山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

石工の自由さがいい、庚申塔

2013-12-24 19:07:11 | 石仏・石造物
 コンクリートに覆われた道路の場末にムラの絆の証がひっそり立っている。
 それが、江戸時代民間信仰の盛況を極めた「庚申塔」だ。
 マンションのそばにある板駒型の石に彫られた「青面(ショウメン)金剛像」の表情は厳しい。
 「青面金剛」はもともと病気を流行らす悪鬼が改心して病を駆逐する神となった。

     
 頭は頭巾ではなく「おむすび型」の頭髪。
 6本の手には、宝輪、弓,矢、ショケラ、三叉戟、剣などがなんとか読み取れる。
 安政7年2月に建立されている。

                         
 「ショケラ」はふつう、長い髪を捉まれた罪ある女性が彫られているが、ここではなさけない顔をした男のようにも見られる。
 「ショケラ」は体内にいる重病を引き起こすと「三尸(サンシ)虫」を表すともいう。

     
 もう一つの「庚申塔」にも会えることができた。
 「柱状型」の石に彫られた青面金剛は上に月と太陽が配置され、下に「三猿」と邪鬼がいた。

                              
 また、「おむすび型」頭髪の上には「蛇」がとぐろを巻いていた。
 6本の手には、三叉戟・宝輪・弓・輪・ショケラ2を掴んでいる。

          
 特筆すべきは、「ショケラ」が二人いることだ。
 これはなかなか珍しい。
 一人は髪の長い女性らしい。
 もう一人は合掌している姿が見られる。

 青面金剛像の様式はあまり決まっていないので、石工たちが自由に彫っているのが伝わってくる。
 硬直した仏教様式に対して、民間の縛りが緩やかなのがすばらしい。
 そんな一端が見える路地裏歩きはなかなか魅力的だ。
 
コメント
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