メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『おくりびと』(2008)

2010-05-25 22:42:55 | 映画
『おくりびと』(2008)
監督:滝田洋二郎
出演:本木雅弘、広末涼子、山崎努、余貴美子、吉行和子、笹野高史、杉本哲太、峰岸徹 ほか

気にはなっていたものの、あまり話題作を話題になってるうちに観ないほうなので先送りになってたけど、
今回の葬儀で話に出て興味を持ったので観てみた。ちなみに母は「期待してたわりにそうでもなかった」とのこと
観ているうちに次の展開が読めてくるようなストーリー構成だったけど、日本特有の納棺師って職業にスポットを当てたのがミソだな。

story
チェロ奏者の小林大悟は、念願のオーケストラに入って早々楽団が解散という憂き目に遭い路頭に迷う。
プロとして食べていくには半端な技術力しかなく、妻・美香のためにも1000万(!)で買ったチェロを売り払い、
実家のある山形に帰ることに決める。
喫茶店を経営していた父は、大悟が幼い頃に店のウエイトレスと駆け落ちしてしまい、
その後、店をスナックに改装して営んでいた母もまた2年前に他界。
「旅のお手伝い 正社員 未経験可」の広告を見てNK社の面接を受けた大悟は即入社が決定。
だがそれは「旅立ちのお手伝い」の間違いで、NKとは納棺、つまり納棺師の仕事だった。

初日から死後2週間放置された老婆の遺体を扱って、強烈なショックを受けるが、
社長が懇切丁寧に死者を整え、遺族が心から感謝を述べる姿を見て、納棺師の仕事に誇りを感じるようになる。
でも、美香は耐えられず「仕事を変えるまで実家に帰らせてもらいます」と出て行ってしまう。。


なんといっても本木雅弘の演技が今作を引っ張っている。元々の職業であるチェロの演奏シーンだって難しかったろうに、
納棺師ってゆう特殊な仕事の所作を覚えるのは大変だったろう。
それもまた脇を固める山崎努、吉行和子らベテランの存在があってこそ引き立つ役。
中でもやっぱ笹野高史さんがいいんだなあ~!どの映画に映ってても、そこの空気に自然に溶け込んでるって、
小津作品の笠智衆さんを見ているようだ。

仕事自体の辛さはもちろんのこと、職業差別ってゆうのも考えさせられた。
「子どもが生まれたら、堂々と自分の仕事が言える?子どもは学校でイジメられると思うし」
一番身近な妻にまでこんなに露骨に避けられたらショックだよね。
でも、ヒトの誕生に助産婦さんらが必要なように、ヒトの死にも手伝ってくれるたくさんのプロの方が必要であって、
どんな仕事も必要不可欠なパートを任されてるんだって改めて意識させられた。

なにげない河原にある石の中からひとつ選んで想いを込めて渡す「石文」ってゆうのもイイ。

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『アマテラス (第4巻)』

2010-05-25 18:21:06 | マンガ&アニメ
『アマテラス (第4巻) 第1部 戦士クシュリナーダ』 美内すずえ/著

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ずっと探してた4巻をなぜか図書館で発見!驚 だいぶ予約で待たされたけど、やっと手にできた。
3巻までを読み直さなかったから、前半の細かいストーリーをもう忘れかけてるんだけど、今作も濃いっ!!!
マンガを超えてる。宗教すら超えてる気がする。スピリチュアルも・・・???なんだか凄いです。
それでもどこかすんなり受け入れることが出来るのは、言葉と絵の断固とした説得力のせいか。
途中ところどころ、自分で昔無意識で書いた詩にも当てはまる事柄があったりしてフシギだった(紫の回転する光とか、自ら光になって宇宙を漂うとかetc.

あらすじ
沙耶は白上老人のもとで暮らし、乙姫山のストーンサークルに集まった光の集団から声が降りる。
透明なカラダになり、光の洗礼を受けた沙耶は、神剣と盾を授かる。
目が覚めた沙耶は、白上老宅に代々伝わる神鏡を見つけ、龍が日本列島に同化し、ちりぢりとなって沈む様を観る。
それは魔神(ハタレ)らが企てている、富士山大噴火から地震プレートをつたって列島を沈没させる計画を意味していた。
剣と盾がそれぞれ琵琶湖(イザナギ・イザナミを祀る多賀大社がある)と淡路島(オノゴロ島)にあると分かり探しにいく。
どこにいるかも分からない瀕死のスサノオに気を分け与え命を救う。


以下は本書に出てくる気になる単語のメモ↓↓↓

「時間」と「空間」と「光」は密接な関係にあり、今まで神秘とされていたものも宇宙の法則と分かる。
「音」と「光」は同じもの=波動(バイブレーション)
「石」と「水」は同じもの。石の振動数の異なる波動は生命体にとって重要。健康のため水を飲むといいのは一定の安定した波動を取り込むから。
「水」は「音」の源から発している。

