初春の到来にいち早く駆けつけてくれたのは、一輪の「ショカッサイ」だった。3月上旬ごろ、偶然、和宮様が発見されたものだった。それはこぼれ種から開花したものらしく、その場所は雑草も生えていないくらいの隙間からだった。雑草だらけのガーデンにグランドカバーにしていきたいショカッサイだった。
3月中旬ごろになると、ヒメスミレが石垣の隙間から顔出しする常連メンバーだ。はじめは赤ちゃんのように小さかったが、だんだん大きくなってくる。いわゆる「スミレ」の花よりやや小さい。
「スミレ」の葉は、へら型でその茎には「翼」というふくらみがある(画像矢印部分)。ヒメスミレにはその翼がない。スミレとヒメスミレとのわかりやすい違いはここを見ればいい。
ヒメスミレのそばには、外来種の「アメリカスミレサイシン」がやはりコンクリートの隙間から純白の花を咲かせている。裏山には日本固有種の「ナガバノスミレサイシン」の群落が4月上旬には咲き始めるが、最近は群落の数が減ってきて元気がない。それに比べると、やはり「アメリカ…」はぐんぐん仲間を増やしている。
「アメリカ…」の花の中央には、やっぱりごつい髭が生えているのが特徴だ。花の色も紫や白にまだら模様もあり多様なのでわかりにくい。白色のは、「スノープリンセス」とか「シロバナアメリカスミレサイシン」という名前もある。従来は、「ビオラ・ソロリア」とも呼ばれていた。
そしてつい最近、畑に芽が出始めたのが「ヤマウド」だった。地面の色に近いので気が付かなかった。5月連休には1m近くの大きさになる。植えっぱなしでも必ず出てくれるのはオラの生活リズムにぴったし。でも昨年は乱獲が祟ったせいか希少種になってしまった。やはり、ほどほどの生きざまとゆとりのリズムが植物にも当てはまることを教えてくれる。
野生のヤマウドの旨味が抜群であるのを知っているだけに、その吹き出るよだれを抑えることができるだろうか、自信がない。いよいよ、春本番がやってきた。