一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

一人読書会⑦『ロリータ』(ナボコフ) ……「世界文学の最高傑作」のひとつ……

2024年12月05日 | 一人読書会
一人読書会の第7回は、 ウラジーミル・ナボコフの『ロリータ』。(今回のテキストは新潮文庫の若島正訳) 『ロリータ』(Lolita) は、 ロシア生まれのアメリカ合衆国の作家、ウラジーミル・ナボコフの小説で、 1940年に渡米したナボコフは、 教職のかたわら、この作品を1948年から書き始め、1953年には完成させている。 しかし、性的に倒錯した主題を扱っていること、難解な内容であること . . . 本文を読む

一人読書会⑥『眠れる美女』(川端康成)……熟れすぎた果実の腐臭に似た芳香……

2024年11月11日 | 一人読書会
一人読書会の第6回は、川端康成の『眠れる美女』。(今回のテキストは新潮文庫) 5つの章から成る中編小説で、 川端康成の後期を代表する前衛的な趣の作品。 すでに男でなくなった有閑老人限定の「秘密くらぶ」の会員となった老人が、 海辺の宿の一室で、意識がなく眠らされた裸形の若い娘の傍らで一夜を過ごす物語で、 デカダンス文学の名作と称されている。 【川端康成】(1899~1972) 1899(明 . . . 本文を読む

一人読書会⑤『夏休みの繪』(柏原兵三)……夏草と潮風の匂いのする青春小説……

2024年10月28日 | 一人読書会
一人読書会の第5回は、柏原兵三の『夏休みの繪』。 『寿命図鑑 生き物から宇宙まで万物の寿命をあつめた図鑑』(いろは出版 )によると、 日本人の平均寿命の推移は次のようになっている。 縄文時代:15歳 弥生時代:18歳から28歳 古墳時代:25歳未満 飛鳥・奈良時代:20歳未満 平安時代:30歳から40歳 鎌倉時代:24歳 室町時代:16歳 安土桃山時代:3 . . . 本文を読む

一人読書会④『砂の女』(安部公房)……二十世紀世界文学の古典となった傑作……

2024年10月16日 | 一人読書会
※PCでご覧の方で、文字が小さく感じられる方は、左サイドバーの「文字サイズ変更」の「大」をクリックしてお読み下さい。 新しいカテゴリー「一人読書会」の第4回は、 安部公房の長編小説『砂の女』。 まだ老眼鏡やルーペに頼らずとも(裸眼で)小さい活字も読めることもあって、 この「一人読書会」で読む小説は、(電子書籍などではなく)紙の本にこだわっていて、 第1回の『オリンポスの果実』は、昭和に . . . 本文を読む

一人読書会③『個人的な体験』(大江健三郎)……日本現代文学の新たな始まり……

2024年09月02日 | 一人読書会
※PCでご覧の方で、文字が小さく感じられる方は、左サイドバーの「文字サイズ変更」の「大」をクリックしてお読み下さい。 新しいカテゴリー「一人読書会」の第3回は、 大江健三郎の長編小説『個人的な体験』。 まだ老眼鏡やルーペに頼らずとも(裸眼で)小さい活字も読めることもあって、 この「一人読書会」で読む小説は、(電子書籍などではなく)紙の本にこだわっていて、 第1回の『オリンポスの果実 . . . 本文を読む

一人読書会➁『太陽の季節』(石原慎太郎) ……いつかは沈む太陽だから……

2024年08月19日 | 一人読書会
新しいカテゴリー「一人読書会」の第2回は、 石原慎太郎の『太陽の季節』。 まだ老眼鏡やルーペに頼らずとも(裸眼で)小さい活字も読めることもあって、 この「一人読書会」で読む小説は、(電子書籍などではなく)紙の本にこだわっていて、 第1回の『オリンポスの果実』は、昭和に刊行された新潮文庫で読んだ。 第2回の『太陽の季節』は、雑誌「文藝春秋」に掲載されたものを読もうと思う。 石原慎太郎が亡くな . . . 本文を読む

一人読書会➀『オリンポスの果実』(田中英光) ……ラスト一行が切なすぎる……

2024年07月27日 | 一人読書会
還暦は「暦が還る」という意味がある。 昔の日本では、 古代中国の陰陽五行思想に由来した「十干十二支」と呼ばれる暦を使用していて、 十干十二支には、 十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)と、 十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)を組み合わせた60通りの分類があった。 すべての組み合わせが一巡するのに60年を要し、61年目に最初の組み合わせに戻る。 本卦還りとも呼ばれ . . . 本文を読む