東日本大震災で被災した、東京電力福島第一原発から20キロ圏内の、福島県富岡町に龍台寺というお寺がある。
ここには戊辰戦争で、奥羽越列藩同盟の相馬中村藩などと戦って戦死した、岩国藩「精義隊」の藩士7人のお墓がある。
99年に墓の存在が新聞で紹介されたとき、岩国藩鉄砲隊保存会のメンバーら30人が現地を訪れ、地元の人とともに供養祭を開いたという。
「敵方であった岩国藩士を手厚く葬り、地元の人々が墓所を清掃し、法要を欠かさなかったと聞き、感謝の念に満たされた」と、当時の保存会会長は振り返る。
震災後、龍台寺との連絡を試みたが、現在までのところ連絡は取れず被害状況は不明である。ささやかではあるが、歴史の恩返しの意味も込めて、お寺の復興の足しにしてもらおうと、保存会が金一封を用立てているとのこと。
今、原発問題で世界の注目を集める福島県。
我が住む町山口県、そして岩国とも浅からぬ縁を感じている。長州と会津というおぞましい過去もあったが、それぞれに大義名分の元に我が国の有り様を考えてのことである。
歴史の1ページとして事実は事実。それらの土台の上に現在の新たな交流が広がりを見せている。
手に手を取ってつなごう希望、明日を信じてがんばろう東北、がんばろう日本!!
5月14日付毎日新聞。「恩返し」と義援金という記事が目に止まった。
( 写真 : 岩国藩鉄砲隊保存会の試射。白装束は他藩の友情出演 )