一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

池田知沙子『みんなちさこの思うがままさ』 ……ヒリヒリするような感性……

2025年02月06日 | 読書
古典と呼ばれる「山の名著」ではなく、 一般的な登山愛好家にとっての「山の名著」を紹介するブックレビューの8回目は、 池田知沙子著『みんなちさこの思うがままさ』。 最初に、著者である池田知沙子について、短く紹介する。 昭和22年7月29日、東京に生まれる。 21歳で、所属していた劇団の研究生同士だった池田俊樹と結婚。 28歳で夫婦ともども北海道に移り住み、帯広わらじの会に入会して登山を始める . . . 本文を読む

『73歳、ひとり楽しむ山歩き』(市毛良枝) …山は人の原点を教えてくれる場所…

2025年02月05日 | 読書
古典と呼ばれる「山の名著」ではなく、 一般的な登山愛好家にとっての「山の名著」を紹介するブックレビューの7回目は、 市毛良枝さんの『73歳、ひとり楽しむ山歩き』(2024年2月、KADOKAWA刊) 市毛良枝さんの本は、 一般的な登山愛好家にとっての「山の名著」を紹介するブックレビューの第1回で、 『山なんて嫌いだった』をすでに紹介している。 昨年(2024年)刊行された本書『73歳、 . . . 本文を読む

『スタインベック短編集』より「朝めし」 …ベーコンとパンとコーヒーの匂い…

2025年01月17日 | 読書
古典と呼ばれる「山の名著」ではなく、 一般的な登山愛好家にとっての「山の名著」を紹介するブックレビューの6回目は、 『スタインベック短編集』(新潮文庫)より「朝めし」。 『スタインベック短編集』は13編の作品が収められた短編集で、 本来なら“一人読書会”で紹介しなければならないほどの名短編揃いの古典なのだが、 今回は、その13編の中から、「朝めし」という1編だけを採り上げ、 一般的な登 . . . 本文を読む

『富士山・村山古道を歩く』(畠掘操八)…海抜0mから登るキッカケとなった書…

2025年01月14日 | 読書
古典と呼ばれる「山の名著」ではなく、 一般的な登山愛好家にとっての「山の名著」を紹介するブックレビューの5回目は、 畠掘操八著『富士山・村山古道を歩く』(2006年、風濤社刊)。 私が、かつて、「麓から登ろう!」シリーズの延長として、 「海抜0メートルから登る」シリーズをやっていたとき、 「海抜0メートルから登ったのは私が先だ」 と言ってくる人がいて、ほとほと困った。(笑) 自分がやったの . . . 本文を読む

『草すべり その他の短篇』(南木佳士) ……過ぎゆく時間が愛おしくなる傑作……

2025年01月13日 | 読書
古典と呼ばれる「山の名著」ではなく、 一般的な登山愛好家にとっての「山の名著」を紹介するブックレビューの4回目は、 南木佳士の『草すべり その他の短篇』(2008年7月、文藝春秋刊)。 山歩きの短篇集だ。 【南木佳士】(なぎ けいし) 1951年、群馬県に生まれる。 東京都立国立高等学校、秋田大学医学部卒業。 佐久総合病院に勤務し、現在、長野県佐久市に住む。 1981年、内科医として難 . . . 本文を読む

『山のかたみ』『山と過ごした一日』(萩生田浩)……端正で透明感のある文章……

2025年01月12日 | 読書
古典と呼ばれる「山の名著」ではなく、 一般的な登山愛好家にとっての「山の名著」を紹介するブックレビューの3回目は、 萩生田浩著『山のかたみ』『山と過ごした一日』。 『山のかたみ』という本のことも、 『山と過ごした一日』という本のことも、 著者(萩生田浩)のことも、 ほとんどの人はご存じないのではないだろうか? 『山のかたみ』(2005年11月、西田書店刊)が刊行されてすぐの頃、 私 . . . 本文を読む

『屋久島ジュウソウ』(森絵都) ……どんな著名な登山家にも書けない凄い本……

2025年01月11日 | 読書
一昨日、『山なんて嫌いだった』(市毛良枝)のブックレビューを書いたとき、 次のような文章で始めた。 世には「山の名著」と呼ばれているものがあって、 山ヤさんの間ではけっこう読まれていたりもするのだが、 一般的な登山愛好家で、読む人は案外少ないのではないかと考える。 例えば、 『山岳名著読書ノート 山の世界を広げる名著60冊』 (ヤマケイ新書)という本があるが、 この中に挙げられている60 . . . 本文を読む

『山なんて嫌いだった』(市毛良枝)…山に出会った頃の気持ちが呼び起こされる…

2025年01月09日 | 読書
世には「山の名著」と呼ばれているものがあって、 山ヤさんの間ではけっこう読まれていたりもするのだが、 一般的な登山愛好家で、読む人は案外少ないのではないかと考える。 例えば、 『山岳名著読書ノート 山の世界を広げる名著60冊』 (ヤマケイ新書)という本があるが、 この中に挙げられている60冊の「山の名著」の内、 〈読みたい!〉 と思える本が一体何冊あるだろうか? 深田久弥『日本 . . . 本文を読む

砂原浩太朗『冬と瓦礫』 ……悲しみをあらわせなかった方々の杖となれば……

2024年12月30日 | 読書
砂原浩太朗という作家は、 私は、『高瀬庄左衛門御留書』などを読んでいたこともあって、 時代小説作家として認識していた。 【砂原浩太朗】 1969年生まれ。兵庫県神戸市出身。早稲田大学第一文学部卒業。2016年「いのちがけ」で第2回決戦!小説大賞を受賞。21年『高瀬庄左衛門御留書』で第9回野村胡堂文学賞、第15回舟橋聖一文学賞、第11回本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞。22年『黛家の兄弟』で第35 . . . 本文を読む

『60代、不安はあるけど、今が好き』(岸本葉子) ……楽しむための適齢期……

2024年12月27日 | 読書
岸本葉子さんは、エッセイストで、 1961年6月26日生まれの63歳。(2024年12月現在) 神奈川県鎌倉市出身。 1984年東京大学教養学部教養学科相関社会科学専攻卒業後、 東邦生命保険相互会社に入社。 就職体験を綴った『クリスタルはきらいよ』を在職中に出版、ドラマ化もされる。 その後、退社して中国の北京外国語学院に留学。 帰国後、文筆生活に入り、数多くのエッセイ集を出版。 2001年 . . . 本文を読む