最近読んだ本で、「土と生命の46億年史」(藤井一至著、講談社)が面白かった。主に、地上に動植物が誕生した5億年前からの地球の土と動植物の歴史を述べたもの。専門知識が無くても、分かるように、丁寧に解説してくれている。
竹田農園で、主に健康野菜を作っている中で、そうだったのかと、本に線を引いた個所が以下。
ミミズとダンゴムシ
地上に一番最初に現れたのはミミズ。最初はゴカイに近いもので水辺に暮らしていたらしい。4億年前。このとき一緒に、ムカデ、ダニ、クモも現れた。次に現れたのが、ダンゴムシで3億年前。農園の畑に休耕田の刈草敷いて、畑の土づくりをしているが、刈草を畑の肥えた土にかみ砕いてくれているのが、まずダンゴムシ、次にミミズで、彼らは、動物の最長老と知った。
ホモサピエンス(人類)
人類がサルから分かれ、今の人類のホモサピエンスが地上に登場したのは、20万年前。ミミズは、人類の2000倍歴史が長い。ホモサピエンスが、絶滅の瀬戸際に立たされたのが7万年前で、氷河期にはいり、狩猟で食料を得ていたのが、動物が激減した時。何とか生き延びたのが、今の南アフリカに逃げた人類で、彼らは、魚を取って食べることも出来た雑食性が幸い。それでもこの時期遺伝子の多様性が失われたそうで、人数は、数千人にまで減った。この氷河期を40万年前から登場のネアンデルタール人は、今のヨーロッパで暮らしていたが、陸上動物の狩りで食料を得て、漁を取る習慣がなく、4万年前には絶滅。
立ち直ったホモサピエンスは、南アフリカから、世界各地に住処を広げ、今の中国に住み始めたのが、4.5万年前、日本列島に渡ってきたのが、3.5万年前(縄文人)。
人類が農業を始めたのは、一万年前
人類の数は、食料の量で決まり、10平方キロの面積土地に生きれる数は、狩猟のみで、1~7人、焼き畑で、300人、水田で3000人。焼き畑農業を始めたのが1万年前で人類20万年の歴史の中では最近。
化学肥料(窒素肥料)の発明で、人口は5倍に
農業の肥料には、窒素・リン酸・カリが人が畑に入れる必要のあるものだが、その中でも、窒素は野菜の光合成に必要な葉緑素を作るのに必要で、人糞尿、家畜のし尿、刈草を投じても、16億人の食糧生産が限度。第一次大戦前、これが人類の危機と社会問題に。しかし、ドイツで空中の窒素ガスから、アンモニアを化学合成する方法が発明され(ハーバーボッシュ法)その結果、食料が増産され、今では、80億人の人口に。
土の中の細菌と人の腸内細菌
土の中10グラムの中には、10,000種類、100億個の細菌が住んでいる。人間の腸内には、同じく10グラムに1,000種類、10~100億個の細菌。土の細菌は、8割が休眠中なのに対し、人間の腸内細菌はは8割か活動中。土の細菌は10%がウィルスに感染しているが、人類の腸の細菌は100%ウィルスに感染。その分、腸内の細菌は数日という短期間で死滅入れ替わる。
人間の腸内細菌は、食べ物を腸が吸収しやすいように分解したり、病原菌の感染を防いでくれている。
地球温暖化
地球の温暖化が問題になり、農園でも8月、9月、雨無し、気温35度越えというありさまで、野菜作りも四苦八苦。しかしこの本を読むと、炭酸ガスの濃度が今の20倍になり気温も今より10度高い時期(2.5億年前,海の生物の大絶滅)があったり、100万年前からはむしろ氷河期で、その最近の氷河期が7万年前に始まり(人類は絶滅寸前)海水面は今より120メートルも下がって日本列島は対馬辺りまで陸地)で、1万年前にやっと収まったとのこと。地球温暖化、寒冷化は現在想定されているものとは、桁違いの規模で起こるかもしれない。
以上は、この「土と生命の46億年史」のほんの一部で、私が畑で土を耕していてなるほどと思った個所に過ぎない。一度読んでみることお勧め。