水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

「水の東西」の授業 9注意する表現

2015年04月26日 | 国語のお勉強(評論)

 

「評論」には、筆者の主張が書かれている。

主張とは、
 何について(話題・テーマ)
 どうだ・どうすべきだ・~が問題だ(言いたいこと) が書かれたもの。

それは「他人にどうしても伝えたいこと」なので、少しでも伝えるために
  a 対比して述べられる        ←→(対比関係)
  b 形をかえて繰り返される      =(相似関係)
  c 理由が述べられる           ↓(因果関係)

それを読み取るためには、次の具体的な表現に気をつけるとよい。

 対比
   … 。しかし … 
   …  ではなく …  逆接語の後に主張がある。

 相似
    (抽象・一般)たとえば … (具体)
    (具体)このように … (抽象・一般)
     「たとえば」の前、「このように」の後ろに主張がある。

 因果
    なぜなら  … 。  … のである。
    理由が述べられている内容は主張したいこと。


☆   … と思われる
      … と言えるのではないか
   … ではないだろうか
    断定してない表現は、実は強い主張の現れである。

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「水の東西」の授業 8全体の主旨

2015年04月26日 | 国語のお勉強(評論)

 

〈11段落〉

11 もし、流れを感じることだけが大切なのだとしたら、我々は水を実感するのに、もはや水を見る必要さえないと言える。ただ断続する音の響きを聞いて、その間隙に流れるものを間接に心で味わえばよい。そう考えればあの「鹿おどし」は、日本人が水を鑑賞する行為の極致を表す仕掛けだと言えるかもしれない。

Q27「「鹿おどし」は、日本人が水を鑑賞する行為の極致を表す仕掛けだと言える」とあるが、そのように言えるのはなぜか、50字以内で説明せよ。


〈説明問題を解く観点〉

 出題者は何を「説明」させたいのか = 何を「わかりやすく言い換え」させたいのか
  → わかりにくくなっている要素を確認する。

 a 傍線部そのものの分析
  1 構造(SVO・SVC)は?  2 キーワードは?  3 指示語は?

 b 傍線部前の確認
  1 S・Oは?  2 指示語は?  3 接続は?


a 傍線部そのものの分析より

  日本人が水を鑑賞する行為の極致する行為の「極致」 
                    ↓
    極致 … きわめつくした境地・これ以上ないと思われるレベル
                    ↓
  日本人の水の鑑賞のしかたは、とんでもない境地に達している

b 傍線部前の確認より

  「そう」考えれ「ば」
              ↓ 
  「そう」考える「と」→「鹿おどしは」「極致だ」と言える
        ↓
 「そう」=流れを感じることだけが大切なのだとしたら、我々は水を実感するのに、
      もはや水を見る必要さえないと言える。
        ↓
   水を感じるのに、水を必要としない … この境地

    ※ 矢を射るのに弓を必要としない
      ヒットをうつのにバットを必要としないレベル

c 答えの基本形(「SV」・「SC」ということ)に整える。

       ↓
A27 鹿おどしは、日本人が水を見ないことによって水を鑑賞する
   境地に達していることを表す仕掛けであるから。


Q28 この文章を通して筆者が述べたかったのは、どういうことですか。20字以内で述べなさい。
A28 鹿おどしに象徴される日本人独特の感性

Q29 Q28の答えが次のようなものであった場合、それぞれ何がよくないのかを説明しなさい。

 ア 日本と西洋における水の鑑賞の仕方の違い
 イ 鹿おどしと噴水の持つ文化的意味
 ウ 日本人が慣れ親しむ鹿おどしの巧みな構造
 エ 伝統を大切にする日本人の生き方

A29 アは答えとしてアサい。「違い」という現象から本質を述べるのが評論。イはアより深さはましているが、「鹿おどし」と「噴水」が並立になっているのがよくない。あくまでメインは「鹿おどし」。ウは本質からズレている。エは話題そのものがズレている。

 A ←→ B の場合、あくまでもメインはAだから、簡潔に要旨をまとめるときはAで説明する。


Q30 全文の主旨を100字以上120字以内でまとめなさい。
A30 日本人にとって水は自然に流れる姿こそが美しく、
   西洋の噴水のような造形の対象とはしなかった。
   それは日本人が形のないものを積極的に恐れない心を持ち、
   自然と一体化して生きてきたからであり、
   鹿おどしは日本人のその独特の感性を象徴的に表す装置である。

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