「困難さに打ち勝つ」「ひたむきさ」
(震災当時は満開だった「さざんか」。花言葉を添えて)
東日本大震災から2ヶ月が過ぎた。被災者がこの間どんな思いで過ごされたのか、考えるだけで言葉を失い、胸が痛くなる。
一方、今も厳しい避難生活を余儀なくされている方々の周辺で、集団生活の在り方のお手本が示されていることに、勇気を頂く思いがする。
お互いに肩を寄せ合い、助けあい、喜びも悲しみも食糧も労働も、すべてを分かち合い、笑顔を作り出す努力をされている姿がある。そこには必ず、世話役や自治会長のような頼もしいリーダーがおられる。
このような切迫した状況の中で「隣人を思い遣る」気持ちを前面に出し、他人同士を絆で結び、まとめ上げ、大きな家族を作り上げる努力に対し、心からのエールを贈りたいと思う。
向こう三軒両隣、お互い助け合った良き時代の町内会を思い出す。
「震災後の生活の見直し」を掲げる中に、隣近所の付き合いの大切さ、自治会や福祉協議会など地域社会に、積極的に溶け込んでいく意識改革も盛り込みたい。
人間一人では生きていけない。
「無縁社会」などとは無縁な、お互いが寄り添う「絆社会」を今一度築き上げていけたらいいなと思う。
( 2011.5.19 朝日新聞 「声」 掲載 )