アーネ・リンドクウィスト、ヤン・ウェステル、川上邦夫訳)「あなた自身の社会(スウェーデンの中学教科書)」新評論を読んでの感想です。
日本の中学では「公民」や「道徳」があります。
「公民」では日本国憲法、人権、民主主義、社会保障、環境問題などを学び、
「道徳」では公正、相互理解、感謝、礼儀、生命、友情などを学びます。
一方、スウェーデンの中学教科書「あなた自身の社会」はそれらに似ているような内容の科目ですが、
「あなた自身の社会」では、若者とアルコール、麻薬、クレジットで物を買う、広告、役所の仕事、児童福祉、離婚、病気、障害者、失業、老人になるなどを学びます。
スウェーデンの教科書の方が身近な話題であり、今後の実生活においても役立つ基礎的な知識習得ができそうに思われました。
例えば、子どもたちに対しての金銭的援助。
・児童手当(16歳以下の全員に支給)
・修学支援金(上級学校に進む者に支給)
・両親支給金(一定期間仕事を休んで家で子どもの世話をするための休業補償。)
・住宅補助金(子どもがいる家族が所得審査をへて支給)
・養育補助金(別れた一方が養育費を払わない、額が少ない時に支給)
・子ども年金(片親又は両親が死亡した18歳以下に支給)
・妊娠支給金(妊婦により勤務が困難な女性に一定期間支給)
子どもたちが、自分たちに対してどのような援助をおこなわれているかをまで学んでいます。
このような自らが関わる(かかわるかもしれない)事を学ぶことで自然に政治への関心が向くことも予想されます。
次に家庭での生活の項目について「子ども」について項目がありましたので、ここに転載させていただきます。
批判ばかりされた 子どもは
非難することを おぼえる
殴られて大きくなった 子どもは
力にたよることを おぼえる
笑いものにされた 子どもは
ものを言わずにいることを おぼえる
皮肉にさらされた 子どもは
鈍い良心の 持ち主となる
しかし、激励をうけた 子どもは
自信を おぼえる
寛容にであった 子どもは
忍耐を おぼえる
賞賛をうけた 子どもは
評価することを おぼえる
フェアプレーを経験した 子どもは
公正を おぼえる
友情を知る 子どもは
親切を おぼえる
安心を経験した 子どもは
信頼を おぼえる
可愛がられ 抱きしめられた 子どもは
世界中の愛情を 感じとることを おぼえる
(pp.155 子ども ドロシー・ロー・ノイル)
子どもたちが子どものうちに「子ども」や家庭、教育について学ぶことが重要であることに気づかされました。