『蟹工船』(2009)
原作:小林多喜二 監督・脚本:SABU
出演:松田龍平、西島秀俊、木下隆行、木本武宏、皆川猿時、でんでん、大杉漣、森本レオ ほか
主題歌:♪風人/NICO Touches the Walls
「オレたちの弱点は“慣れ”だ。貧乏や、命令、我慢に慣れすぎている!」
「自分なんかどうせ・・・」と卑下せず、「悪いのはみんなあいつらだ・・・」と他人のせいにせず、
「1人1人が、まず自分がどうしたいか、よく考えること」「そして行動すること」
蟹は美味しいよねぇ・・・でも、これを観たら今度蟹食べる時に思い出して食欲も失せちゃうかも
蟹は相当金になるってことだよね。みんなどんだけ好きなんだって。
▼story
蟹工船では毎日、毎日、蟹を獲り、茹でて加工し、缶詰にするまでの工程を繰り返している。
船員は過酷な労働条件の下で、奴隷のごとく働かされ、病気になっても、力が尽きても、
棒で叩かれ、銃で脅されて、さらに罵声を浴びせられるだけ。
新庄は「この状況はどうやっても変えられない!オレは来世に賭ける。
近所の木村さんちは大金持ちだから、早々に今生に別れを告げて、そこに生まれることにする。
ここでのたれ死ぬのもイヤだし、沈没もイヤだ。死に方ぐらいは自分で決めたい!」と全員を煽り、みんなで集団自殺することを思いつく。
しかし、綱が首に食い込むと苦しくて断念。
新庄は塩田とともにボートで脱出。ロシア船に救出される。そこでは船員はダンスをし、たらふく飲んで食べて楽しんでいる。
怪しげな中国系通訳から「あなた達が間違っている。1人1人がよく考えて、行動しなければ何も変わらないよ」と言われ目が覚める。
新庄と塩田は自分らの船に戻り、結束して、労働条件改善の要望書を作り、旗印なども準備して意気揚々と浅川らに突きつけるが・・・
原作を読んでいないので、不況とは言え、昔と比べたら全然恵まれた環境を当然のごとく享受している現代から見たら、具体的な事情がいまいちよく理解できない部分が多々あった。
大の大人がなぜ少数の者の下で奴隷のように働かされて文句ひとつ言わずにいるのか、
なぜ、田舎に帰っても家族一緒に暮らせないほど極貧で、どの仕事に就いても過酷な労働条件は変わらず搾取されているのか。
支配している側の浅川のキャラクター設定も気になる。なぜ足をひきずって歩いているのか、顔の傷はどうしてついたのか。
戦争に負けた直後の日本が舞台なのだろうが、ロシア船で見るまで本当に労働組合は皆無だったのか、それが一番フシギ。
そして、もっと考えなければいけない問題は、この恵まれた現代になぜ今作がベストセラーとなり、これほど話題になったか。
ゆるゆると働いていても、中流な生活環境が確保できる今の日本。
その働き方、もっと言えばどう生きるか、いや生きたいか、その根本が問われてる気がした。
“恵まれた環境”とはいえ、少数の富裕層が儲け、その他大勢の民衆が搾取されているという状況は、
いつの時代も、どこの国にもあっても、わたしたちはまるでそれが当然のように受け入れて、慣れてしまっている。
社会がどこもそうだから自分も同じようでなければならない。ガマンして当然。怠惰は敵。
そんな根拠の曖昧な義務感と、自分が本当にありたいと思う姿との歪みが綿々とあって、
あらゆるものに“癒し”を求めたり、精神的なものが流行ったり、最悪、自ら命を絶つ人が増えることにもつながりかねない。
「分かってないな。オレたちはみんな一緒の歯車なんだよ」
支配していると思っている浅川も、結局のところ船員たちと同じ奴隷にすぎなかったということか。
TKOの木下隆行が、重苦しい話にちょっとだけユーモアを持ち込む存在感を出している。
松田龍平は相変わらず飄々と演じていて、周りと比べたら異質に見える理由は途中で明らかとなる/驚
カヲルさんも出演。でっぷりとしたお腹を突き出して、大声上げて威張り散らす感じは大人の芝居でもよく見るよねw
ラストはNICOの音楽がカッチョよく流れて、「1度や2度の失敗にめげずに、何度でも向かって前進してゆく」
そんな勢いとやる気を起こさせるようなエンディングでしめている。
1953年にも映画化されて、森雅之さんも出ているから、こちらもぜひ観てみたい。
昭和の映画のほうがもっとリアルに感じられるかも。
