メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『冷血』(1967)

2010-08-18 14:08:39 | 映画
『冷血』In Cold Blood(1967)
原作:トルーマン・カポーティ 監督・脚本:リチャード・ブルックス 音楽:クインシー・ジョーンズ
出演:ロバート・ブレイク、スコット・ウィルソン、ジョン・フォーサイス、ポール・スチュワート、ジェフ・コーリイ、ジェームズ・フラヴィン、ジェラルド・S・オローリン ほか

trailer

「1959年に実際に発生した殺人事件をもとにカポーティが徹底的に取材して書いたため、
彼は本作を「ノンフィクション・ノベル」と呼んだ。1965年に発表。
本作は、作者にさらなる富と名声をもたらしたが、以後、作者は作品を1つも完成出来なかった。(ウィキ参照

story
仮出所中のペリーは、ディックと落ち合い強盗殺人の計画を立てる。
それはディックが刑務所仲間から聞いた話で、ある豪農の家に1000万ドルを貯めた金庫があるという情報から始まった。
午前2時、2人は鍵もかけない田舎町の一軒家に忍び込むが、金庫はなく、奪ったのはたったの40ドル。
翌朝、様子がおかしいとやって来た友人は、一家がむごたらしく惨殺されているのを発見。
たちまちマスコミが寄ってきて事件を報道。カンザスの住民は恐怖に震える。
一方、2人組は、奪った小切手で詐欺を繰り返しながら逃走。
ディックのムショ仲間の情報から2人が容疑者として手配され、盗難車のナンバーからあっけなく逮捕されるが。。。


2人にずっと密着取材をしている記者がカポーティとかぶる。
彼のセリフに「無差別殺人犯には共通点がある。現実と幻想の区別がつかないこと。
性的または肉体的に障害があったり、幼児期に虐待を受けたり、片親もしくは別の誰かに育てられた経歴であること」

ペリーとディックも貧しい家の出であり、複雑な幼児期を送っている。
「世の中には2種類の法がある。1つは金持ち用、もう1つは貧乏人用だ」

単なるバイオレンス・アクションと違っているのは、犯人の死刑執行まで描かれていること。
「コーナー」と呼ばれる倉庫に絞首刑の場所があり、その近くに死刑囚ばかりが収容されている独房がある。
上訴が続くと時には1~2年も執行が延びるケースがあるという。
緊迫したラストシーンには、同情心とまではいかずとも、何かしら疑問を持たずにはいられなくなる。
無差別殺人も人殺しなら、死刑もまた殺人。
ほんとうの罪滅ぼしとはなにかを考えさせられる1本。


特典として入っていた予告編集の中には、カポーティも出演した『名探偵登場』(ピーター・セラーズも出てるv)や、
ジム・ハットン出演(ティモシー・ハットンのお父さん。似てる!)の『歩け走るな! 』って日本が舞台のラブコメ?w
ケイリー・グラントと一緒に日本でロケしたのかな???


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『アーチボルドのほっぺた』

2010-08-18 13:27:36 | 
『アーチボルドのほっぺた』
ビネッテ・シュレーダー/作 やがわ すみこ/訳 ほるぷ出版

ビネッテ・シュレーダーの絵本は大体チェックしたと思ってたけど、他館にはまだあったようで借りてみたv
この絵も以前、ポストカードかなにかで見たことはあったけど、話を読むのは初めて。
怠け者のアーチボルドは、毎日食べて、寝てを繰り返すだけだったけど、
冒険好きの、好奇心旺盛な右のほっぺたが、ある日コロコロと外に飛び出し、
それを追っかけて、山や、海、空と大冒険をする!
とうとう諦めて帰ろうとすると、ほっぺたは慌ててアーチボルドの元に戻って、
愛犬や愛馬に明日も今日と同じ冒険を楽しませてあげると約束するという結末。

モノクロの線画にちっちゃな赤い丸(ほっぺ)が描かれてて、風船に乗ったり、魚と泳いだりしてて可愛い!
そもそも、ほっぺたが冒険するなんて発想が斬新すぎっ!
カラフルな色づかい&どこか笑いを誘うシュールでオシャレなセンスが大好きv
最後にシュレーダーの若い頃の写真が載ってた/驚 初めて見た気がするけど、キレイな人だなあ。
1939年ドイツ・ハンブルグ生まれってことは、今年71歳かあ。まだ描いているのかしら???



満月の夜の伝説
ミヒャエル・エンデ/作 ビネッテ・シュレーダー/絵 佐藤真理子/訳 岩波書店

恋人に裏切られて失望した青年が山奥に篭って聖者のようになり、彼の周りではヘビとヒヨコも並んで座っていた。
そこにやって来たのは、これまで思いつく限りの悪行を重ねてきた男。
彼もまた隠者の前では心洗われたようになり、毎回来るたびに正しき教えを聞くが理解出来ず悪行を続けていた。
隠者は「満月の夜に来てはならない」ときつく禁じ、理由を聞くと、
満月の夜には自分の前に大天使ガブリエル様が降りてくるからだという。
どこかが変だと思った男は、満月の夜に現れた大天使を矢で射抜くと、そこには狢(むじな=タヌキ)の死体があった。
「どうして騙されていると分かったんだ?」と隠者。
「あなたがゆっていた通り、本当の大天使なら悪党のオレに見えるわけがないからだ」と男。
隠者は自分の思いあがりを恥じ、悪党から教えを請うたという道徳的なお話。

大型の本いっぱいに描かれた絵は油絵のように迫力があって、全身毛むくじゃらの隠者がユーモラス。

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