少年犯罪の抱える問題をえぐり出す野心作。今問題とされる現法律が加害者の更正だけのために存在していることの矛盾を指摘。被害者は少年犯罪の場合、加害者の名前さえ知らされない。もちろん、動機も伝えられることはない。
家裁とはそういうものらしい。
一瞬にして身重の愛妻を失った男性のそれからの日常は、、。
と、重いテーマであるが、結局解決はないのだろう、時間も癒しとならないはずだ。
日向寺太郎監督はそんな状 . . . 本文を読む
奇想天外なストーリーなのに、真摯に丁寧に描いているので、コメディーでもファンタジーでもなく、シリアスドラマに見立てているので、観客はかなりきつい思いをしたのではないだろうか。
要は今いる、生きている毎日の閉塞感からの解放、逃れ、そういう若者の切なる思いを漫画チックに描いたものなのだが、若者に伝わったかどうか、、。
僕たちオジンにはその辺りがある程度分かったつもりでいるが、今の若者はあまり理屈が分か . . . 本文を読む
冒頭のアイルランド政治集団の心の葛藤というものをほとんど感じないままの2時間だったが、演出は見事。町の人々の生き生きとした表情は年代をまったく感じさせない芸術品。キャスリーン・ライアンの美貌は絶品。惚れ惚れする。
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気負いすぎたのか、前半は興味もあるが、後半は散漫な展開に気持ちが離れてしまった。こんなこと映画では珍しい。岩下志摩の一人相撲が目立つが人物が多すぎ、誰かにのめりこめることも相成らず急遽ラストへ。ああ、無残。
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完全倒徐もの。密室。コロンボでこんなのなかったかな。
200ページと短いが1ページ1ページがもったいなく感じる。それぐらい、対決がスリリング。最近の本格ミステリーではかなり水準が高い小説であることは間違いがない。
お買い得。いい余韻。好きだなあ。
85点 . . . 本文を読む
豊田利晃の初の女性映画と思いきや、骨太の人間ドラマに仕立てている。その鮮やかさ。男がなぶりながら女を解体するその面白さ、すごさ。やはりこれは男の映画だぞ。
回り続けるカメラに酔いそうになる自分を抑え、計算尽くめで家族を作ろうとした実は大人になりきれていない可哀想な女の実態が浮かび上がる。
一見、怖い女も実は救いを求めている純朴な女なのだ。そんな女を小泉が好演。
何よりも大楠道代のあでやかさ。大きさ . . . 本文を読む
冒頭から息つく暇もないスピーデーな展開。ノアールの痛快な雰囲気が伝わる。このテンポ、好きだなあ。香港のこの夜の色もいい。たった4時間の裏の世界だけど、同時間的に動き始めるカメラも秀逸。演出も絵も面白い。
香港のノアールのスケッチとしては充分すぎるほどかっこいい。
後半ちょっとだれるところもあるが、そこは俳優の演技で持たせている。何か訳がありそうでなかったり、逆にあったりして、とサービスたっぷりの . . . 本文を読む
かなり面白い作品になった。何もこの役だったら30キロも減量しないでやせた俳優使えばいいのにと思いながら映像を見ていたが、最後の方ではやはり痩せる前の顔が必要なんですね。それにしても見事な痩せっぷり。
ベール、お見事。急激な痩せ方をしなければあの肉体の表情は出せないでしょう。
謎は最後まで分からないようにしてあるが、「MIRRER」じゃなく、「KIRRER」ぐらいは自然と分かる。でも、その後が分か . . . 本文を読む
クライムものかなあと思ったら、それは中途半端で内幕音楽業界ものだったり、おそらくこの映画はご当地アメリカではひとつひとつがかなり楽しめる内幕ものなのでしょう。
だけど、日本でそれを期待するのは無理だから通常に鑑賞するとアメリカではことさら面白いいシ-ンもただ退屈なシーンに成り果てる。
それにしても、ハーヴェイ・カイテルさま、もうちょっと作品を選んでほしい。
この役はあなたでなくてもよかったはず、、 . . . 本文を読む
マンガでも最近はこんな話にはしないような内容なので、それだけで唖然とさせられるが俳優陣は売り出し中の人がいたりJ・チェンが出てきたり多彩である。
ある国では女が優勢で、男がすべて奴隷になっているというプロットがそもそも笑わせるが、面白いのはそこまでで、あとはアクションもたいしたことはなく、幼稚といってもいいほどの展開なのだ。
大人が見るに耐えられると言えない映画であろうと思われる。
ああ、往生しま . . . 本文を読む
鳶(とび)というあまり普段気づかない仕事に焦点を当てたドラマ。
この手のものは、その意外性、魅力、さわやかさなど通常は鳶の世界に入ってしまい、たまらなく感動すべき作品になるべきなのであるが、如何せん観客に集中させてくれない脚本と演出。
何気ないところで過剰で冗漫な場面(たとえば女の子に服を選ぶシーンなどは長過ぎます。)も多く、つなぎも悪い。
それでも2時間見られたのは出演者一人一人の演技の魅力のお . . . 本文を読む
出だしからその読みやすさにびっくりする。
あっと気づいたらかなり読み終わっていることに気づいた。
それぐらい、滑らかな文章。
ところが急に新興宗教じみた話になってくると、例の話かと思い魅力が少なくなってくる。
でも、あのラストはいかにも投げだした感が強い。
練った作品とも思えない。それとも書けなくなったということか。
でも、あの収め方はないよな。
65点 . . . 本文を読む
「邪馬台国はどこですか? 」で、センショーナルなデビューを見せてくれた鯨統一朗。
今度は海外の世界7不思議に挑戦。
またまた面白い。
一休さんとか、軽いものが多かったけれど、やはり歴史ものが一番。
ピラミッドの謎からノアの箱舟に至るまで、あっといわせる発想がいい。
それより今回は寂れたバーでの4人の会話の面白いこと。
お酒と料理の薀蓄に至るまで、とても楽しい。
作品の7つの話そのものより、ここの登場人物の四人の会話が抜群に面白い。
今度は京都7不思議になるのではないか、という嬉しい予感させてエンド。
素晴らしい。
75点 . . . 本文を読む
ホ・ジノの作品は淡々と愛と死を描き、そのため強烈に感動を覚えた作品だったが、本作はそれらを真正面から見据えている。死期を知った男。抗うことなく死を受け入れようとする男の心情が静謐なだけに人間ならいつかは迎えるその時を誰もが自分のものとして捉えることが出来るだろう。
それだからこそ神様が最後に与えてくれた恋人に病気のことを言うこともなく一人旅立っていく男。
分かるなあ。
彼だってだからといって甘んじ . . . 本文を読む
スカーレット・ヨハンソンが出ている映画でこれほど自我が出ていない映画もまあ珍しい。
この映画は実はヘレン・ハントの映画であり、ほかの俳優や題材もすべて彼女のための仕掛けなのである。
ヘレン・ハントといえばどちらかというと地味な女優である、と僕は思う。
あまり色気はないし、そう美人ではない。
ところがこの映画では、最初から人が変わったように妖艶である。この女優はヴァネッサ・レッドグレーブの感覚がある . . . 本文を読む