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それとは無関係に・・・。
 





GITANES嗜好者は、不便が嫌いではない。
それとは無関係に・・・。


ちょっと長いが引用する。
どこからの引用かというと、まだブログの体裁になっていない
SGC時代のGITANESNOTEsからである。

引用
」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

オフィスの近く、毎日歩くルートの途中には
さほど大きくない寺がある。

その寺門のところに、1匹の犬がいる。
小さくはないが大きくもない。犬種などわからないような
黒い犬である。

動きは機敏ではなく、おそらく老犬であろう。
「散髪なんか、面倒だあ」というタイプの様子で
身体中の毛はボサボサになっている。

やさしそうな目をしており、大振りの顔のパーツ(鼻など)
とバランスは良い。
口周りの毛もボサボサなので、口は大きいのか小さいのか
分からない。

門と彼を繋いでいるのは、ペットショップなどで売られている
ものではなく、何かの「縄」である。
縄も彼に負けぬぐらい毛羽立ってボサボサなので、
例えば血気盛んなウチの犬なんかだと、すぐに噛み切ってしまい
そうなのだが、その黒い彼はそれも面倒なのか
繋がれたままで寝そべっている。

縄に繋がれている彼は、そうとしか表現できないのだが
物悲しそうな表情をしている。

稀に寺に来客が来ているときなど、尻尾は振っているのだが
それでも表情だけは物悲しいままである。

私と彼は毎日顔を合わせ、そして視線も合う。
いつの頃からか、寝そべっていても
顔を合わせると、頭だけ起こしてくれるようになった。

それでもお互い「面倒臭がり」の性格なので、
それ以上の進展はない。



さて、春ならばもちろんのこと、
日差しが和らぐこの時期には、彼は全身のボサボサの毛に陽光
をいっぱい浴び、ボサボサがさらに目一杯膨らんで、実体よりも
大きく見える。
全身がホクホクしているのだ。
そうなると怠惰な彼はさらに本領を発揮し、
まるで敷物のように、地面に寝そべって一体化してしまっている。

太陽の光をいっぱいに蓄えた彼の身体は、
おとぎ話なら「太陽の匂いがする」といったところかもしれないが、
実際彼は間違いなく「犬」なので、
絶対に「犬」の匂いしかしないだろう。


かくして、
「犬臭い犬」と「GITANES臭い人間」は
直接的な接触のないまま、
「毎朝会釈だけで済ませる 顔なじみってことでいいじゃないか」

と互いに納得して、同じ街で暮らしている。


それでもその毎朝の数秒のコンタクトは、
どうやら私の眉間のしわを1本だけ消せるぐらいの
効果はあるようだ。


」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

書いたのは2003年の10月20日。



なぜこれを引用したのかというと、5年ぶりに再会したからだ。

あれを書いてからしばらくして、その寺の前を通らなくなってしまい
彼(彼女かもしれないが)と会うことがなくなったのだが
昨日久しぶりに寺の前を通りかかると、なんと当時と同じ姿勢で
面倒くさそうに座っていたのだ。


あのとき「老犬かも」と書いたが、実は若かったのかも知れん。
いやあ、申し訳ない。


毛並みも表情もまなざしも、けだるそうな仕草もまったく変わって
いなかったが、唯一変わったことと言えば
「縄」ではなくて、ちゃんとした「リード」で繋がれていたことだ。


今でもヤツは立派に寺の門番を務めている。面倒くさそうに。



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