
極めて低予算で制作されたインディペンデント映画であるにもかかわらず、
サンダンス映画祭(ドラマ部門)で、
グランプリを受賞し、
第83回アカデミー賞では、
作品賞、
脚色賞(デブラ・グラニク、アン・ロゼリーニ)、
主演女優賞(ジェニファー・ローレンス)、
助演男優賞(ジョン・ホークス)
にノミネートされた秀作である。
とても見たかった作品なのだが、
日本では昨年(2011年)の10月29日に公開されたにもかかわらず、
佐賀での公開は年明けの1月下旬まで待たなければならなかった。
そして、今日(1月29日)、
シアターシエマでようやく見ることができた。
ミズーリ州南部のオザーク山脈に、
アメリカ社会から忘れられたような寂れた村がある。
そこに住む17歳の少女リー(ジェニファー・ローレンス)は、
一家の大黒柱として、幼い弟と妹の世話をし、
その日暮らしの生活を何とか切り盛りしていた。

ドラッグ・ディーラーの父ジェサップは長らく不在で、
辛い現実に耐えかねて精神のバランスを崩した母親は心を病んでいる。
ある日、地元の保安官がやってきて、
警察に逮捕され懲役刑を宣告されたジェサップが、
自宅と土地を保釈金の担保にして失踪しており、
もしこのまま翌週の裁判に彼が出廷しない場合、
リーたちの家は没収されると聞かされる。

やむなくリーは自ら父親捜しに乗り出すが、
ならず者だらけの親族はまったく協力してくれず、
露骨な妨害工作さえ仕掛けてくる。
薬物漬けの伯父ティアドロップ(ジョン・ホークス)は、
最初はリーを荒っぽく突き放すが、
深入りし過ぎて親族たちから凄まじいリンチを受けていた時、
リーを救ったのは、
意外にもティアドロップであった……

この作品を見て驚くのは、
貧富の格差が問題になっている現代アメリカ社会の闇の部分である。

見捨てられたような荒涼とした村、
ほとんど光が射さない鉛色の淀んだ空と森、
凍てつく風景、
錆び付いた車、
がらくたの散らばる庭、
痩せた家畜、
暗い目の人間……

このような厳しい環境の中で、
必死に父親を捜すリーの姿が、
凛々しくも輝かしい。
それはとりもなおさず、
リーを演じるジェニファー・ローレンスの、
凛々しさであり、輝かしさであった。


この作品にあけるジェニファー・ローレンスを見ていると、
『勇気ある追跡』のキム・ダービーや、

『トゥルー・グリット』のヘイリー・スタインフェルドを思い出す。

アメリカ映画には、
父親の敵(かたき)を討つために、
あるいは、父親を捜しに、
旅に出て、
少女が大人の女性に成長していく物語が、伝統としてあるような気がする。
キム・ダービーやヘイリー・スタインフェルドがそうであったように、
ジェニファー・ローレンスもまた、この作品の中で、
幼さの残る少女から、美しい女性へと変化し、成長している。
この作品で第83回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたことにより、
演技も評価され、今後がすごく楽しみになってきた。

本作品で、第83回アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた、
ジョン・ホークスにも触れておかなければならないだろう。
薬物漬けの伯父ティアドロップの役であったが、
こちらも鬼気迫る演技で、とても素晴らしかった。

インディペンデント映画であったし、
彼自身もアンダーグラウンドの芝居や音楽にハマっていたから、
アカデミー賞のノミネートは本当に意外であったらしい。
「アカデミー賞はジョークのネタにして馬鹿にしてたんだ(笑)。でも、アカデミーの一部になってしまったわけだから、なんだか裏切り者にでもなったような気分だよ(笑)」
と、あるインタビューで答えていたのが可笑しかった。
今後は、リンカーン大統領の生涯を描くスティーヴン・スピルバーグ監督作品『Lincoln』(原題)などにも出演が決まっており、ジェニファー・ローレンスと同様、これからの活躍が楽しみである。

監督は、長編2作目となるデブラ・グラニック。
女流監督ならではの繊細かつ美しい映像で、
感動的なヒューマン・ドラマを創り上げた。
閉ざされた闇の世界に、
希望の光を差し込ませたラストも見事。
この監督も大いに楽しみ。
いろんな可能性を秘めた素晴らしい作品を見ることができたことに感謝したい。

