「春はあけぼの」と清少納言は謳ったが、オラの秋の庭は「アケボノソウ」(リンドウ科)が凛とした姿態を見せていた。それを知っていたら清少納言は「秋はアケボノソウ」と謳ったかもしれない。清少納言「秋は夕暮れ」と日本の美しさを詠じていたけど。
花弁は4枚と5枚があった。花の中央にある雌蕊の柱頭はちょうど開いていた。遠州と信州の境界にある「青崩峠」の近くでこの「アケボノソウ」の群落に出会って、その上品なたたずまいにえらく感動したものだった。それで、2年前に種をプランターに蒔いたもののなかなか花が咲かない。それもそのはず、二年目でないと花は咲かないのが分かった。
花弁の黄緑色は蜜腺だそうだ。ちょうどその蜜を舐めにアリがやってきていた。蜜を舐めまわって花を歩いている間に花粉を運んでもらうという戦略だろうか。さらには、外敵へのガードマン役を期待しているのかもしれない。同じ仲間のセンブリはシベの根元に蜜があり、花弁にあるのは珍しい。
この花弁の模様の黄緑色を月や太陽に、先端の黒色を星にたとえて、背景の黄白色の花弁を空に見立てて、「あけぼの」と命名しているセンスは評判がいい。オラもその控えめな色合いと凛として真っ直ぐ天に向かっている群落に感動したのだった。花ことばは、「きょうも元気で」とか「前向き」とかなかなかポジティブだ。バタフライガーデンの常駐者にしていきたい二年草だ。