北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

2024年7月上旬、ジョウザンシジミ中間型。

2024-11-22 14:18:12 | ジョウザンシジミ

88_31.gifにほんブログ村

 

2024年7月上旬、ジョウザンシジミ中間型。

 

 

2024-7-12( 金 )  晴れ  29℃  午後いちじ豪雨

 

 

 

午前11時頃、我が家の玄関先駐車場あたりを低くチラチラ飛ぶ蝶を発見した。

 

 

今どき、こんなサイズのシジミチョウが飛ぶとはいったい何者だろう?。とりあえず居間からデジカメを持ってきて撮影を試みることにした。なかなか止まらなかったがやがて庭の撒水用ホースに止まったり敷石上に止まったところを慎重に接近し撮影。

あれー、こいつはジョウザンシジミではないか。おそらく、わが家の庭で今年の春に発生したジョウザンシジミたちが交尾産卵して、その一部が羽化してきたものと思われます。

 

おそらく我が家の庭で発生したものと思われた。

 

 

 

裏面はオレンジ紋が明るくて春型のパターンではない。かといって北見市で夏型が発生するのは普通8月なので時期的には中間型とでもいうべきだろうか。

 

 

 

オクエゾサイシンの葉に止まったり、ラベンダーで一瞬ストローを伸ばしたりしているがとにかく目まぐるしく飛び回る。 

そのうち陽がかげるとやや飛び方が落ち着いてきてエゾキリンソウの群落で羽根を休め始めたので激写。

やがて羽根を開く瞬間があり、それを見てドッキリ。翅表は春型のように明るい青ではなく、夏型みたいな真っ黒でもない。外側半分が暗青色調、内側半分やや広い面積が青といったいわば春型と夏型の中間みたいな美しい色調で、こんなジョウザンシジミは私は初めて見た。

 

 

やがて再び陽がさすとぱっと飛び立ちそのまま庭のどこかへ消えてしまった。

 

 

    この項、続く。

 

 

 

88_31.gifにほんブログ村

 

 

88_31.gifにほんブログ村


ジョウザンシジミ1 化(春型) とそれ以降

2024-11-18 21:27:59 | ジョウザンシジミ

 

88_31.gifにほんブログ村

 

 

 

 

ジョウザンシジミ1 化(春型) とそれ以降

 

 

北海道においてはジョウザンシジミは普通、春型のみの出現産地が多い。

 

 

一方、産地や発生時期、または高温の続いた年などには2化(夏型)が見られるのが一般的で、2化は個体数は少なくやや大型で翅表は強い黒化傾向を示し時には真っ黒けになります。

 

ジョウザンシジミは飼育環境化では年4化までは容易に出せるが2化以降の羽化個体は全てが

翅表真っ黒個体になります。

 

 

私は長年、好きでジョウザンシジミの飼育を行ってきたが連続飼育では年4化くらいまでは容易に飼育可能です。各飼育ごとに一定数の越冬蛹ができ、秋にできる蛹は越冬蛹になりやすい。

 

かっては物珍しさや興味本位でたくさんの2化以降の飼育品の展翅標本を作ったがすぐに飽きてしまい、越冬蛹を出来るだけたくさん作って美しい春型個体を見るのが飼育の主な目的になっていました。

 

 

我が家の庭には自然繁殖や人工的繁殖で多数のエゾキリンンソウ群落があり、そのためジョウザンシジミはいくらでも飼育できる環境にあります。

 

           続く

最後まで見ていただきありがとうございます。できましたらランキングポイントアップのために下記の バナー をワンクリックしていただければ幸いです。

 

 

 

 

 

88_31.gifにほんブログ村

 

 

88_31.gifにほんブログ村


ブータン 南部国境プンツォリンのルンタと艶やかなツマベニチョウ。

2024-11-06 10:30:35 | Bhutan

不明.gifにほんブログ村

 

ブータン 南部国境プンツォリンのルンタと艶やかなツマベニチョウ。

 

 

 

ブータンでは国民の75%がチベット仏教を信じており、これがブータンの国教とされています。そのためブータンを旅行するといたるところにチベット仏教の気配を強く感じます。街の近くでとりわけ目に付くのが川や谷あいにびっしりとかかっているルンタという布。

