こんなに読みやすい小説も珍しいなあ。話が小刻みに章が設定してあるし、話が前にの交錯することもないし、主人公の目線そのままにストーリーが進行する。こんなシンプルすぎる展開もまた珍しい。、
ミステリーでそれができるということは、逆説的にはそれほど練っていないということにもなりかねないし、まあ本格物とは全然縁遠い。読者が犯人を当てる伏線など、そういう設定がほとんどないと言っていい。
ということはこの . . . 本文を読む
実にゆったりと寸分の違いのない大作家風の演出ぶりである。是枝の研ぎ澄まされた気持ちが映像の隅々にまで入り込んでいて、彼も随分老成してきたなあと思わせるほどだ。
それほど映画的にはけなすところなど全くない作品なのであるが、如何せんよくある母娘の大げさな諍いなどの葛藤もほとんどないことから、ドラマ的にはむしろ地味で(是枝はこれを狙ったのだろうが)ある意味劇的でないことから平板だと思ってしまい眠りを催 . . . 本文を読む