わが家には数種類の蜘蛛が居候している。日本最大級の大きさのアシダカグモ軍曹のおかげか隙間だらけの古民家の割にはゴキブリは少ない。また、天井に巣くう小さな蜘蛛が食事中にツーッと天井から糸とともに降りてくることもしばし。そんな蜘蛛屋敷の中に、身体に一対の白線のあるキシダグモがやってきた。
日本の蜘蛛研究の先駆者だった岸田博士の名前がつけられたキシダグモは、模様も多彩で同定が難しい。「スジボソハシリグモ」かと思ったが、「イオウイロハシリグモ」の「スジボケ型」か、「スジアカハシリグモ」かなどと、いろいろ検討したがなかなか結論が出ない。学会でも図鑑でも混乱の跡もみられる。こりゃー、オラの脳髄がクモってしまうのも忘れっぽいのもヨシとするしかない。
ほとんどの蜘蛛は、8個の眼を持っているというが、あまりに小さくて肉眼ではなかなか確認できない。それはトンボのような複眼ではなく、2列の8個の単眼があるという。それぞれの機能・役割があるようだ。自然界には知らないことがまだまだ天文学的にある。(イラストは福光村昆虫記から)
その翌日、畑で白線が一本の蜘蛛を発見。こちらはキシダグモではなく、「コモリグモ」の仲間のようだ。あまりに毛深く単眼の位置がよくわからない。コモリグモはタランチュラの仲間で、1973年までは毒グモ科所属だった。しかし、毒の心配はなく、子育てに特徴があるので「子守り」グモとなって独立した。しかも、害虫を食べてくれる有益な味方でもある。なにしろ、蜘蛛研究が発展途上なのが残念。防衛費の一部を削っても予算を増やしていきたいものだ。