基本は郷土の料理だけれど・・・。ゼンマイの煮物や晒しエゴ料理、はてまたおぼろ豆腐にアマンダレ汁などは冠婚葬祭の定番料理で、恐らく今でもお膳に並んでいるはずなのだがご無沙汰して久しいし調理を習った訳でも無いので、実態は「もどき料理」である。それでもキッチンで試食すればなつかしさが蘇って来るからまあ、回想料法としては欠かせない。
師走の重量物運搬・据え付け作業で弱り目に祟り目、腰痛が回復しない。落ち葉掻きすら負担になって寒い時期でもあり養生する事にしたのだが湿布やお灸だけではらちが明かない。まあ、それだけきつい負担を掛けたのは自明の理であって、作業者複数で施工する内容だったが。こんな作業の物好きなど存在しない内容だからしょうが無いと言えばしょうが無かったのは冷蔵庫にも無かった事で証明できる。てなもんや三度笠、テレビ視聴で座しているのも痛くなるし立っているのが楽だからリビングや居間で立ちんぼの日々だけれど、いかにせんお手元退屈お爺になっている。そこで郷里の素労風努「ゼンマイ煮」を思い立ったのだ。
まずは前日に100gの干しゼンマイを浸水させた。翌日に灰汁汁を捨てて新たな水で加熱は80℃程度まで。沸騰させると溶けてしまうから沸騰は厳禁である。ネット上のレシピの中には「沸騰させる」と言う記述もあったりするけれどどうなんだろうか。3回目の灰汁出しもゆっくり加熱し沸騰させないで火を止めるつもりだったのだが、録画していた映画を観ていて後方の鍋の状態を忘れ、気が付いた時には沸騰中だった。一部は崩れも見られたものの全体的には滑り込みセーフで「ヤレヤレ」の顛末となってしまった。まあ、早く言えば「失敗失敗!」なのだった。
煮汁の工夫は鰯粉と塩昆布、バターを加えて用意した事で、伝統のレシピとは多少は異なる。レシピによってはコンニャクやニンジンを加えるけれど、小生は素材単品がお好みだ。沸騰させたため形の崩れは致し方無いとしても口の中では溶けるような柔らかさになった。しかし丸々ふっくらとしたゼンマイの姿形は望むべくも無い。それでも美味しいの一言なのだがこの一品、食物繊維がほとんどで栄養価は貧しい。菜だけで食べられる味にしたけれどご飯のお供でも絶品だけに「貧栄養食」であるし薄幸食でもある。小生の世代でも作って食する輩はそうそう居ないだろうと思っているゼンマイ煮ではある。