原作:小林多喜二 監督・脚本:SABU
出演:松田龍平、西島秀俊、木下隆行、木本武宏、皆川猿時、でんでん、大杉漣、森本レオ ほか
主題歌:♪風人/NICO Touches the Walls
「オレたちの弱点は“慣れ”だ。貧乏や、命令、我慢に慣れすぎている!」
「自分なんかどうせ・・・」と卑下せず、「悪いのはみんなあいつらだ・・・」と他人のせいにせず、
「1人1人が、まず自分がどうしたいか、よく考えること」「そして行動すること」
蟹は美味しいよねぇ・・・でも、これを観たら今度蟹食べる時に思い出して食欲も失せちゃうかも
蟹は相当金になるってことだよね。みんなどんだけ好きなんだって。
▼story
蟹工船では毎日、毎日、蟹を獲り、茹でて加工し、缶詰にするまでの工程を繰り返している。
船員は過酷な労働条件の下で、奴隷のごとく働かされ、病気になっても、力が尽きても、
棒で叩かれ、銃で脅されて、さらに罵声を浴びせられるだけ。
新庄は「この状況はどうやっても変えられない!オレは来世に賭ける。
近所の木村さんちは大金持ちだから、早々に今生に別れを告げて、そこに生まれることにする。
ここでのたれ死ぬのもイヤだし、沈没もイヤだ。死に方ぐらいは自分で決めたい!」と全員を煽り、みんなで集団自殺することを思いつく。
しかし、綱が首に食い込むと苦しくて断念。
新庄は塩田とともにボートで脱出。ロシア船に救出される。そこでは船員はダンスをし、たらふく飲んで食べて楽しんでいる。
怪しげな中国系通訳から「あなた達が間違っている。1人1人がよく考えて、行動しなければ何も変わらないよ」と言われ目が覚める。
新庄と塩田は自分らの船に戻り、結束して、労働条件改善の要望書を作り、旗印なども準備して意気揚々と浅川らに突きつけるが・・・
原作を読んでいないので、不況とは言え、昔と比べたら全然恵まれた環境を当然のごとく享受している現代から見たら、具体的な事情がいまいちよく理解できない部分が多々あった。
大の大人がなぜ少数の者の下で奴隷のように働かされて文句ひとつ言わずにいるのか、
なぜ、田舎に帰っても家族一緒に暮らせないほど極貧で、どの仕事に就いても過酷な労働条件は変わらず搾取されているのか。
支配している側の浅川のキャラクター設定も気になる。なぜ足をひきずって歩いているのか、顔の傷はどうしてついたのか。
戦争に負けた直後の日本が舞台なのだろうが、ロシア船で見るまで本当に労働組合は皆無だったのか、それが一番フシギ。
そして、もっと考えなければいけない問題は、この恵まれた現代になぜ今作がベストセラーとなり、これほど話題になったか。
ゆるゆると働いていても、中流な生活環境が確保できる今の日本。
その働き方、もっと言えばどう生きるか、いや生きたいか、その根本が問われてる気がした。
“恵まれた環境”とはいえ、少数の富裕層が儲け、その他大勢の民衆が搾取されているという状況は、
いつの時代も、どこの国にもあっても、わたしたちはまるでそれが当然のように受け入れて、慣れてしまっている。
社会がどこもそうだから自分も同じようでなければならない。ガマンして当然。怠惰は敵。
そんな根拠の曖昧な義務感と、自分が本当にありたいと思う姿との歪みが綿々とあって、
あらゆるものに“癒し”を求めたり、精神的なものが流行ったり、最悪、自ら命を絶つ人が増えることにもつながりかねない。
「分かってないな。オレたちはみんな一緒の歯車なんだよ」
支配していると思っている浅川も、結局のところ船員たちと同じ奴隷にすぎなかったということか。
TKOの木下隆行が、重苦しい話にちょっとだけユーモアを持ち込む存在感を出している。
松田龍平は相変わらず飄々と演じていて、周りと比べたら異質に見える理由は途中で明らかとなる/驚
カヲルさんも出演。でっぷりとしたお腹を突き出して、大声上げて威張り散らす感じは大人の芝居でもよく見るよねw
ラストはNICOの音楽がカッチョよく流れて、「1度や2度の失敗にめげずに、何度でも向かって前進してゆく」
そんな勢いとやる気を起こさせるようなエンディングでしめている。
1953年にも映画化されて、森雅之さんも出ているから、こちらもぜひ観てみたい。
昭和の映画のほうがもっとリアルに感じられるかも。