
いまどきこういう映画は珍しい。何故って一昔前のように、人間を斜めから、真上から、真下から、真横からそして内臓からえぐり倒し解剖していく映画の何と、またすごいことか。
3姉妹の話です。3人とも醜悪である。誰もまともに見ておれないほどなのだが、でもそのうち三女が半端でないほど強烈である。子連れの夫と再婚している。料理も作っているとは思えない。アル中である。
この三女が暇だと姉に電話を絶え間なくかける。対する姉は切りもせず電話を聴いている。そのイライラが観客に伝染する。
不快な映画である。人生のドツボをそのまま伝えているようでもある。我々の住む世界にも内容は変われどこういう代物は毎日のように現れる。そう、それが日常である。生きるってホント耐え難い。この映画を見ていてそう思う。
捉え方が、昔見たベルイマン映画のようだと思う。若い時はこういう映画をよく見ていたなあと思う。歳を経て、こういう映画はやはり若い時に見るべきだと思う。人間を見る目が養われるというか、幅広に人を見ることができる。
映像カットが通常より少しだけ早く切り替わる。シーンの余韻をかみしめている間もなく、どんどん変わるので、スピーデーである。半面、そのうち喜劇のように思えてくる。
一番醜悪だなあと思っていた三女がラスト近くでは一番まともに思えて来るから、やれ不思議。ムン・ソリもイングリット・チューリンに見えてきた。まさにベルイマンだね。
なかなか面白い映画を観させていただきました。最近こんな奇作見なかったです。掘り出し物です。
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