北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

2024年度ジョウザンシジミ春型の撮影。

2024-07-24 08:56:44 | ジョウザンシジミ

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2024年度ジョウザンシジミ春型の撮影。

 

2024-5-10(金) 晴れたり曇ったり。19℃。

 

 

 

午前10時。北見市の我が家からほど近い林道へジョウザンシジミの撮影に出かけた。

 

 

 

 

現場では当初、谷あいの発生地には風が少し吹いており、曇って蝶影なし。

 

 

ジョウザンシジミの食草エゾキリンソウ、花はまだ咲いていない。

 

チャマダラセセリの食草、キジムシロの花は満開。

 

 

30分ほどあたりを観察しながら待つと、そのうちジョウザンシジミの崖へ陽がさしてきた。

 

 

この日、崖に陽がさしはじめて現れたのは、ジョウザンシジミ3オスのみ。

 

 

いつものように道路沿いの側溝付近を速く低く飛ぶ。側溝を好むのは地表よりもやや低くなって風当たりが弱いためだと思います。

 

 

オスどうしで盛んにからみあっているがメスはいないようだ。

 

2♂♂のみなんとか撮影射程距離に入ってくれたので岩や蕗の葉や地面の枯葉やタンポポの花上のものをせっせと撮影。

 

 

 

ジョウザンシジミのオスたちはとても小さいうえに活発で動きが早く、撮影のチャンスはきわめて少ない。

止まってもすぐ飛び立ち、吸蜜時間も数秒。 さあ構図をきめて、それからピントをしっかり合わせて、シャッターを切るといったパターンでは撮影不可能。

 

 

 

止まりそうな瞬間にヤマカンでカメラをかまえてパシャパシャとシャッターを押し続けるしかないのです。

 

 

 

 

そんな状況なのでうまくピントが合って構図もよろしいといった写真は少なく、ほとんどはピンぼけ写真でした。今回も、それでもまあまあの出来の写真を提示しました。

 

 

まだ多少時期が早いせいかメスは発生しておらず、期待していたチャマダラセセリもいなかった。

 

 

 

 

この日のジョウザンシジミは午前11:00~11:30の短時間のみ現れたが、その時間以外はエゾスジグロチョウしか見えなかった。

 

 

 

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激減する北海道特産のチョウ、リンゴシジミ始末記。

2024-07-03 15:19:15 | リンゴシジミ

 

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激減する北海道特産のチョウ、リンゴシジミ始末記。

 

 

北海道特産種のリンゴシジミ Strymonidia  pruni  jezoensis  、英名 Black hairstreak  。 国外ではイギリス、北欧、ウクライナからモンゴル、朝鮮半島、から日本に至る旧北区全体的に見られ るとされるが欧州では減少しつつありイギリスでは最希少種とされ、デンマークでは絶滅が確認されている。

 

 

 

北海道でも今や希少な種類と思われ、最近では特定の小規模な産地以外では滅多にお目にかからない蝶になってしまいました。

 

 

以下に示す大きな理由のため、北海道では毎年、絶滅産地ばかりが増えてゆく状況です。

 

 

 

 

しかし、理由もはっきりせず、急速に絶滅寸前状態に陥ったイシダシジミと比べると激減の理由は、はっきりしています。

 

 

 

かって原始の北海道ではリンゴシジミの主たる食樹は在来種のシュウリザクラ、またはエゾノウワミズザクラであったと思われます。

 

 

私が子供の頃はもっぱらエゾノウワミズザクラの群落をチラチラ飛ぶリンゴシジミが主体で、エゾノウワミズザクラの花を食べている終令幼虫を採集したりしていました。

 

 

 

エゾノウワミズザクラの群落は広い河川敷や湿地に多く、やがてこれらの場所は洪水対策で盛んに樹木が伐採されるようになって樹木の無い河川敷や、畑や、パークゴルフ場、運動公園などに姿を変えて行きます。この間、オホーツクではリンゴシジミはエゾノウワミズザクラの伐採に伴いみるみる姿を消して行きました。

 

 

明治の頃、北海道開拓に伴い、入植した多くの農家の庭にはスモモが植栽されて当時は貴重な食べ物でした。しかし殺虫剤散布で実を食害する虫たちを完全に処分しなければ、とても食べられるスモモの実は収穫できず、そのためスモモの樹とリンゴシジミを関連ずける発想は全くありませんでした。

