3学年だより№20(太い心をもつ)
駿台・中村先生プリント19「入学願書から本番入試を意識しよう」を思い出そう。
センター試験願書に「試験時間中に日常的な生活騒音等が発声した場合でも救済措置は行いません」と載っている。
「生活騒音」とは、試験場の外部の騒音やら、会場内での受験生のくしゃみやら、試験監督の足音やら、空調の音やらもろもろのものを指す。
予期しなかった騒音が起こっても「何ら救済措置を講ずるつもりはない」と入試センターは言う。
「少々のことには動じない心が必要だ」と中村先生は言われていたと思う。
受験には文字通り「図太い」神経が必要だ。
乗り慣れない電車に乗り、はじめて入る建物の、慣れない机で問題を解く。
自分の机にだけ小さな疵があるかもしれないし、イスがガタガタ動くかもしれない。
暖房が強すぎる場所になるかもしれないし、トイレの臭いが気になる席かもしれない。
隣に座った受験生が、妙に落ち着かない奴だったり、態度がでかかったり、筆圧が強くて机を揺らされたり、香水のきつい女子だったり、やたら鼻をすすっていたり、するかもしれない。
地下鉄に乗り間違えて、開始時間にぎりぎりになってしまった、などということもあるかもしれないし、急に体調が悪くなるかもしれない。
開始の合図で問題冊子を開いたら、過去問とは100%異なる内容だった、なんていうこともあるかもしれない。
とにかく、ふだん考えられないようなことが起きるのが「本番」だ。
何があっても動じない人というのは、たぶんいない。
動揺している状態のなかでも、その時点での最善を尽くそうと思えるような心が必要だ。
ただしそういう心を得るための特効薬はない。
毎日学校に来て、何があっても平然とやるべきことを積み上げていくことでしか作れないのだ。
毎日学校に来て、ほんの少しずつの負荷を自分にかけ続けることでしか作れない。
この陸の孤島に通い続けること自体が、みんなの心を確実に太くしていく。
~ 自分に負荷をかけると成長する、私はそう思っています。でも、どうやって負荷をかけたらよいのでしょうか。イヤなことを無理してやるとか、そういうことではない気がします。多分、やりたいと思っていることを、恐れずにやること。好きなことだったとしても、それをするときには必ず、大小はあれ、ぶちあたる壁がやってくる。それから逃げないことかなあと思います。つまり「やりたいことを、できないと言い訳せずにやること」。それが自分に負荷をかけるということなんじゃないかなあ。(中略)
体の筋力も、急にはつかず、徐々に鍛えるように、心の筋力も、ゆっくりとついていくのですね。筋トレは、筋肉の繊維を切るほどの負荷をかけて、再生するときにさらに太くなるといいますが、心だって同じなのでしょう。負荷をかけることで、だんだんと、強くなっていく。ゆっくりゆっくり、心の筋力は、ついてくる。焦らなくても大丈夫。徐々に強い自分になれるはずです。(和田清華『その夢はいつやるんですか?』ゴマブックス) ~