芋焼酎はいかがですか?

英国の情報交換の場であったコーヒーハウスで芋焼酎はいかがですか?

『田舎暮らしに殺されない法』を読んで

2008-11-12 21:18:16 | Weblog
欲望には終わりがない。
かつて一戸建て公団建売住宅を30年ローンで購入。
次に無性に手に入れたくなったのは別荘だ。
敷地は100坪以上。
できれば木の香るログハウス、
そしてサンタクロースが入ってこれそうな煙突付の暖炉。
別荘までの移動の手段には、
90年代初頭に発売されたばかりのトヨタの”Will”。
“Will”はシンデレラのカボチャの馬車を基にデザインされた車だからだ。
庭に植わっている木は高原を代表する白樺と桜。
庭にはせせらぎ。
夏でも冷たい小川にはスイカが冷えている。
実際に東京から2~3時間以内で行ける別荘地には冷やかし半分で何度か足を運んだものだ。
「軽井沢」、「十里木高原」、「山中湖」、そして「那須」

 私の理想とする、
そして夢見る別荘生活を現実に引き戻してくれたのは丸山健二さんの「田舎暮らしに殺されない法」だ。
 それは渡辺先生ご推薦の本でもある。
・ 庭を流れる小川でも土石流にやられる心配がある
・ 見晴らしのいい高台の日当たりのいい南側の斜面では崖崩れ、
  山崩れの発生で命を失う
・ 星に一番近い町にある、天国に一番近い病院
  その他にも多くの笑える現実が書かれている。

 私が鬼怒川に所有している書庫は丸山さんの言葉を借りれば、
「都会と田舎の両方のいいところを兼ね備えた中間的な空間」だ。
 駐車されているナンバープレートをみるとその殆どが首都圏からの人々である。
 もちろん地元の人との交流などまったくない。
 私の書庫別荘は冒頭のような理想とする別荘ではなく単なるマンションである。
 現地に到着したらすぐ入れる温泉とプールが完備。
 ホテルも併設しているので金さえあればフランス料理を食べることも可能だ。
 田舎にとってその建物は異物かもしれない。

 いつの日か理想とするようなログハウスの別荘ライフを楽しんでみたいと今でも 思っている。
 そのためには、一人前の大人として自立していないと田舎で暮らすべきではないと丸山氏は指摘している。
「職場における地位や、世間的な評価といったものを誇りや自尊心の土台にし、
一人前のおとなのふり」を現在の私はまだしているのかもしれない。
 筆者が指摘するように私自身も
「生きていけない、食べていけない、家族を養ってゆけないという強迫観念に駆られて、
一個の独立した人間であるべき条件のあれこれを悉く切り売り」
してきたのかもしれない。
 そして依存。
「親に依存し、学歴に依存し、社会に依存し、国家に依存し、家庭に依存し、酒に依存し・・
本当のあなたは、自身からも世間からも逃げて逃げて逃げまくってきたのではないでしょうか」と。
 確かに自分にも該当することばかりで納得してしまうが、実は逃げてもよいと私は思っている。
 社会学者の内田樹さんが言うようにそれは過去に逃げるのではなく、
未来に逃げることで今が楽になる気がする。

コメント
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