 

 

ちなみにスモモ Prunus salicina  は中国などから日本にもたらされた外来種です。

 

 

 

平成の時代になり、河川敷などでエゾノウワミズザクラに依存するリンゴシジミが次々に消滅してゆく一方で、いつの頃からか離農した農家のスモモにリンゴシジミが発生していることが知られるようになりました。当初はにわかには信じられませんでしたが、離農して廃屋となった農家の庭のスモモに群れ飛ぶリンゴシジミを見てとても驚いた記憶があります。

 

 

 

離農した農家では庭に放置したスモモが消毒されることはなくなります。スモモは多くの昆虫類に利用されることとなり、リンゴシジミもエゾノウワミズザクラからスモモに食性転換することによって生き延びたのでした。

 

 

 

かっては道東、道北にしか記録がなかったリンゴシジミは離農農家の庭のスモモを利用することにより生き残り、かつ 札幌、道央方面に次々に分布を広げ、一時は多くの産地が知られていました。チョウ愛好家の間で御神木と大切にされていたリンゴシジミ発生スモモもありました。

 

 

 

このようにいわば里のチョウとも言えるリンゴシジミは日々変遷する自然環境に素早く適応しながら、したたかに世代をつないだかに見えました。

 

 

ところが現実はそう甘いものではありませんでした。

 

 

 

実を収穫することもなくなったスモモは、やがて一般の人たちの目から見ると、やたらと根を張りどんどん巨木化する無用の樹木になってしまったのです。

 

 

 

やがて畑作地に近い場所のスモモはジャガイモの病害虫がつくなどの理由で魔女狩りみたいに切り倒され始めます。

 

 

 

さらに北海道全域での大規模農地造成で邪魔になる離農廃屋とともに多くのスモモが伐採されました。

 

 

 

害虫や種々病原体の発生木となる可能性を警戒されて、植林地の近くや、人家や畑の近く、時にはラブホテルの前にあったスモモなどは蝶愛好家がネットを持ってウロウロするのを嫌って、すべて伐採されてしまいました。

 

 

 

オホーツクではスモモかがことごとく伐採されたために、近くに植栽された梅やアンズに食性転換し、ほそぼそと命脈をつないでいるリンゴシジミ個体群がいますが、彼らの運命はまさに風前のともしびといった状況です。

 

ウメについたリンゴシジミ幼虫。

 

スモモへの食性転換で一時、勢を盛り返したかに見えたリンゴシジミですが、一時的な発生木となっていたスモモの多くが伐採され、彼らにとってはまことに住みにくい時代になったものです。

 

 

 

 

私の実家のエゾノウワミズザクラでは10年以上にわたってリンゴシジミが発生していましたが、私が北見市を離れてから、母が庭木にヤマボウシを植えるためにこのエゾノウワミズザクラを切り倒してしまいリンゴシジミは消えました。

 

 

 

どう見ても、今や風前の灯の希少種で、デンマークのように絶滅を待つしかない状態のリンゴシジミですが、スモモを利用することにより復活させることは比較的容易と考えています。日本蝶類○○会、○○省など従来採集禁止種を増やすしか脳のなかった方々も含め、本気でチョウ類の絶滅をなんとかしたいと考えるなら今が潮時かもしれません。イギリスではちょっと苦戦しているようですが。

 

 

 

ちなみに長年、チョウや渓流魚の盛衰をつぶさに見てきた私としては、あえてこれら自然の流れに介入する気持ちが日々薄くなって来てはいます。

 

 

閑話休題。

 

冷静に考えてみますと、私自身も酔心してきた生態系という概念には何やら人間のおごりたかぶりが垣間見られます。

 

今現在、おごりたかぶっている人間も宇宙人の視点からすると、地球の生態系をかたちずくっている、知能が高いようで実はとても低い性悪な生き物、の一種に過ぎないのではないかと気づき始めた昨今です。

 

 

このおごりたかぶりに気づくとき、真の生態系保全に向かえる可能性が出てくるのかもしれません。そのきっかけをつかめず人類はひたすら走っているように見えます。

 

 

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オホーツクのエゾヒメギフ と青いエゾエンゴサクの関係。

2024-06-18 15:51:05 | エゾヒメギフチョウ

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オホーツクのエゾヒメギフ と青いエゾエンゴサクの関係。

 

