北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

攻撃的外来植物マルガリータの美しい花園とヒメシジミの衰退。

2024-10-15 22:01:21 | ヒメシジミ

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攻撃的外来植物マルガリータの美しい花園とヒメシジミの衰退。

 

 

初夏の晴れた日。温暖化のせいか猛暑。今日は気温が32.7℃。

 

 

 

近年、気候変動のせいか、とにかく暑い。こんなに暑い日が続いても外来種植物のマルガリータは、ますます元気でどんどん勢力を広げ、空き地や林道沿いはどこに行ってもこの花が大きな群落を作って在来の植物たちを圧倒している。

 

 

 

 

外来種として大繁殖し駆除など到底無理になった外来植物には、すでに帰化植物という折衷案みたいな名称が用意されていて、マルガリータはもはや帰化植物として、今後の推移を見てゆくしかないと思われます。

 

 

 

 

 

我が家から車で10分ほどのところに、ヒメシジミがとても多い場所がありました。しかし、この10年ほどの間にこの蝶はどんどん発生数が減って、最近では行けばいないことはないのだが、かっての多産地としての面影はありません。

 

 

 

 

代わりに初夏から夏場にかけては、ここはマルガリータの白い花で一色のまさに美しい花園になってしまいました。かって、種々雑多な植物が微妙な生態系をなして繁殖していた頃の光景 ( いわゆる雑草がいっぱい の草地 )はありません。

 

 

 

 

 

 

近年、広大な土地を切り開いて、チューリップだの、ラベンダーだの、ノボリフジ(ルピナス)だの、コスモスだの、芝桜だの、リリーだの、etc, etc…….. 単一な外来のきれいな花たちの大群落を観光地風に人工的に作り上げ大勢の人を呼び寄せる花公園みたいなものが日本中で人気です。

 

花の綺麗さからいうとジャガイモの花はとても美しく似たようなものに見えますが、今のところ広大なジャガイモ畑を巡るバスツアーなどはないようですが。

 

 

 

 

 

そういった視点からすると、私がとても気にしているマルガリータの大繁殖 (在来の植物生態系を完全破壊)は多くの方々に美しい花園としてすんなりと認知されてゆくのかも知れません。

 

 

 

かってヒメシジミの大発生地だった草原は姿を消してマルガリータの花園になってしまい、おそらくヒメシジミはもうすぐ完全に消えてしまいます。ここに示したヒメシジミオスは、この日、やっと目にしたただ1匹の個体ですが、その大敵マルガリータの花でせっせと吸蜜に余念がありません。

 

 

 

さて、マルガリータの花が終わり秋の始まりには、このあたりは攻撃的外来種筆頭のセイタカアワダチソウの大群落に変身し、おびただしい数のクジャクチョウが吸蜜している姿が壮観です。

 

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ホウジャク Macroglossum stellatarum (Linnaeus, 1758)を初めて撮影。

2024-10-07 17:33:05 | 昼飛性蛾

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ホウジャク Macroglossum stellatarum (Linnaeus, 1758)を初めて撮影。

 

2024-10-3 (木)  晴れ 18℃。

 

この日の朝、7時45分。北海道北見市の自宅二階の窓から広い庭を見下ろすと、ものすごい速さで飛ぶものがいた。

 

目測ではおよそ秒速20m。単純計算すると時速72Km。 

 

庭に出てみると写真などでよく見るホウジャクの仲間がハイピッチで羽根を震わせてホバリングしながらコスモスの花から花へと移動しながら吸蜜している。

 

 

恥ずかしながら私は蝶が専門であるせいか、ホウジャクなる生き物の実物をこの年になって初めて見た。

 

 

ホバリングしながらやたらと長い口吻(ストロー)を伸ばして数秒間吸蜜し、すぐに隣の花へと移動する。

 

 

初めて見るホウジャクの仲間に感激して、接近してオリンパスTough でせっせと撮影したが、ブーンという羽音とかすかな、しかしけっこう強い小さな風をはっきり指に感じた。重そうな虫体を猛烈ハイピッチな羽ばたきで浮かせているのがよくわかる。

 

 

 

しつこく撮影していると突然、私の耳元あたりに体当たりすれすれに超接近、もしかして威嚇行動だろうか。ブーンッという羽音がすごかった。

 

 

 

そのあと目にも止まらない速度でどこかへ飛んで行ってしまった。 

 

 

 

