鹿児島の自然と食

鹿児島の豊かな自然(風景、植物等)、食べ物、史跡を紹介します。

食べ物の名前考(2)

2016-06-02 | エッセイ

食べ物の名前には、材料、料理法、調味料で表したものがある。

サバの味噌煮。

材料はサバであり、これを味噌味(あじ)で煮たものである、と、まことに明瞭でわかりやすい。

サンマの塩焼き、しかり。

だが、食べ物の名前は、このようにわかりやすいものばかりではない。

 

しらたきというのがある。こんにゃくの細いやつである。

こんにゃくは、色は黒っぽく、形は何の変哲もない板状で、使われる料理といえば煮物かおでんがほとんどである。

おしゃれな食べ物とは言いがたく、田舎者という感は免れない。

こんにゃくの一部がこれを嫌い、色を白くし、姿を細くして、きれいな滝に見立てて白滝と名乗ったのである。

 

○○のみぞれ鍋やみぞれ和えという料理がある。

みぞれとは、大根おろしのことである。

大根は、庶民的な食べ物で皆に愛されるが、大根役者、大根足というように、小馬鹿にされるところがある。

さらに「おろし」だから、大根より下に見られている。

大根の一部がこれを嫌がり、

「ほら、空から降ってくる霙(みぞれ)のようにきれいでしょ」

と、みぞれを名乗ったのだ。

 

だが、しらたきもみぞれも、いかに姿を変え名前を変えようと、しょせん元はこんにゃくであり、大根であって、お里は知れているのである。

コメント (2)
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