 

 

 

 

洗濯したおしめを干しているわけではありません。れっきとした宗教的祈祷布で、多くは色あせていますがよく見ると五色あって経文がぎっしりと書かれています。五色は自然界の5要素を意味しており 青は空、白は雲、赤は火、緑は水、黄色は大地を表します。 

 

 

 

 

 

この旗がハタハタと風にたなびくことで、お経を読むのと同じ功徳に授かれるといい、ただマニ車を回すだけでお経を唱えると同じ功徳があるという、チベット仏教独特の省エネ仮想読経思想に由来するものだと感じます。

 

 

 

 

 

 

さらに、ルンタがハタハタと風にたなびくと有難いチベット仏教の教えが風にのって遠くまで伝わって行くとも考えられているようです。

 

 

 

超仏教国ブータンでは、仏教の教えが強く浸透し、殺生を極端に嫌います。大きな象にも小さなアリにも命があって輪廻転生思想により来世では自分はアリに生まれ変わっているかもしれないからだというわけです。しかし家畜などのお肉は大好きなので、何かたくみな説明があるのかもしれません。

 

 

 

私はチベット仏教にはあまり興味はなく自然、特にブータンの蝶類に強い興味があったわけで、当初手当たり次第に蝶を採集する私たちを見て、ガイドやブータンの人たちは明らかに眉をひそめているのを感じました。

 

 

 

現在、私の手元には当時採集した多数のブータン産蝶類の標本がありますが、その後しばらくしてブータン国内で採集した生物標本は蝶も含めて国外持ち出しを禁止する法律ができています。従って、私のブログに登場するブータン 産蝶類標本はそういった法律制定以前のものであることを、あらかじめお断りしておきます。その様な気配をしばしば感じたため、1990年代から、私はブータン では生態写真撮影や手のひら写真がなんとなく増えていたのでした。

 

 

 

 

川にかかるルンタの旗があまり目につかなくなった頃、色々な蝶が現れてきました。

 

 

 

 

 

川に沿ってツーンっ、ツーンと大きくつんのめる様に飛んでいるツマベニチョウはプンツオリン郊外では稀ではありません。これらは日本産とあまり変わったところはなく原名亜種 Hebomoia glaucippe glaucippe に含まれるのでしょう。

 

 

 

 

メスシロキチョウ Ixias pyrene  familiaris のオスも、生きている個体は展翅標本と異なりみずみずしく美しい。この個体は翅表の黄色調がやや明るい。

 

 

最後まで見ていただきありがとうございます。できましたらランキングポイントアップのために下記の バナー をワンクリックしていただければ幸いです。

 

 不明.gifにほんブログ村

 

 

不明.gifにほんブログ村


ブータン・インド国境の街、プンツオリン。

2024-10-30 13:26:33 | Bhutan

不明.gifにほんブログ村

ブータン・インド国境の街、プンツオリン。

 

 

ブータンへ入国するには現在はバンコックからブータン国営ドルックエアの直行ジエット機がパロ空港 ( 標高2200m ) まで飛んでいます。

 

 

 

しかし長年の鎖国の後にブータンが1978年に開国したころ、私たちははインドのカルカッタまで飛行機でゆき、そこからインナーラインパミットを取得して、アッサムの大平原をひたすら車で走りに走って、ブータン・インド国境の町プンツォリンへたどり着き、有名な大門を通ってブータンへ入国していました。

 

プンツォリンは、ブータンとしては異質の都市。ブータン南端国境にあり、インド領のジャイガオンの町と隣接しており、国境貿易によって繁栄してきたようです。一見、あまり大した町には見えませんが、毎日たくさんのインド人が国境の大門をフリーパス状態で通過してブータンに出稼ぎ ? に来ていました。これらの人々は夕方には一斉にインド側へ帰って行きます。

ヒマラヤの高地帯の王国の印象が強いブータンですが、ここプンツォリンは標高293m、郊外には熱帯雨林を思わせるジャングルもあり普通種ばかりですが ヘレナキシタアゲハなど蝶は多かった。ブータン産ヘクトールベニモンアゲハは、ここプンツォリンでのみ記録があります。