さて、このホウジャクの仲間、種名は何だろう。図鑑などでは展翅標本での分類法しか述べられておらず、飛翔中の同定法につき述べているものがなかった。

 

 

 

 

たまたま後翅のオレンジと辺縁の弱い縁取りが写っている写真があり、ホウジャク Macroglossum stellatarum と同定してみたが、違っていたらご教示いただけるとありがたいです。

 

 

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イタリアンパセリにキアゲハ幼虫

2024-10-02 16:45:12 | ヒメシジミ

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イタリアンパセリにキアゲハ幼虫

 

 

 

イタリアンパセリ ( Petroselinum crispum var. neapolitanum ) は地中海沿岸の原産でパセリ(オランダゼリ) の一品種 。いわゆるハーブの一種で 風味と香りが好まれ スープやサラダ、カルパッチョ など種々料理に使われています。

 

病害虫としてアブラムシ、ハダニ、そしてキアゲハの幼虫が挙げられています。イタリアンパセリにキアゲハの幼虫を発見したら取り除くようにするとの記載があることから、結構キアゲハには好まれているのかもしれません。

 

 

 

 

私たち蝶愛好家からすればキアゲハ幼虫はただ可愛いだけの存在ですが、そうでない人もいることを知らなければなりません。私の孫たちがキアゲハ幼虫を教室に持ってゆき女の先生に見せたら卒倒しそうになったそうです。

 

 

 

 

わが家の庭の片隅にはイタリアンパセリが群落を作っていて、昨日( 2024-9-30)、かみさんが葉の上に偶然キアゲハ終令幼虫を見つけて私に報告してきました。きっと、先日わが家のコスモスに飛来していたキアゲハが産卵したものでしょうか。

 

 

 

 

早速、今日朝早く撮影しました。私自身はイタリアンパセリについたキアゲハ幼虫は初めてみました。2令幼虫もいて、これは指を近づけると肉柱をニョキッとだして例の柑橘系の強い臭いを発散。可愛いものです。 このまま放置して様子を見たいと思います。

 

 

 

 

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最北の島、利尻島でアサギマダラのマーキングを。

2024-09-19 15:21:26 | アサギマダラ

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最北の島、利尻島でアサギマダラのマーキングを。

 

近年、地球温暖化の影響か、生き物たちの北上傾向が見られ、蝶もその例外ではありません。アサギマダラはマーキング調査なども含め愛好家の多い蝶ですが、今から25年も昔に、もしかすると北海道最北部の離島の利尻島でアサギマダラが世代を繰り返した可能性を示唆する貴重な論文を発見しましたのでご紹介したいと思います。願わくば、この記事を見て、まさに類い稀な猛暑がみられた 2024年の 9月の今、利尻島へアサギマダラ探しに行き、さらに願わくば  利尻島  と書き込むマーキングをされてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

利尻島におけるアサギマダラの9月の記録     

利尻研究 (22): 11-12, March 2003 

上野雅史 1)・佐藤雅彦 2) 

〒 097-0401 北海道利尻郡利尻町沓形字日出町 北海道稚内保健所利尻支所 1) * 〒 097-0311 北海道利尻郡利尻町仙法志字本町 利尻町立博物館 2) 

 

利尻島におけるアサギマダラ Paramtica sita niphonicaの記録は,これまで7~8月に集中し ており(矢崎・平元,1981),同地が高緯度地域で あることから,これらの記録は第 1 化の個体が島 外より飛来したものと考えられてきた. 

しかし,筆者らは,これまでの記録時期より遅 い9月中~下旬における本種の確認を行い,これら の個体が利尻島で羽化した第 2 化の個体の可能性 もあったため,ここにその記録を報告することとし た. 

 

筆者らが 1999 ~ 2001 年までに確認できたアサ ギマダラは以下のとおりである. 

