春国岱のカラフトルリシジミを求めて
北海道の根室半島北側の付け根に海跡湖である風蓮湖がある。風蓮湖の東端に長さ8Km、最大巾1.3Kmほどの島状の砂州があり、普段は狭い水路で隔てられているため人間は容易に立ち入ることが出来ず、そのため赤エゾマツの森林を主体とする原始の自然が手つかずで残されてきた。ここは春国岱(しゅんくにたい)と呼ばれ、林床にはコケモモ、ツルコケモモ、ガンコウラン、ワタスゲ、エゾイソツツジなど湿原性の所謂高山植物が多い。ここまで書けば、蝶の愛好家なら、もしかすると、ここには氷河期の遺存種カラフトルリシジミがいるのではないかと想像をかきたてることだろう。
実は、はるか昔のことだが、蝶の先輩であったK氏から春国岱で採集したというカラフトルリシジミ数十匹の逆展翅標本を見せられたことがあった。ずらりと並んだすべての個体で上翅裏面亜外縁の最内側黒点列が消えていた。これまで見たこともない異様な、不思議なカラフトルリシジミであった。数が沢山あることから異常型ではなく、別亜種といってもよいのではなかろうかと思ったほどだ。K氏はその後、病気で亡くなられ、私は採集場所や出現時期の詳細を聞かなかったことを悔やんだ。それからとても長い年月が過ぎたが、このたび何となく春国岱のカラフトルリシジミを思い出し、出かけてみた時のことをブログアップしておきます。
20XX-7-18 (土) 朝から曇り。曇り のち小雨 寒い。気温は16℃。
朝食後 午前8:30 根室に来るときはいつもお世話になる常宿をでて春国岱へ出発。ほどなく到着した春国岱入り口の広い駐車場には私の車一台のみ。
春国岱遠景。
春国岱中景。
掲示板の通り、木道がはるか遠くまで続いている。
いよいよ木道を歩いて春国岱へわたる木橋へさしかかると、なんと2014年12月26日の高潮で木道・木橋があちこちで流出、ないし破壊されており橋には通行止めのロープ。これでは春国岱へ渡れない。
幸いあたりにはだれもいなかったので、意を決して橋の壊れたところを何とかアクロバテックにわたって突破し強引に春国岱へ侵入した。
落っこちたらタダでは済まないと、かなり緊張しながら何とか破損箇所を渡りきった。流木が乗り上げたところは難なく突破。
順調にゆくかに見えたがなんと遙かむこうで再び木道が何カ所もが破壊・流出状態で春国岱の湿地帯を突破するのはどう見ても不可能だ。目的の春国岱の奥、アカエゾマツの森へ入って行くのは無理。あきらめて引き返さざるを得なかった。
目の前にカラフトルリシジミがいるかもしれないアカエゾマツの森が見えていながら、木道損壊がひどく到達は諦めざるを得なかった。
無人の春国岱にはおびただしい数のエゾシカの群がいて、まさに野生の王国である。
2021年7月 現在、春国岱へわたる木橋や、その奥の木道は依然壊れており通行止めの状態は続いているもよう。根室市ではふるさと納税を使用して修復する予定はあるようだが、もしかすると春国岱の原始の自然の保護のためには今のままがよいのかも.........。
しかし、せっかくきたので何とか カラフトルリシジミの写真は撮影したい。
この項、続く。
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