GITANESは読書のお伴。
それとは無関係に・・・。
年末年始というと読書習慣がある人にとっては格好の読書チャンス
なのだろうが、あいにく大晦日まで仕事で、明け2日から仕事に行く身
としては、ほかの時期とまったく変わりがない。
まとまった休みをこの時期に取ったことなどないから、読書と年末年始
はまったく結びつかない。
テレビの音がうるさかったりするので、逆に環境的には読書に
向いていない。
だから淡々と、いつものように読む。
村木嵐/いつかの朔日
徳川家康誕生前から天下統一直前まで、いくつかの局面をそれぞれ
短編で編成されたもの。
どちらかというと家康本人よりも周辺の人々の物語だった。
徳川家康にはまったく興味もないのだが、その時代のストーリー
となると無条件で読みたくなってしまう。
そういえば、初めて読んだ長編は山岡荘八の徳川家康全26巻だった。
冲方丁/十一人の賊軍
映画を観たという麗人に教えてもらったところによると、
小説と映画はエンディングがかなり、というよりまったく違っている
らしい。
映画の方を観る予定はないが、どうも映画の終わり方がいいような
気がしている。
オイゲン・ヘリゲル/弓と禅
来日して弓道の師匠に弟子入りした、ドイツ人哲学者の書いたもの。
ドイツ語を日本語に訳したからか、どうも独特の表現が続くなあと
思っていたが、解説を読んで、実はドイツ語と日本語の言い回しの
ズレというところにもこの本の肝があったのだとわかった。
それならば、そうなのだろう。
弓道から禅に近づくというアプローチに挑戦し、一応の成功を
得た著者だが、だからといって「ああしろ、こうしろ」と言わないところが
いい。
鈴峯紅也/風の忍び1
幼いころは忍者という世界が大好きだったが、どうもこの歳になって
ぶり返したようだ。忍者というタイトルにいちいち反応してしまい
書店では手に取ってしまう。
この本はとにかく、買ったその日に読んでしまえる本。
面白い。そして日本のものらしく、「技を繰り出すときにわざわざ
その名前を宣言する」という轍を踏んでいる。
つまり悟空は「かめはめ波ーーーーー!」と叫ぶし、デビルマンも
「デビルウィング!」と宣言するし、マジンガーZも「ブレスト
ファイアー!」と声を出す。
この本の登場人物も「風魔忍法●●!」と宣言しながら技を出す。
言わなければバレないのに。
でもこれは日本の活劇の様式美なのだから、この手法を採ることに
より「この作品は純然たる娯楽作品です」と宣言しているに等しく
だから安心して活劇を楽しめるのだ。
伊与原新/宙わかる教室
定時制高校の学校もの。物語の最後が「かなり大きな話になってきたなあ」
と感じたが、実はこれ実話をベースにしていると解説を読んで知り、
それならばそうなるのは必然だったのだ。
NHKのドラマで昨年の暮れに放映していたらしい。
そっちにも興味がなくもないが、私にはやはり「他人のペースであるドラマ」
よりも「自分のペースである本」が性に合う。