※1月31日(火)も更新するかも……
サンダンス映画祭(ドラマ部門)で、
グランプリを受賞し、
第83回アカデミー賞では、
作品賞、
脚色賞(デブラ・グラニク、アン・ロゼリーニ)、
主演女優賞(ジェニファー・ローレンス)、
助演男優賞(ジョン・ホークス)
にノミネートされた秀作である。
とても見たかった作品なのだが、
日本では昨年(2011年)の10月29日に公開されたにもかかわらず、
佐賀での公開は年明けの1月下旬まで待たなければならなかった。
そして、今日(1月29日)、
シアターシエマでようやく見ることができた。
ミズーリ州南部のオザーク山脈に、
アメリカ社会から忘れられたような寂れた村がある。
そこに住む17歳の少女リー(ジェニファー・ローレンス)は、
一家の大黒柱として、幼い弟と妹の世話をし、
その日暮らしの生活を何とか切り盛りしていた。

ドラッグ・ディーラーの父ジェサップは長らく不在で、
辛い現実に耐えかねて精神のバランスを崩した母親は心を病んでいる。
ある日、地元の保安官がやってきて、
警察に逮捕され懲役刑を宣告されたジェサップが、
自宅と土地を保釈金の担保にして失踪しており、
もしこのまま翌週の裁判に彼が出廷しない場合、
リーたちの家は没収されると聞かされる。

やむなくリーは自ら父親捜しに乗り出すが、
ならず者だらけの親族はまったく協力してくれず、
露骨な妨害工作さえ仕掛けてくる。
薬物漬けの伯父ティアドロップ(ジョン・ホークス)は、
最初はリーを荒っぽく突き放すが、
深入りし過ぎて親族たちから凄まじいリンチを受けていた時、
リーを救ったのは、
意外にもティアドロップであった……

この作品を見て驚くのは、
貧富の格差が問題になっている現代アメリカ社会の闇の部分である。

見捨てられたような荒涼とした村、
ほとんど光が射さない鉛色の淀んだ空と森、
凍てつく風景、
錆び付いた車、
がらくたの散らばる庭、
痩せた家畜、
暗い目の人間……

このような厳しい環境の中で、
必死に父親を捜すリーの姿が、
凛々しくも輝かしい。
それはとりもなおさず、
リーを演じるジェニファー・ローレンスの、
凛々しさであり、輝かしさであった。


この作品にあけるジェニファー・ローレンスを見ていると、
『勇気ある追跡』のキム・ダービーや、

『トゥルー・グリット』のヘイリー・スタインフェルドを思い出す。

アメリカ映画には、
父親の敵(かたき)を討つために、
あるいは、父親を捜しに、
旅に出て、
少女が大人の女性に成長していく物語が、伝統としてあるような気がする。
キム・ダービーやヘイリー・スタインフェルドがそうであったように、
ジェニファー・ローレンスもまた、この作品の中で、
幼さの残る少女から、美しい女性へと変化し、成長している。
この作品で第83回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたことにより、
演技も評価され、今後がすごく楽しみになってきた。

本作品で、第83回アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた、
ジョン・ホークスにも触れておかなければならないだろう。
薬物漬けの伯父ティアドロップの役であったが、
こちらも鬼気迫る演技で、とても素晴らしかった。

インディペンデント映画であったし、
彼自身もアンダーグラウンドの芝居や音楽にハマっていたから、
アカデミー賞のノミネートは本当に意外であったらしい。
「アカデミー賞はジョークのネタにして馬鹿にしてたんだ(笑)。でも、アカデミーの一部になってしまったわけだから、なんだか裏切り者にでもなったような気分だよ(笑)」
と、あるインタビューで答えていたのが可笑しかった。
今後は、リンカーン大統領の生涯を描くスティーヴン・スピルバーグ監督作品『Lincoln』(原題)などにも出演が決まっており、ジェニファー・ローレンスと同様、これからの活躍が楽しみである。

監督は、長編2作目となるデブラ・グラニック。
女流監督ならではの繊細かつ美しい映像で、
感動的なヒューマン・ドラマを創り上げた。
閉ざされた闇の世界に、
希望の光を差し込ませたラストも見事。
この監督も大いに楽しみ。
いろんな可能性を秘めた素晴らしい作品を見ることができたことに感謝したい。

※1月31日(火)も更新するかも……