えて難しいハッカー事件に立ち入り、見事精密で面白い読み物にしてくれた。途中での竜崎が温かみを感じる人間になっている描写は特筆ものだ。彼もそこらの人間と変わらない血の流れを持っているということだ。
ラストの、竜崎が警察署か . . . 本文を読む
ビートルズの音楽に啓蒙されて出来た4編の短編。軽妙でコミカルなものから何やら深いものまである。何せ大阪中央郵便局前で、盆踊りまでやるんだから。一種の夢の中状態である。
音楽はビートルズにしては激しいものからポップスなものもある。聞きほれていると小さくなり劇が始まる。そのリフレイン。でも心地よい。
それほどテーマ性がある劇ではない。むしろ散文でいうところの随筆と言おうか。自由である。だから冒頭三 . . . 本文を読む