 

 

町外れで見られたウスイロキチョウ Eurema andersoni Moore .  Eurema属の蝶は近くのシッキムには6種、ネパールには4種が知られており、私はブータン で3種 (ウスイロキチョウ、キチョウ、ツマグロキチョウ) を確認していますが、入念に探すとさらに種類がいるかもしれません。

 

 

プンツォリンでもタイワンモンシロチョウ Pieria canidia  Sparrman はやや山地性の蝶でした。

日本では、かって対馬ではごく普通に見られましたが、近年突然消えてしまいました。爆発的に増えたシカによる食草食害や気候変動など原因が取りざたされていますがブータンでは普通の蝶でした。

 

 

クロテンシロチョウ Leptosia nina  Fabricius.

最後まで見ていただきありがとうございます。できましたらランキングポイントアップのために下記の バナー をワンクリックしていただければ幸いです。

 

 不明.gifにほんブログ村

 

 

不明.gifにほんブログ村


攻撃的外来植物マルガリータの美しい花園とヒメシジミの衰退。

2024-10-15 22:01:21 | ヒメシジミ

88_31.gifにほんブログ村

 

攻撃的外来植物マルガリータの美しい花園とヒメシジミの衰退。

 

 

初夏の晴れた日。温暖化のせいか猛暑。今日は気温が32.7℃。

 

 

 

近年、気候変動のせいか、とにかく暑い。こんなに暑い日が続いても外来種植物のマルガリータは、ますます元気でどんどん勢力を広げ、空き地や林道沿いはどこに行ってもこの花が大きな群落を作って在来の植物たちを圧倒している。

 

 

 

 

外来種として大繁殖し駆除など到底無理になった外来植物には、すでに帰化植物という折衷案みたいな名称が用意されていて、マルガリータはもはや帰化植物として、今後の推移を見てゆくしかないと思われます。

 

 

 

 

 

我が家から車で10分ほどのところに、ヒメシジミがとても多い場所がありました。しかし、この10年ほどの間にこの蝶はどんどん発生数が減って、最近では行けばいないことはないのだが、かっての多産地としての面影はありません。

 

 

 

 

代わりに初夏から夏場にかけては、ここはマルガリータの白い花で一色のまさに美しい花園になってしまいました。かって、種々雑多な植物が微妙な生態系をなして繁殖していた頃の光景 ( いわゆる雑草がいっぱい の草地 )はありません。

 

 

 

 

 

 

近年、広大な土地を切り開いて、チューリップだの、ラベンダーだの、ノボリフジ(ルピナス)だの、コスモスだの、芝桜だの、リリーだの、etc, etc…….. 単一な外来のきれいな花たちの大群落を観光地風に人工的に作り上げ大勢の人を呼び寄せる花公園みたいなものが日本中で人気です。

 

花の綺麗さからいうとジャガイモの花はとても美しく似たようなものに見えますが、今のところ広大なジャガイモ畑を巡るバスツアーなどはないようですが。

 

 

 

 

 

そういった視点からすると、私がとても気にしているマルガリータの大繁殖 (在来の植物生態系を完全破壊)は多くの方々に美しい花園としてすんなりと認知されてゆくのかも知れません。

 

 

 

かってヒメシジミの大発生地だった草原は姿を消してマルガリータの花園になってしまい、おそらくヒメシジミはもうすぐ完全に消えてしまいます。ここに示したヒメシジミオスは、この日、やっと目にしたただ1匹の個体ですが、その大敵マルガリータの花でせっせと吸蜜に余念がありません。

 

 

 

さて、マルガリータの花が終わり秋の始まりには、このあたりは攻撃的外来種筆頭のセイタカアワダチソウの大群落に変身し、おびただしい数のクジャクチョウが吸蜜している姿が壮観です。

 

最後まで見ていただきありがとうございます。できましたらランキングポイントアップのために下記の バナー をワンクリックしていただければ幸いです。

 

 

 88_31.gifにほんブログ村

 

 

88_31.gifにほんブログ村