勤務先の学内事情により急遽、東日本大震災被災地へ赴く学年集団のリーダーを仰せつかりました。
具体的には5月初旬に約350名の生徒を引率して被災地である石巻、南三陸に行ってきます。
トータルすると被災地への生徒を引率しての旅は今回で3回目。
旅行実施の約1ヶ月前に人事が発表され、ほぼ決まっている東北旅行行程を見て久しぶりに驚きました。
その理由は被災地での時間の過ごし方です。
大手旅行代理店Jから提示された案では「被災地車窓見学」がメインとなっていたからです。
というか、車窓見学プラスホテルの女将の講演だけでした。
すぐにJ社のMさんに来校いただき「車窓見学」の内容を聞きました。
それは一般的に旅行社が計画するような修学旅行型旅行プランです。
被災地の傷跡が残るような、そして「悲惨さ」「恐ろしさ」を見てわかる場所を5箇所程設定し、その場所でバスを下車して説明を受けるというパターン。
例えば、沖縄修学旅行では平和学習を目的にガマ、平和記念公園、ひめゆりの塔などを見学して回るようなプランが一般的なものです。
沖縄は平和を取り戻したので、戦争の悲惨さを忘れないために車窓見学や戦争関連する施設を訪問することは意味があります。
しかしながら、東北の被災地は復興半ばです。
沖縄とは全く異なった状況にあります。
よって沖縄のような被災地訪問等を主目的とする研修旅行を東北の被災地に置き換えて実施することは時期尚早というのが私の考えです。
なぜだか久しぶりに「カチン」ときた私。
J社のMさんに言いました。
「被災地車窓見学」という言葉から連想されるものはサファリパーク内を走るバスの光景。
つまり、バスの車内は安全。
バスの外は危険だということ。
バス内から覗き込む生徒、そして覗き込まれる地域住民。
それは被災地の方々に失礼ではないかということを強くお話しました。
復興途中に大切なことは交流することが一番である点も伝えました。
そして、できれば、プロのように当時を語る被災地ガイドではなく、
被災され、現在も避難所で暮らすご老人たちとの交流の方が高校生にとっても地域の方々にとっても、双方にとって有意義なはずであることを熱く語りました。
私などよりも頭脳明晰な彼からは、
まずは「仮設住宅の自治会長さんに依頼するので研修旅行の趣旨と私が望んでいることを文書で書いて欲しい」との要望がありました。
結果としてどのような被災地研修旅行になるかわかりませんが、
身のある交流をしたい、させたいと思います。
準備が大変ですが、他校にできないような旅行を実施したいと思います。
今回も特別にお願いした東北大学のS先生(元石巻西高校校長)にホテルにてご講演いただけることが決まりました。
S先生の魂に響くようなご講演が今から楽しみです。