■『誰もが幸せになる 1日3時間しか働かない国』
シルヴァーノ・アゴスティ/著 野村雅夫/訳 マガジンハウス
★シルヴァーノ・アゴスティ
きっと今も「早く週末来ないかなあ~」とか、「道に大金落ちてないかなあ~!」なんて思っている人がいるのでは?(わたしだけ?
仕事を辞めたこの数ヶ月間、ずっと考えてた「労働」「自由」「生活」「幸福」の関係についての疑問が本書でスッキリ解けた気がした!
『夢をかなえるゾウ』では、「本当に好きなことを仕事にすればいい」とあったが、
本書ではさらに大胆に「労働時間を1日3時間にした国」を提案している。
政治家をボランティアでやらせるってわたしもずっと思い描いていた一番手っ取り早く世の中を改善する1つの方法だと思う。
実のところ、本書の内容と似たことをわたしも周りの2~3の人々に話したとき、「理想と現実は違う」とか「働かないのは怠惰だ」と笑われた。
まるで新興宗教のパンフレットみたいな胡散臭い話と思うか、じゃなきゃ社会の落伍者か、
それとも欝だと心配される可能性もなきにしもあらず
そうゆうわたしも理想郷を夢見ながらも「実際変えるのは難しい」と、行動に移す努力をせずに諦めてしまうのが悲しい。
何かを考え、行動を起こすより、日々ままならないことを愚痴り、何もしないほうがはるかに楽だから。
大金を払って政治屋に任せて責任を押し付け、失敗するたびに笑って済ませるほうがよっぽど楽だ。
民衆が深く考え、革命を起こしたりさせないように、いつでも疲れ、無感覚になるシステムに自ら甘んじているということ。
働かずとも生産性が上がる仕組みって具体的にどんなものなのだろう???
確かに、今政治屋に使われている莫大な税金を公共に使うだけでも相当違うだろうけど。
そもそも本当にそんな国があったらひっそりと存在はできないだろうし。
パパラッチがスクープして、各国の偉い批評家たちが根本から否定するかもしれないし、
ユートピアを夢見る人々がキルギシアに押し寄せ、絶妙なバランスで保たれていた幸福もあっという間に荒らされてしまいそうだ(こないだ読んだドストエフスキーの『おかしな人間の夢』みたいに
それでも、あとがきにある通り、「こうありたい」と一人一人が認識し、想像すれば、いつかキルギシアをそれぞれの国で創造できるのではないか。
まさにジョンとヨーコが♪イマジンで歌った世界。
人々は「実際に成り立たない」と頑なに疑いながらも、本当はそんな理想郷を切望しているからこそ、
この歌をずっと歌い続けているのではないだろうか。
母はイタリアが好きで「日本人みたくせかせかしてない」ことを殊更いつも賛美しているが、
イタリアと日本が政治的に似ているって件は意外。
読後に早速、労働条件を変えて探してみても、求人情報にはいつ見ても似たり寄ったりな9時~18時(残業20時間/日)といったものばかり。
でも、わたしの世代で何もかも変わらなくても、想像し続ければ、いつかは理想に近づいていくかもしれない。
事実、世の中の働き方は多様化して、世の中は常に変わりつつあるのだから。
ぜひ、たくさんの人に読んで欲しいなあ!で、どう思ったか感想を聞いてみたい。
「こんなことムリだよ」って人のほうが多いだろうか?
「本当にこんな国があればいいなあ」と夢想に終わるだけだろうか?
それとも「いや、自分にこれなら出来るかもしれない」と勇気を持って価値観を覆す人もいるだろうか?
