北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

絶滅寸前のツシマウラボシシジミの撮影記録。

2022-12-14 11:58:16 | 採集記・旅行・写真

 

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絶滅寸前のツシマウラボシシジミの撮影記録。

 

 

現在では絶滅したのではないかとされているツシマウラボシシジミ ( Pithecops fulgens  Doherty , 1889 ) に会うために、今は昔の2000-6-10 ~11日 に、ただ一回だけですが長崎県対馬市を訪れたことがあります。

 

 

 

福岡から小型プロペラ機で行きましたが、着陸態勢に入ると目の前に急峻な山肌がぐんぐん迫ってきて、恐怖を覚えた途端に滑走路が見えてあっという間に着陸したような記憶があります。まるで航空母艦に着艦する時みたいな感じ。

 

 

なんでも強引に山を削って作ったいわゆる山岳空港で、その後実際 2003-9-16 この山肌にプロペラ機が突っ込んだ墜落事故があります。

 

 

空港で軽自動車を借りて、とりあえずこの蝶の産地として知られていた佐護、佐須奈方面に走りましたが、広大な北海道の大地に慣れ親しんだ私からすると、対馬は狭く、背の低い山々が連なり、山また山、また山、まさに山の島といった感じでした。

 

 

 

ところが、この蝶の産地として知られていた佐護、佐須奈では、ツシマウラボシシジミは全く見かけず、途方にくれてしまいました。

 

 

 

 

こうなってしまったら、自分で発生地を見つけるしかありません。

 

 

 

あちこちカンを頼りに走り回って、運よく比田勝というあたりで杉林の小径沿いにたくさんのツシマウラボシシジミが低くチラチラと飛んでいる場所を発見、せっせと撮影しました。

 

比田勝付近、旧道のトンネル。

 

 

杉林内の小径。

 

 

レンタカーの軽自動車を止めるとあちこちにチラチラ低く飛ぶツシマウラボシシジミが確認できました。

 

 

 

この頃は、2022年現在のような高性能デジタルカメラはなく、36枚撮りカラーフィルムを装填したかっての名機ミノルタアルファ9000にマクロレンズ、リングストロボ といった機材です。

 

 

今にして思えば、こんな器材でなんとか見られる写真が撮れていたのは、私にとっては奇跡的と言わざるを得ません。

 

この頃、対馬特産のこの可憐な蝶は、はや減少の兆しが見られたようで、1969年に佐護、佐須奈など有名産地一帯が ツシマウラボシシジミ繁殖地として 上県町の天然記念物に指定されたり、2005年には対馬市の天然記念物に指定されたりしたものの、この蝶はその後もひたすら減少の一途で現在 2022 では絶滅寸前に追い込まれているようです。

 

 

 

この蝶の幼虫が食べる食草ヌスビトハギは杉林の林床に群落を作りますが、対馬で急速に増えた鹿が完膚無きまでに食害したのが、ツシマウラボシシジミ激減の主な原因とされています。

 

 

 

私がこの蝶を撮影した2000-6-10 比田勝の杉林の小径には多数の個体が飛んでおり、ヌスビトハギは小径沿いに多数見られ、多数産卵された本種の卵も確認しました。このヌスビトハギもその後大繁殖した鹿たちに綺麗さっぱり食べられてしまったのでしょうか。

 

 

杉林の小径沿いのヌスビトハギ群落。

 

 

 

産卵されたツシマウラボシシジミの卵。

 

 

 

孵化したツシマウラボシシジミの1令幼虫。

 

 

 

 

2022年現在の状況

 

実は、私的にはすでに絶滅したのでは、と考えていましたが最新の情報によれば、対馬の地元自治体、住民、環境省、昆虫園、チョウ類保全協会など関係者の努力・・・・シカ柵、ホスト植栽、域外保全…などによって、ギリギリのところで絶滅がかろうじて食い止められている状況らしい。この蝶の飼育はさほど難しいとは思われないので、この際、対馬だけにこだわらず全国各地の飼育の腕利きの個人、同好会、施設などに卵を拡散、増殖して種苗を確保してゆくのも最後の手段としての方策と思う。それにしても狭い対馬に大繁殖して自然破壊の限りを尽くしている鹿に対する方策は何か行なっているのだろうか。また、現在かろうじて生き残っている個体群に対し個人的な欲求を満たすための採集を行い、トドメを刺すようなことは厳に慎むべきと思います。

 

 

対島でよく見かけた植物。

 

ソテツの花。

 

 

ドクダミ。

 

 

トラノオ。

 

 

 

2000-6-10~11日、対馬のあちこちで稀ではなく見られたタイワンモンシロチョウが、ツシマウラボシシジミと同様に激減し、やがて対馬から完全に消えてしまうとは全く思いませんでした。  To be continued.

