日本時間の今日15日の午後13時過ぎに、トンガ諸島の火山島フンガトンガ・フンガハアパイで大規模な噴火がありました。昨日未明に大規模な噴火を起こしたばかりで、今回は昨日を上回る規模。噴煙が15000mまで到達しました。気象衛星ひまわり8号が噴火の様子をとらえていました。ひまわりの画像を引用します。
13時の画像には変化がありません。
13時20分。噴火が始まりました。
13時50分。灰色の噴煙がかなり拡大しました。
14時20分。噴煙の範囲がピークに達します。
14時50分。噴煙の広がりに変化はありません。日没をむかえ可視画像は暗くなってしまいます。
この噴火に伴い周辺地域に津波警報が発令されました。トンガで80cm、サモアで60cmを観測しています。日本でも若干の海面変動が予想され、津波予報が発令されています。
昨年8月に福徳岡ノ場の海底火山の噴火でも気象衛星画像で様子を見ることができました(参考)。その時は噴煙が西側に流されていましたが、今回のトンガの噴火では同心円状に広がっています。噴火の規模は福徳岡ノ場うよりも大きそうです。なお福徳岡ノ場の噴火で形成された新島は波に洗われて消滅しました。
(1月16日追記)
昨日想定以上の影響が太平洋沿岸に出ています。バヌアツで140cm、遠く離れたチリや日本でも1mを超える津波を観測しています。未明に奄美群島、トカラ列島、岩手県に津波警報を発表され、北海道から沖縄県にかけての太平洋側の広い範囲に津波注意報を出されています。解除のめどもたっていない状況です。海溝で発生する巨大地震ではなく海底火山の噴火によりこのような広範囲に影響が及ぶのは不思議だなと思っていたところ、気象庁の会見でも「通常の津波とは異なる」と説明がありました。
気象庁・宮岡一樹地震情報企画官の発言を報道から引用します。
「今回の潮位変化は地震に伴う、通常のものとは異なると考えている。ただし現時点でこれが津波かどうかは分かっていない」 気象庁は、潮位の変化はトンガでの大規模火山噴火によるものとしながらも「通常の津波とは異なる」との認識を示しました。 予想到達時間よりも早く潮位が変化していて、また潮位に変化があった際には気圧の上昇も観測されていました。 さらに、短い周期で潮位が上下しているということです。 気象庁の担当者は、「メカニズムが分かっておらず、警報解除の見込みは立っていない」と述べました。 津波警報は2016年11月に福島県沖で発生した地震を受けて福島県と宮城県に発表されて以来です。(引用終わり)
大噴火による空気振動が影響しているのではないかという推測もあるようです。噴火の規模は想定以上で、爆発音は2300キロ離れたニュージーランドでも聞こえ、500キロ離れたフィジーでは大きな雷鳴のように聞こえたと報道されています。海底火山の噴火としては過去最大規模ではないかという推測も出ています。
気象衛星の観測により、噴煙は最大2万メートル(20キロ)、半径260キロにも広がっているそうです。1991年のピナトゥボ火山の噴火に似ているとの指摘もあって、噴火規模を0~8で示す火山爆発指数(VEI)も同じ6程度の可能性があるとの予測です。ピナトゥボ火山の噴火では火山灰が成層圏に達し、太陽の光が遮られて世界的に気温が下がました。数年後には日本で記録的冷夏となり、タイ米を緊急輸入したことが記憶によみがえります。今回の噴火も世界規模の気象に影響を及ぼさないか懸念されます。それから大量に発生したと思われる噴石の影響も心配です。