地中で暮らす野菜一家がいる。
母親は大根。
色が白く、ふっくらした豊満な体で、実に働き者である。
煮物によく合い、おでんでは主役級である。
風呂吹き大根では、堂々一品で仕事をしている。
大根おろしやなますというふうに、生でもおいしい。
しなびても、たくあんとなって漬物界のトップに君臨している。
皆に愛される日本のお母さんである。
父親はゴボウ。
背は高いが、ガリガリにやせており、色は黒く貧相である。
筑前煮などの煮物関係で仕事しているが、主役になれず印象は薄い。
唯一、単独で仕事しているのが、きんぴらごぼうである。
食物繊維が多く、消化関係でいい働きをしている。
長男はカブ。
色白で母親似だが、丸々と太っている。
母親ほど働き者ではない。
主に漬物関係で仕事をしている。
石川県では、ブリと組んで、かぶら寿司といういい仕事をしている。
長女はニンジン。
他の三人が割と地味なのに対し、赤い衣装を着て派手である。
個性が強く、子供たちにはあまり人気がない。
煮物関係のほか、母親とペアでなますという仕事もする。
それから、他の三人には出来ない仕事をする。
キャロットジュースという飲料関係である。
性格が派手なだけあって、水商売が似合うのであった。