自然治癒力セラピー協会=Spontaneous Healing Therapy Japan

自然治癒力を発揮させるために、心と体の関係を考えます。

クリシュナ神とヨガ

2012年12月17日 | 自然治癒力とヴェーダ哲学の関係

 

 

12月17日   アルジュナとの会話から

 

”Let man uplift the self (ego)by the self; 

let the self not to be self-degraded (cast down).

Indeed, the self is its own friend; and the self is its own enemy." (1)

協会訳)

真なる自己によって、自我意識を高めよう。 

[本来の]自己を決して卑しい自己にするなかれ、

自分こそ、自己の親友であり、また、同時に敵にもなるからだ。

 

この言葉は端的に 自己の中にあって”葛藤する自分”と

”本来の自分”との違いを示している。

本来の自分、アートマこそ、一番の友人であり得るが、

感覚に流される自分は、惑わし苦悩をもたらす、

虚の自分であり、自己の中にある敵でもある。

 

インドで、面白いエピソードを聞いた。

ヒマラヤの奥地に、齢(よわい)1000歳とも

それ以上とも言われる仙人(ヨギ)が住んでいるという。

信仰深い、マハラジャ(王様)が、その仙人を

探し出す試みをした。

やっとのことで、その仙人と会うことができ、

マハラジャは おもむろに、仙人にこう聞いた。

” どうぞ、私の城にお越しください。 

あなたを歓待いたしましょう。 

このようなところで一人で住まわれて、

さぞかし、寂しいことでしょう。 

さぞかし、孤独なことでしょう。”

ヨギは答えた。

”私は一人ぼっちではない。 

だが、貴方が私の前に現れて、私が一人ぼっちで

あることがわかった。

貴方がまた、私の前からいなくなれば、

私の一番信頼おける 友が常に私のそばに

いてくれるのを知っているので、

決して、寂しくはない。 

ご心配なく。”

王様はヨギの言う意味を完全に理解しないまま、

山を下りた。

 

ここでヨギの言う、一番信頼おける友 とは、

だれの事だろうか?

それは、ヨギの中にいるアートマだ。 

アートマはちょっとした俗世間の震動にも

雲隠れしてしまう。

一人でいれば寂しくないということは、

一人の静寂の中でこそ、ヨギはアートマを

自分の姿として自覚し、沈黙の中で、

満たされた 時を過ごすことができる

ということだろう。

王様のような、権力者や常に、領土を守るため

に戦いを意識している統治者には、およそ、

見当がつかない心境であったに違いない。

クリシュナがここでいう、友とは、

そういう意味合いだろう。

私たち誰でも、一番信頼おける友を心に持って

いるのと同時に、一番手ごわい、敵もまた、

心の中に存在しているのだ。

 

さらにクリシュナ神は続ける:

”For him whose self(ego)has been compared

 by the Self(soul), the Self is the friend of the self:

but verlily, the Self behaves inimically, 

as an enemy, toward the self that is not subdued."

協会訳)

エゴ(自我)と真の自分とは比較される

対象であり、真の自分こそが、自我意識

の友でもある。

しかし、その真の自分が、時として、

わが物顔に振る舞う自我意識に対して、

敵のように、敢然と向かうこともある。”

 

人はある時までは、肉体の欲望に対して、

自我意識が引きずられることを許容することができる。

しかし、その、或る時 が 過ぎたとき、 

自分の本来のアートマ意識が、目覚める。

その時、わが物顔に肉体と心を操る、

自我意識 に対して、真なる自分が、

敢然と立ち向かうという。

 

その ’あるとき’ がいつなのか? 

人それぞれ、魂の段階を上っているように、

それぞれ、その時期が異なるのだろう。

もしかしたら、今生ではなく、来世に

持ち越すのかもしれない。

あるいは、すでに、その”あるとき”を 

今、自覚している人たちもいるだろう。

 

いずれにしても、自己の中にある、

二つの自我、それを、クリシュナ神は 

ギータの一節に、表現している。

 

ヨガとは、本来の意味は 神との融合を顕わす。

クリシュナ神は、 誰もの自己の中の、

神への自覚を促すとともに、ヨガはその

意識から始まることを教えている。

 

 

(1) Bhagavad Gita VI:5~6

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