エゾヒメギフチョウが鮮やかな青色のエゾエンゴサクに吸蜜する姿はとても美しく、色コントラストも鮮やかで誠にPhotogenic な光景で私は大好きです。

 

旭川方面ではカタクリとともによくエゾエンゴサクに吸蜜していました。

 

 

 

オホーツクではフキノトウの花が一番人気で、それが無い場所ではエゾエンゴサクに好んで吸蜜します。

 

 

 

 

さすがは北方のチョウ、かなり毛深いことがわかります。

 

 

 

エゾエンゴサクの花は綺麗な澄んだ青が主体ですが、しばしば赤紫や時にはシロバナも見られます。赤紫やシロバナには吸蜜しないようですが実際のところはなんとも言えません。

 

 

 

エゾヒメギフは従来明るい青色が大好きです。それで、エゾヒメギフ 採り用に青色のネットを特製したり、青い服を着て行ったり、青色のゴミ袋をあちこちに置いたり木の枝にかけたりしてエゾヒメギフ が寄って来るように工夫する愛好家もいるほどです。

 

 

 

孫次女君の青いセーターに執着するエゾヒメギフ もいました。

 

 

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猛毒ナニワズに吸蜜するエゾヒメギフチョウ

2024-06-10 17:34:44 | エゾヒメギフチョウ

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猛毒ナニワズに吸蜜するエゾヒメギフチョウ。

 

 

2005年5月14日、北海道オホーツクの浜佐呂間町の発生地でナニワズの黄色い花に吸蜜するエゾヒメギフチョウを1メスだけですが撮影したことがあります。

 

 

 

 

エゾヒメギフチョウがナニワズに訪花しているのを見たのは、これが最初で最後です。比較的、珍しい吸蜜シーンと思われますのでブログアップしておきたいと思います。

 

 

 

 

この日は当地のエゾヒメギフチョウとしては発生の後期にあたり、主たる吸蜜植物のフキノトウの花が開きすぎてしまい、普段は利用しないナニワズの花に吸蜜していたのかもしれません。

 

 

 

 

 

早春の木漏れ日の中で林床のナニワズに吸蜜するメスの姿はとても艶やかで美しいものでした。比較的吸蜜時間は長く20秒はあり撮影は容易で、蜜量は多いのかも知れません。

 

 

 

 

普段、よく目にするナニワズですが、あまり細かなことは知らなかったので、ネットレベルですが今回も、にわかナニワズ博士になってみました。なにぶん植物は専門ではないので、ご教示、コメントなどあればよろしくお願いします。

 

ナニワズ Daphne jezoensis  は 別名オニシバリ(樹皮が固くて鬼でも縛れる)とかナツボウズ( 夏に葉が落ちてしまう)とも呼ばれるジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の落葉小低木で福井県・福島県以北の本州、北海道、南千島・樺太に分布する。

 

アイヌの人々は、この木を煎じて作った汁を強力な矢毒として使っていてモリに塗って、「トド猟」にも使っていたという。「北海道」の名付け親・松浦武四郎は「夏坊主という木は毒草で、アイヌ人はこの木を煎じて汁をモリに塗り、トド猟に使っているがどんな大きなトドでも一本で死ぬ。」と日誌に記している。 

 

 

ナニワズはオホーツクでは落葉樹林の林床に多く、しばしば密生している。最近、北海道斜里町で近縁の本邦未記録であったカムチャツカナニワズDaphne kamtschatica Maxim.が発見されたがこの花は白いという。

 

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生きているデイダミアモルフォのメタリックブルーの青い照り返し。

2024-06-05 00:33:48 | 南米の蝶

生きているデイダミアモルフォのメタリックブルーの青い照り返し。

 

南米ペルーのAndes Amazon.  薄暗いジャングルのなかを歩いていると、突然足元からディダミアモルフォ( Morpho deidamia ) がふわりと舞い上がり度肝を抜かれる。採集したばかりのデイダミアモルフォを開いてみると、ギラリと輝くメタリックブルーの迫力でゾクゾクッとする。生きているモルフォの輝きは展翅乾燥標本になった蝶とは明らかに違う。青い輝きの照り返しで私の手がほんのりと青くみえた。

 

 

 

 

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