ピラミッドももとは球状。多くの次元より空間物質(パワー)を引き寄せやすい。
肉眼が視覚するのは光子物質のごく一部。実際に存在するものの1割も見ていない。波動・波長を合わせれば、多次元で見える。
「超意識」により宗教・科学・芸術・文化はひとつに統合され、政治・経済は価値観の転換によりまったく変わる。貧富の差もなくなり、老化・寿命もコントロール可能。
山も河も海も石も動物も月や惑星もみな同じひとつのもの。宇宙意識体の意識細胞のひとつ。

「日本」=「竜の背骨」「霊の元(ひのもと)」数多くの神界があり、地球自体の霊的エネルギーを調整している。
「言葉」=光透波(ことば)
「人」=霊止(ひと)。神の霊が肉体に止まりしもの。肉体は歩く神社(かみやしろ)。
「祈り」=意乗り。自分の魂を創造主と同調させること。
第3の目=額のチャクラにある。位の高い竜神系のエネルギー波(紫の光の波)が見える。
「現象界」=この世は心に思うことが象(かたち)になって現れる世界。心が平和と愛に満たされていれば楽しい人間関係や社会が築かれるし、憎しみや怒りがあれば争いや暴動の絶えない荒れた社会となる。心の因子を変えないかぎり、同じことが繰り返される。
神力(心を動かす)≠超能力(物を動かす) 神力は愛と幸せに満たされ活性化していくエネルギー。
「元気」=生命の元の気(エナジー)。元気は無尽蔵にある。要はどう取り出すか。

乙姫神社や乙姫山も実在するのか。
ちなみに本書が発行されたのは2001年。もうすでに約10年前。5巻はいつのことやら。てか、完結するだろうか???

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つげ義春コレクション『苦節十年記/旅籠の思い出』

2010-05-25 18:15:06 | 
つげ義春コレクション『苦節十年記/旅籠の思い出』
(エッセイ) / 旅籠の思い出 / 上州湯宿温泉の旅 / 颯爽旅日記 / 東北の湯治場にて / 夢日記 / 断片的回想記 / 密航 / 自殺未遂 / 四倉の生 / 万引き / クロという喫茶店 / 妻のアルバイト / カメラ商開業未遂 / 最初のひとつ / いつも変わらぬ貧乏話 / つげ忠男の暗さ / つげ忠男の不運 / 苦節十年記 / つげ義春自分史 / (イラスト) / 旅の絵本 / 桃源行 / つげ義春流れ雲旅
解題・高野慎三 解説・名人伝 池内紀

借りて見て、マンガでなくエッセイ集だと気づいて驚いた。それでも、帰りの高速バスの中と自宅で一気読み。
義春が4歳くらいまでは、腕のたつ板前さんだった父の稼ぎで安穏に暮らしていた家族らが、
父の病死以降は一変し、つげは義父に、弟は義祖父に虐待され、兄弟みな小学校を出てすぐ働かされ、
それからずぅっと壮絶なビンボー話がつづく。

メッキ工ほかさまざまな職の変遷、引越しも多いし、貸し本屋ブームの頃に漫画家を目指して出版社を回り、その日暮らしの日々。
いろんな女性と同棲するたびにマンガを量産するがまとまった金にもならず、別れ話のもつれから自殺未遂をはかる。
そんな実話を基にして描いた作品との関連性も分かって興味深い。

山間や海沿いの寂れた湯治場にある宿の話、弟・忠男のデビュー作をもらったり、共同で量産しようという計画も破れた話、
中古カメラを売りさばいたり、河川敷の石を集めて売ったり・・・こんなフシギな生活もあるんだなあと妙に感心。
ほかにも略歴、イラスト、夢日記も収録されている(夢から得たアイデアで描いたマンガも多い)。


本書にたくさんの喫茶店が登場してきて、いちいち気になった。漫画家はけっこう喫茶店を拠点にしてるのか?

▼水道橋 「セントルイス」
▼御徒町 「寿苑」
▼池袋 西武デパート前 「小山」
▼錦糸町駅前 「コンパル」(美人喫茶店なんてゆうのもあったらしいw

水木しげるとの交流も書かれているから、『ゲゲゲの女房』にも登場する?!
精神的にまいってた時の「森田療法」っていうのも気になった。
「一切の関係から切れた単独の乞食こそ最高の生き方だと思う。」ちょっと分かる気がする。

映画化もされている(まだ観てないもの)↓↓↓
▼『ゲンセンカン主人』 石井輝男監督
▼『蒸発旅日記』 山田勇男監督
▼『リアリズムの宿』 山下敦弘監督


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