 

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ブータン王国、虹のパロゾンの見える風景。

2022-12-03 20:45:25 | 採集記・旅行・写真

ブータン王国、虹のパロゾンの見える風景。

 

ヒマラヤの小国、Bhutan ブータン王国は、長年鎖国をしてきましたが、先先代の国王がケニアで客死されてしばらくして開国し外国人が入国できるようになりました。

 

長年ブータン開国を待ち望んでいた私は開国と同時に1979年4月、真っ先に蝶の調査研究の目的で入国し、まるで幕末の日本みたいな情景にひたすら圧倒されました。

 

 

信じられないかも知れませんが当時、ブータン王国では民間の自動車は17台しかなく馬で山を登り蝶採りに向かいました。

 

 

 

その後もブータンに蝶の採集・調査で出かけましたがブータンの中心都市パロのホテルはいつものマンダーラホテルでここからのパロゾンの眺めは最高でした。

 

 

夕方、強風が止むと信じられないほど、とても静かな夜になリます。遠くで犬の遠吠えが響き渡るのみ。ブータンでは大雪山ぐらいの標高に集落が広がっているので、いつも夜は冷え込みます。

 

 

 

雨上がり。虹のパロゾン。

 

 

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モンゴル 、ウンドルドブの美しい草原で乗馬

2022-12-01 15:44:21 | 採集記・旅行・写真

モンゴル 、ウンドルドブの美しい草原でおっかなびっくり乗馬。

 

 

怖いなあ。走り出したらどうしよう。馬子のお兄さんが手綱を引くので大丈夫だってば。

 

こうやって写真でみると馬の足って意外に細いのに気づいた。

 

前足なんか、かみさんの足よりも細いかも。まあ、4本あるのが強みでしょうか。

 

 

ところで、草原で馬に乗るためにモンゴル にきたのではありません。

 

 

モンゴル 各地の辺境の地を中心に蝶の調査を行うために14年間も、モンゴル に通う事になるのでした。

 

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アマゾンの蝶採り

2021-12-29 12:03:31 | 採集記・旅行・写真

アマゾンの蝶採り

 

 

Agrias  claudina  lugens male. クラウディーナアグリアス。

日本なら正月気分の残っている新年、1月5日、アンデスアマゾンの奥地でやっとこのアグリアスに会えました。アジア系の蝶に慣れ親しんだ私にとってはあまりにも新鮮な外見、裏面も翅表も美しい。私はいっぺんにこの蝶のファンになってしまいました。

 

 

 

 

目を射貫くようなアグリアスの赤。

私もそうでしたが、展翅標本しか見たことがない方には想像できません。生きているアグリアスの鮮やかな赤。目を射貫かれるようなようなアグリアスの凄い赤。飛び去る時の速いこと。赤い稲妻のようです。

 

 

 

 

 

 

Diaethria  clymena  male.  

日本では、フクロウチョウとともに何故かあまりにも有名なアマゾンのウラモジタテハの吸水集団。通称 88 タテハ。このハチハチタテハは5月に多い。背後で吸水しているのも有名な Urania leius  male  ウラニアツバメガのオスたち。いかにも南米をおもわせる光景です。このほかにも無数のチョウたちが吸水に集まっています。

 

 

 

 

Caligo superbus スペルバスフクロウチョウ   

このあたりには少なくとも5種類の大型フクロウチョウが棲んでいる。最初はどれも同じに見えてしまったが、目が慣れると瞬時に区別ができるようになった。とくに裏面のみならず表面はすごい色調、迫力満点。しかし、とても大型なので標本にすると標本箱のスペースをやたらと喰ってしまうので野外観察にとどめるのが無難かもしれません。

 

 

 

 

 

Archaeoprepona  meander    male   メアンデールプレポナ 

ジャングルの小径に時々ある広い陽だまりの手前、ちょっと薄暗い所に、大抵このプレポナが1匹地面に止まっている。このような場所にいるメアンデールプレポナはなぜかプレポナ特有の俊敏さがなく、いとも容易にネットできる。手に乗せるとずっしり重さがあり、ジンジンと筋肉の震えが伝わってくる。それにしても生きているプレポナの吸い込まれるような青はなんて美しいのだろう。

 

 

 

 

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エクアドルで昆虫標本搬出未遂邦人男性に禁固2年の判決 その後

2021-11-10 19:47:17 | 採集記・旅行・写真

エクアドルで昆虫標本搬出未遂邦人男性に禁固2年の判決    その後

 

 

2019年5月に南米エクアドルから昆虫やクモなど野生生物の標本を違法に国外に持ち出そうとしたとして逮捕された日本人男性(26)が裁判になり、結果禁固2年の判決をうけたとの新聞報道があり、この件につきこのブログでも大きくとりあげたことがあります。

 

 

それから約2年が過ぎて、この男性が実際に服役したのか、もう帰国したのか急に気になりました。

 

 

 

この男性は当時、九州大学北海道演習林に勤務しており2019年3月初旬から2週間の予定でエクアドルに昆虫採集旅行に出かけている。

 

 

 

逮捕されてから判決までの期間はしばらくあるが、拘留されていたのか、ホテルなどにいたのかは不明だが、しょっちゅう海外採集に出かける昆虫愛好家の方々はとても衝撃をうけた出来事でした。

 

 

 

そこで今回 2021-11-10 に、北見市に近い足寄町にある九州大学北海道演習林事務所に直接電話をして聞いてみました。

 

 

結果、男性は新聞報道からしばらくして無事帰国し、その二ヶ月後退職し、その後の動向は不明とのことでした。

 

 

なんだ、大したことはなかったのか、新聞報道を真に受けてあれこれ考えたのが、バカみたいといったお粗末でした。

 

 

しかしいずれにしても大事にいたらず 本当によかったと思います。

 

 

 

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