昨夜はアンコンチームの合宿。
せっかくの泊まりなので、添削もさくさく進めようか、その前にちょっとだけと思って読み出したらやめられなくなった。
『ここを出ろ、そして生きろ』(新潮社)は、NEWS23の膳場さんのとなりにいる石橋タカさんみたいなキャスターの人が書いた小説だ。
主人公は、紛争のおこった土地で人道支援を行う民間組織、いわゆるNGO活動を職業とする日本人女性。
その活動を通じて知り合ったジャンと恋に落ち、考え方の違いからすれちがい、なんとかそれを乗り越えて愛を育もうとし、別れが訪れるという、筋立てはごく普通の恋愛小説だ。
しかし、彼女たちのおかれた環境は、普通の人にはなかなか経験できない世界だ。
コソボ、コンゴ、エルサレムといった紛争や戦争のまっただ中の土地が舞台になっている。
映画「セカンドバージン」のように何となくタイにしてみました的なノリではない。
現地での人道支援の実態、原住民との軋轢や、国連本部から来ている背広組との齟齬、一筋縄ではいかない状況のなかで、一人でも多くの命を救いたいという根本の願いを果たそうとする主人公の苦悩が描かれる。
だからこそ、そこで知り合った頼りになる男性ジャンとはうまくいってほしいと感情移入してしまう。
でもジャン自身の抱える闇が少しずつ明らかにされていくうちに、悲しい結末も予想できて、つい最後まで読んでしまった。
それにしても、毎日シャワーを浴びれて、おいしいものを食べているわたしたちからすると、よくそんな所で働けるねと言いたくなる。生活環境だけならまだしも、生命の危険と常に隣り合わせの世界なのだ。
ジャンは、たくましくて、仕事ができて、弱いものにはやさしくて、それでいて陰がある。
そういう男はやっぱカッコいいよね。
自分の中では、さゆり=菅野美穂、ジャン=阿部寛のイメージで読んでいた。
映画化してくれないかなあ。こんなジャンのセリフ。
~「ほら見て」
さゆりも空を見上げる。
満月だった。数え切れないほどの星の中で、ひときわ輝いていた。
「月はいい。いつも穏やかで、決して群れない」
「太陽も群れないわ」
「太陽は否応なく支配しようとする。でも月は支配もしなければ、支配されることもない」
そう言って、ジャンは噛み締めるように繰り返した。
「月は群れない。それでいて暗闇を照らしてくれる」 ~
くぅーっ。しぶい。
ご婦人と夜ごはん食べたりする機会があったら、帰り道で使ってみたい。
地下鉄の駅への階段を下りようとする寸前とかいいかな。
ジャンは月を見ながら、こんなことも語っていた。
~ 「飢餓や貧困、戦争といった問題はあまりに大きすぎて、考えれば考えるほど途方にくれてしまう。でもぼくらの仕事は、大聖堂を建てるようなものじゃないかな。たとえばバルセロナのサグラダ・ファミリアや、ニューヨークのセント・ジョン・ザ・ディヴァイン、大聖堂をつくる建築家や職人たちは、自分たちが死ぬまでに建物を完成することがないと知っている。絶対に、だ。それでも彼らはやめない。毎日、仕事場に出かけては、レンガをひとつまたひとつと、積み重ねていく。ぼくらの仕事も同じだ。さゆりもぼくも、レンガを積み重ねる職人なんだ。」 ~
これって、結局はどんな仕事にも言えるのではないだろうか。
午前中、にじの家のリハーサル、移動して本番。
今年も楽しんでいただけたのではないだろうか。
睡眠不足気味だったせいか、「勇気100%」を歌ったとき、サビがちょっときつかったのが悔やまれる。
応援にきてくださったお母様方、ありがとうございました。