【1999 年9月の記録】
利尻町沓形森林公園 13-IX-1999(1 ♂ , M. Satô) 

【2000 年9月の記録】 

利尻町三眺山山頂 利尻町沓形見返台 利尻町沓形字新湊 

23-IX-2000(1 ex. 目撃 , M. Ueno) 24-IX-2000(2 ex. 目撃 , M. Ueno) 24-IX-2000(2 ex. 目撃 , M. Ueno) 

利尻町沓形字栄浜 24-IX-2000(1 ex. 目撃 , M. Ueno) 利尻町沓形字長浜 24-IX-2000(1ex.目撃,M.Ueno) 利尻町沓形字富野 24-IX-2000(1 ex. 目撃 , M. Ueno) 

 

 

 

 

【2001 年9月の記録】
利尻町沓形字神居 29-IX-2001(1 ♀ , K. Nanba) 

9月の中旬から下旬に記録されたこれらの個体 は,渡島半島などからの2化目の個体が飛来したも のとも考えられるが,特に 1999 年および 2000 年 が猛暑の年であり,矢崎・平元(1981)も示唆す るように,食草の豊富さや積算温度などから判断し て十分利尻島において2化目の個体が羽化した可能 性も考えられた. 

また,本種は,利尻島で猛暑とならなかった 2001 年でも,複数の第 1 化と考えられる飛来個体 が7月 17 日の利尻山において目撃され(堀繁久氏, 私信),利尻山の初冠雪(9月21日)後,雌1頭(図 1)が 9 月 29 日に難波克子氏(利尻町在住)によ り採集されていることも分かった.この記録は利尻 島においてもっとも遅い時期における本種の確認となった.

 

 

 

 

 

これらのことから,7~8月に飛来した第1化 の成虫が島内に豊富に自生するイケマ Cynanchum caudatum(図2)などの食草に卵を生みつけ,そ の卵から第 2 化の成虫が羽化した可能性も大いに ありうると筆者らは考えている.今後は,成虫の調 査と平行して,食草に産みつけられた卵及び幼虫等 の調査が急がれるところである. 

 

 

 

 

 

謝辞 

 難波克子氏には,利尻町立博物館に貴重な標本を

寄贈して頂き,堀繁久氏には,貴重な情報を頂き,

誌上を借りて厚くお礼申し上げる.

 

 

参考文献

 

田中伸一 , 2001. 利尻島・礼文島でアサギマダラ目 撃 . 月刊むし , (365): 48. 

矢崎康幸・平元 東, 1981. 利尻島の蝶類. jezoensis: 1-2, 7-8, 21, 26.

 

 

 

 

なお、挿入されている利尻島の写真は2009-9-26 〜28に私が利尻島へ渓流魚の調査に行ったときのものです。 

 

 

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コスモスに吸蜜する美しいキアゲハを激写。

2024-09-12 14:50:33 | キアゲハ

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コスモスに吸蜜する美しいキアゲハを激写。

 

2024-8-30 (金)    晴れ  30℃

 

 

今日は、かなり暑くなりそうなので山へ行くのは中止。

 

 

 

午前10時頃。 庭のピンクのコスモスの花にキアゲハ1オス飛来。吸蜜している。

 

 

 

かなり近づいても意外なことに私を全く気にせず花から花へ、せっせと吸蜜を続けている。

 

 

 

 

コスモスの花は蜜量が多いのか、吸蜜時間は一回30秒以上もあり、やたらと撮影しやすそうなので、家にオリンパスToughをとりにゆき、それで連写撮影し続けた。

 

 

 

いくらでも撮影できるのだが、あまり枚数を重ねると後で写真の整理が大変なので、適当なところで撮影をやめ、その後はチョウを眺めた。

 

 

 

こんなに警戒心のないキアゲハは、初めて見た。私から全く殺気が出ていないのを微妙に感知しているかのようだ。

 

 

 

ところでチョウが好きになって半世紀以上になりますが、恥ずかしながらコスモスに吸蜜するキアゲハは初めて認識し、今回、けっこう気に入った写真もたくさん撮れたのだが、さてネットで見るとコスモスとキアゲハの写真はゴマンとあって、あれまといった感じ。

 

 

 

 

 

いわゆる私のような一般的なパターンのチョウ愛好家はどうしても珍品稀種に気が行ってしまう傾向があります。北見市あたりではごく普通種のキアゲハ、しかもどこにでもあるコスモスの花に吸蜜していても、これまでは私の目には止まらなかった可能性があります。

 

 

最近は年のせいか体力の衰えとともに珍品稀種を追いかけるのに飽きてしまい、みじかな普通種の方に思いかけない新鮮味や美しさを感じるようになった昨今です。

 

 

 

 

 

 

そのうち、もう1匹のキアゲハが現れると、絡み合いながら2匹ともどこかへ行ってしまいました。

 

 

 

1時間後、キアゲハ1匹が飛来したが、今度はコスモスに吸蜜することはなく庭を飛び回っていました。

 

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