Q8「人生のけだるさのようなもの」を感じさせるのは、鹿おどしの動きのどういう点か。30字以内でまとめなさい。
A8 単純で緩やかなリズムが繰り返され、何事も起こらない点。
Q9「なんとなく人生のけだるさのようなものを感じることがある」と筆者が述べるのはなぜか。80字以内で説明しなさい。
A9 単純で緩やかなリズムがいつまでも繰り返され、結果的に何事も起こらない鹿おどしの動
きは、平凡な日常の積み重ねで成り立っている人生の様相と似たものに感じられるから。
鹿おどしの動き(具体) … 単調な繰り返し 何事も起こらない
∥ 共通性
人生のけだるさ(抽象) … 平凡な毎日の繰り返し そうそうドラマは起こらない
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( 青春の盛り上がり・希望に満ちた人生 )
説明
「鹿おどし」から「人生」を感じる。
「鹿おどしの動き」から「人生のけだるさ」を感じる。
つまり、鹿おどしのどんな動きが、人生のどういう「けだるさ」に結びつくのか、を説明する問題です。
aはxである。a=x
bもほぼxである。b=x’
だから、a≒b と言える、という構造で答えを作ります。
類似性・共通性の説明 a=x b=x’ → a≒b
イメージ・性質の類似性・共通性を利用し、抽象概念を具体物で表現することを、「象徴」といいます。
象徴 抽象概念 → 具体物 … 感覚的に理解させる表現
A9別解 … 単純で緩やかなリズムがいつまでも繰り返され、結果的に何事も起こらない鹿おどしの動きは、平凡な日常の積み重ねで成り立っている人生の「象徴」のように感じられたから。
Q10「初恋の味は夏みかんの味」とはどういうことか。80字以内で説明せよ。
具体 夏みかん(具体)甘くて
酸っぱい
抽象 初恋(抽象) どきどき うきうき
恥ずかしさ とまどい もてあます せつない
A10 気恥ずかしさを伴いながらも、 x1
うっとりする魅惑をもつ x2
初恋の経験は、 a
強い酸味とともに x’1
魅力的な甘さを持つ x’2
夏みかんの味と b
イメージが重なる a≒b
ということ。 文末処理
鹿おどしの動き → 人生のけだるさ … 筆者の人生観
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一般的・近代的人生観
説明
筆者にとっての人生は、このようにけだるい性質もあるものだということがわかる表現です。
しかし、みなさんが今まで習ってきた話とは違うと思いませんか。みなさんの実感がどのようなものかはわかりませんが、人生とはこのようなものだと聞いてきませんでしたか。
「自分の人生は人生できりひらくものだ」「君たちにはあらゆる可能性がある」「努力で豊かな人生を築いていこう」「自分の夢を叶えよう」 … 。
「人生って、実のところすべてが徒労に終わるものだよ」と言われた経験は、めったにないのではないでしょうか。
そういう意味で、この冒頭の部分に垣間見える筆者の人生観は、「一般的」なものではありません。「近代的」な考え方ではありません。
こういう部分にも、一般論、通念、常識とは違った方向性で主張が述べられようとするのが、評論文なのです。