和宮様が行幸の際に「国道のすぐ脇にシメジを見た気がするのじゃが」というので、その現場に急行してみる。たしかに、ムラサキシメジのような形のきのこだった。三本が並んでいたが菌輪の一部かもしれない。
そのうちの一本を採取して同定を試みる。この界隈では見たことのないキノコだった。
茎は白っぽいが、やや条線が見える。根っこ部分が棍棒状のふくらみがある。フウセンダケにはこういう典型的な形のきのこがある。傘のかたちは饅頭型、その表面はぬめりはなくフェルト状だった。
キシメジ科なのかフウセンタケ科なのかに絞ってみる。ポピュラーなヤマケイの図鑑2冊(ハンディ版と600頁を越える名鑑)と図版が優れている『北陸のきのこ図鑑』の計3冊で調べてみる。
紫色が強ければムラサキシメジと太鼓判を押したいところだが、色は褐色に近い。このきのこがあった場所は、桜や竹の落葉が多い所だったせいか、根っこは白い菌がそれらの落葉をとらえている。図鑑の写真ではピッタリのものがない。その説明文もぴったりとはいかない。
説明文が実物と100%あっていると、まず同定は成功していると言える。しかし、今回は80%くらいなので確信がない。それでとりあえず、「ハイイロシメジ」(キシメジ科)ということにしておく。食べられるけど、人によっては注意が必要らしい。無味なので醤油・香辛料で味付けする。つまり、あまりおいしくないようだし、中毒もあり得るということなので食べるのはやめる。残念。