一人一人の考えが、いつか本当に1日3時間労働で心豊かに暮らせる生活を可能にするかもしれない。
著者は映画監督もやっていて、その作品は常に高い評価を受けているとのこと。
タイトルをざっと見た限りではまだ観たことない気がするから、ぜひ映画も観てみたい。
▼本書抜粋メモ
p.12
「僕らの社会の休暇の概念が、仕事についての考え方と同じように、ひどいものだってことがわかってくる。休暇の時期になると、何百万もの人々が楽しむことを強制される。そして残りの時期は息つく間もなく働いたり、うまく仕事にありつけないかと夢見たり、毎日の義務的な労働からくる心身のトラブルを解決することに費やしてしまうんだ。1日8時間労働のメカニズムは、社会的な緊張や神経症や欝や体の不調を生み出している。何より、誰もがはっきり感じているんだよ、大事な自分の時間をみすみすどぶに捨ててるってことをね」
p.16
「労働から解放された人間にこそ本来の生産力があるはずだ」
p.19
「世界中の子どもたちの99%が望んでることって何だろう?遊ぶことだよ」
強制される勉強ではなく、遊びながら「学ぶ」ことが重要。
p.29
「順応主義や右へ倣えの精神から心を解き放つことができればいいなと願っているんです。新しい技術の登場は労働時間を飛躍的に短縮することで、私たちを仕事の抑圧から解放してくれるはずでした。残念ながら、僕たちにあてがわれたのは、やっと生きていくだけのせせこましい時間であって、人生をじっくりと味わえるようなものではなかったんです」
p.33
「新しいテクノロジーが生産効率を飛躍的にアップさせたのに、労働時間は元のまま変わっていないってことに、僕たちの社会ではほとんどの人が気づいていない」
p.48
「誰かと愛し合いたいなと思ったら、それを知らせるために、胸に小さな青い花をつけておくんです」
「社会の歪みは、愛情をつかさどる3つの構成要素がそれぞれバラバラになってしまうことに原因がある。
その3つとは、優しさと性欲と愛。性欲や愛のない優しさは偽善を生む。優しさや愛のない性欲はポルノを生む。性欲や優しさのない愛は神秘主義を生む」
p.50
「広告を止めれば、モノの値段は全部半額になるのではないか」
p.54
「そんなの不可能だとか夢物語だとか、いつも人々は決め付けて、その情熱にブレーキをかけていたわけさ」
p.108
「まずは、経済的にも心理的にも感情的にも自立した人間にならなければならない。こうした見地に立てば、2人の人間が生活を共にしようということになったとき、依存しあうことなく、互いに自由を与えあうことができるんです」
p.112
現実の学校は退屈な義務でしかなく、政治家は特権をむさぼり、老人は「自宅に閉じ込められたお年寄りたちは、自分たちを受け入れようとはしない世界を窓からひっそりとうかがっていることだろう。彼らは社会からは疎外され、家族からは面倒がられ、雀の涙ほどの年金を食いつぶさないように気を遣いながら生きていく」
p.120
「早く週末が来ないものかと願いながら僕は生きてる。少しは自由な時間が持てるからね。とはいっても、実際に空き時間ができると、往々にして何をしていいかわからなくなってしまうんだ」
p.126
「僕のハンディキャップは、誰も自由ではない社会の中でひとり自由でいることだ」
p.132
「これは、読み終えるのに時間はさほどかからないが、読み終えた後には長い時間考えさせられる小説なのである」
シルヴァーノ・アゴスティ/著 野村雅夫/訳 マガジンハウス
★シルヴァーノ・アゴスティ
きっと今も「早く週末来ないかなあ~」とか、「道に大金落ちてないかなあ~!」なんて思っている人がいるのでは?(わたしだけ?
仕事を辞めたこの数ヶ月間、ずっと考えてた「労働」「自由」「生活」「幸福」の関係についての疑問が本書でスッキリ解けた気がした!
『夢をかなえるゾウ』では、「本当に好きなことを仕事にすればいい」とあったが、
本書ではさらに大胆に「労働時間を1日3時間にした国」を提案している。
政治家をボランティアでやらせるってわたしもずっと思い描いていた一番手っ取り早く世の中を改善する1つの方法だと思う。
実のところ、本書の内容と似たことをわたしも周りの2~3の人々に話したとき、「理想と現実は違う」とか「働かないのは怠惰だ」と笑われた。
まるで新興宗教のパンフレットみたいな胡散臭い話と思うか、じゃなきゃ社会の落伍者か、
それとも欝だと心配される可能性もなきにしもあらず
そうゆうわたしも理想郷を夢見ながらも「実際変えるのは難しい」と、行動に移す努力をせずに諦めてしまうのが悲しい。
何かを考え、行動を起こすより、日々ままならないことを愚痴り、何もしないほうがはるかに楽だから。
大金を払って政治屋に任せて責任を押し付け、失敗するたびに笑って済ませるほうがよっぽど楽だ。
民衆が深く考え、革命を起こしたりさせないように、いつでも疲れ、無感覚になるシステムに自ら甘んじているということ。
働かずとも生産性が上がる仕組みって具体的にどんなものなのだろう???
