ときおり、 ビオトープのあたりから、カエルの合唱が聞こえる。不思議なことに多数いたはずのオタマジャクシはあっというまにいなくなった。みんな成長したのか、食べられてしまったのか、熱中症にやられたのか、定かではない。そんなビオトープに、いただいたホテイアオイが見事な花を咲かしている。
華麗な花は一日花なので次々咲いてはいくが、もったいないほどの魅力がある。ホテイアオイは水質の浄化作用もあるというので期待がかかるし、メダカの産卵場所としても大きな効能がある。しかし、いただいたメダカの姿が今月になって見かけないのも気になる。天候のせいか、エサやりが不十分だったのか、カエルに食べられてしまったのか、解明しなければならないことが山積だ。
池のそばで草刈りをしていたらぽちゃんと跳ねた音がした。よく見ると背中線があるトノサマガエルのようだった。ビオトープの城主となったお殿様としっかり目があって拝顔させてもらったというわけだ。カエルの体色や模様は変異が多くていつも同定に混乱させられる。ちなみに鳥獣戯画に出てくるカエルはやはりお殿様ということだ。それほどに、身近な存在だったカエルということに違いない。
わが地で見られるお殿様の体色は淡い褐色がほとんどだ。図鑑で見ると緑っぽいものもあるようだ。このお殿様は濃いこげ茶色なので、今まで会ったお殿様より色が濃く、模様もやや不鮮明だった。ゴルフでもやっていたのだろうか、選挙活動で日焼けしたのだろうか。
近年、水田の減少や水田の環境が農薬・コンクリート化などによってお殿様の居場所がどんどんなくなってきている。そのため、意外に関東では見られず、準絶滅危惧種に指定されてしまった。その意味では、この小さなビオトープの存在意味があるというものだ。