確かに、今政治屋に使われている莫大な税金を公共に使うだけでも相当違うだろうけど。
そもそも本当にそんな国があったらひっそりと存在はできないだろうし。
パパラッチがスクープして、各国の偉い批評家たちが根本から否定するかもしれないし、
ユートピアを夢見る人々がキルギシアに押し寄せ、絶妙なバランスで保たれていた幸福もあっという間に荒らされてしまいそうだ(こないだ読んだドストエフスキーの『おかしな人間の夢』みたいに
それでも、あとがきにある通り、「こうありたい」と一人一人が認識し、想像すれば、いつかキルギシアをそれぞれの国で創造できるのではないか。
まさにジョンとヨーコが♪イマジンで歌った世界。
人々は「実際に成り立たない」と頑なに疑いながらも、本当はそんな理想郷を切望しているからこそ、
この歌をずっと歌い続けているのではないだろうか。
母はイタリアが好きで「日本人みたくせかせかしてない」ことを殊更いつも賛美しているが、
イタリアと日本が政治的に似ているって件は意外。
読後に早速、労働条件を変えて探してみても、求人情報にはいつ見ても似たり寄ったりな9時~18時(残業20時間/日)といったものばかり。
でも、わたしの世代で何もかも変わらなくても、想像し続ければ、いつかは理想に近づいていくかもしれない。
事実、世の中の働き方は多様化して、世の中は常に変わりつつあるのだから。
ぜひ、たくさんの人に読んで欲しいなあ!で、どう思ったか感想を聞いてみたい。
「こんなことムリだよ」って人のほうが多いだろうか?
「本当にこんな国があればいいなあ」と夢想に終わるだけだろうか?
それとも「いや、自分にこれなら出来るかもしれない」と勇気を持って価値観を覆す人もいるだろうか?
一人一人の考えが、いつか本当に1日3時間労働で心豊かに暮らせる生活を可能にするかもしれない。
著者は映画監督もやっていて、その作品は常に高い評価を受けているとのこと。
タイトルをざっと見た限りではまだ観たことない気がするから、ぜひ映画も観てみたい。
▼本書抜粋メモ
p.12
「僕らの社会の休暇の概念が、仕事についての考え方と同じように、ひどいものだってことがわかってくる。休暇の時期になると、何百万もの人々が楽しむことを強制される。そして残りの時期は息つく間もなく働いたり、うまく仕事にありつけないかと夢見たり、毎日の義務的な労働からくる心身のトラブルを解決することに費やしてしまうんだ。1日8時間労働のメカニズムは、社会的な緊張や神経症や欝や体の不調を生み出している。何より、誰もがはっきり感じているんだよ、大事な自分の時間をみすみすどぶに捨ててるってことをね」
p.16
「労働から解放された人間にこそ本来の生産力があるはずだ」
p.19
「世界中の子どもたちの99%が望んでることって何だろう?遊ぶことだよ」
強制される勉強ではなく、遊びながら「学ぶ」ことが重要。
p.29
「順応主義や右へ倣えの精神から心を解き放つことができればいいなと願っているんです。新しい技術の登場は労働時間を飛躍的に短縮することで、私たちを仕事の抑圧から解放してくれるはずでした。残念ながら、僕たちにあてがわれたのは、やっと生きていくだけのせせこましい時間であって、人生をじっくりと味わえるようなものではなかったんです」
p.33
「新しいテクノロジーが生産効率を飛躍的にアップさせたのに、労働時間は元のまま変わっていないってことに、僕たちの社会ではほとんどの人が気づいていない」
p.48
「誰かと愛し合いたいなと思ったら、それを知らせるために、胸に小さな青い花をつけておくんです」
「社会の歪みは、愛情をつかさどる3つの構成要素がそれぞれバラバラになってしまうことに原因がある。
その3つとは、優しさと性欲と愛。性欲や愛のない優しさは偽善を生む。優しさや愛のない性欲はポルノを生む。性欲や優しさのない愛は神秘主義を生む」
p.50
「広告を止めれば、モノの値段は全部半額になるのではないか」
p.54
「そんなの不可能だとか夢物語だとか、いつも人々は決め付けて、その情熱にブレーキをかけていたわけさ」
p.108
「まずは、経済的にも心理的にも感情的にも自立した人間にならなければならない。こうした見地に立てば、2人の人間が生活を共にしようということになったとき、依存しあうことなく、互いに自由を与えあうことができるんです」
p.112
現実の学校は退屈な義務でしかなく、政治家は特権をむさぼり、老人は「自宅に閉じ込められたお年寄りたちは、自分たちを受け入れようとはしない世界を窓からひっそりとうかがっていることだろう。彼らは社会からは疎外され、家族からは面倒がられ、雀の涙ほどの年金を食いつぶさないように気を遣いながら生きていく」
p.120
「早く週末が来ないものかと願いながら僕は生きてる。少しは自由な時間が持てるからね。とはいっても、実際に空き時間ができると、往々にして何をしていいかわからなくなってしまうんだ」
p.126
「僕のハンディキャップは、誰も自由ではない社会の中でひとり自由でいることだ」
p.132
「これは、読み終えるのに時間はさほどかからないが、読み終えた後には長い時間考えさせられる小説なのである」